このコーナーは著書「MMS 真昭社」に記載されているものを抜粋して掲載してあります。リンクしてもつながらないものや治療法などについては、本を参照して下さい。
1. ギックリ腰 | 2. 椎間板ヘルニア | 3. 肋間神経痛 | 4. 脊柱側彎症 |
5. 後縦靭帯骨化症 | 6. 脊柱管狭窄症 | 7. 五十肩 | 8. 痛風性関節炎 |
9. SAPHO症候群 | 10. 外反母趾 | 11. テニス肘 | 12. 腱鞘炎 |
13. ガングリオン | 14. 筋炎 | 15. 変形性脊椎炎 | 16. 変形性関節症 |
17. 骨粗鬆症 |
1 ギックリ腰
よく重い物を持ったり、寝返りをうつなどの体位を変えたりしたときに、突然腰部に激痛が起こるものをギックリ腰と言っています。クシャミをしてギックリ腰になったという人もいます。
●西洋医学的解釈
本態性。
●MMS解釈
腰部、臀部、腸筋などの筋肉疲労が原因で、筋肉が攣ったような状態になって固まり、神経を圧迫して痛みをつくるものです。また、無理な体勢で重いものを持ったときに、使われた筋肉が急性萎縮して固まってもギックリ腰をつくります。
脚の筋肉が攣るのと同じことなので、時間が経過し筋肉が弛緩してくれば治る病気です。ただし、単に放置しておくと、固まった筋肉がそのまま固まってコリをつくり、坐骨神経痛などに進行する場合もあります。
2 椎間板ヘルニア
椎間板とは、背骨の椎体と椎体の間にある軟骨で、骨と骨のクッションの役割をもっています。
椎間板は、ゼラチン状の髄核(ずいかく)でできていて、繊維輪という膜で包まれているものです。この髄核が膨らんで繊維輪を圧迫したり、繊維輪の隙間からはみ出したりしているものを椎間板ヘルニアと言っています。そして、そのはみ出した部分が脊髄や神経根を圧迫して痛みや麻痺をつくり、そのつくる場所によって、頚椎、胸椎、腰椎椎間板ヘルニアと呼んでいます。(西洋医学)
2-1腰椎椎間板ヘルニア
腰椎に起こる変形によって、椎間板がはみ出して痛みをつくっている疾患です。(西洋医学)
●症状
腰痛と片側の座骨神経痛で脚が痺れたりする。ほとんどが、第4番と第5番の腰椎の間の椎間板ヘルニアである。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
椎間板がはみ出し神経を圧迫して、痛みや痺れを起こすもの。治療には、牽引、外科手術が行われている。外科手術では、傾いて狭くなって椎間板が飛び出した側に、人工のパッキンを入れて強制的に骨間の隙間を図ろうとするものです。
●MMS解釈
西洋医学の説は、椎間板が飛び出し、それが神経を圧迫して痛みをつくるというものです。しかし、椎体と椎体の間にある椎間板の位置には神経はありません。脊椎神経は腰の部分で馬尾(ばび)神経と名称が変わります。その馬尾神経の腰神経は横突起(脊椎の背中側に出ている突起、それが脊柱管を構成しています)(図20)の下にある椎間孔という部分から出ています。椎間板が外にはみ出したとしても椎間板に挟まれている訳では無いので痛みは出ませんが、腰神経の周りにある仙棘筋が硬くなっていれば、はみ出た椎間板と仙棘筋に腰神経が圧迫されて痛みが出ることになります。椎間板の飛び出しも仙棘筋のコリがつくるものですから、仙棘筋のコリを取れば痛みも椎間板の飛び出しも無くなります。
もし椎間板の部分から腰神経が出ているとしたら、ちょっと腰を曲げたり反ったりしただけで痛みをつくることになります。それでは生活はできません。
●何故ヘルニアがつくられるか
何故、腰椎が傾いてしまうのでしょうか。西洋医学は、「骨が傾き椎間板を圧し・・」というところから始まり、何故曲がるかの原因を説明していません。骨がひとりでに傾くことはありません。
腰が曲がって痛いような状態のとき、レントゲン検査すれば、そこには骨が曲がって椎間板が飛び出しているものが写っています。単純に思考すればそれが原因となるのでしょう?
レントゲン検査では、骨、硬くなった軟骨、硬くなった腫瘍などが写し出されます。筋肉や水は写りません。そのために、筋肉は無視されてしまいます。
検査で、「腰椎が曲がり、椎間板が出ている」という結果が写し出されれば「椎間板が変形し、そこにある神経を圧迫して痛みをつくる」と、考えてしまうのでしょう。
椎間板が体重を支えている訳ではありません。体重は筋肉が支えています。椎間板の役目は、骨と骨が当たって傷まないようにするための緩衝材(かんしょうざい)です。
腰椎や胸椎は成人で長さ3cmから4㎝の骨がつながって構成されています。それは、腰や背中を自由な角度に曲げられるようにできているためです。もし、長い骨の連続であったなら、スケートの荒川静香さんのイナバウアーように、背を弓なりに反らせるようなことはできなくなります。
脊椎や腰椎の両サイドには、背を真っ直ぐに立てられるように脊柱起立筋という筋肉があります。(特に、腰椎の部分の脊柱起立筋を仙棘筋と呼んでいます。)そして、広背筋などが働いて、背中を自由に動かせるようになっています。
椎間板ヘルニアをつくるには三つの原因が考えられます。
1 筋肉疲労やショック、刺激などによって、片側の仙棘筋を固めコリをつくり、その部分の筋肉が収縮し、その引っ張り力で腰椎を曲げるもの。
2 要因や片側の仙棘筋を固めるところまでは1と同じでも、それが塊となって、その方向に腰を曲げることができなくなり、反対側に負荷が掛かり曲がっていき曲がったままとなる。
3 要因は1と同じようにさまざまですが、片方の中臀筋の腸骨領に近い部分にコリをつくると、その収縮が仙棘筋を引っ張り、腰を曲げ、椎間板ヘルニアのような状態をつくる。
これが椎間板ヘルニアの正体ですが、痛みをつくっているのは、椎間板の部分ではなく、腰神経が出て樹状突起となった部分を1から2のコリが圧迫してつくるものです。
しかし、「椎間板ヘルニア」という診断を受けている人のほとんどが、3のコリが座骨神経を圧迫してつくる座骨神経痛と言えます。痛みを感じる場所は3~4番の腰椎の部分になります。
硬くなっている脊柱起立筋や中臀筋、腸腰筋のコリを解していくと腰椎は真っ直ぐになります。もちろん椎間板の飛び出しも無くなります。
「椎間板が出ている」という結果だけを見るから、それを何とかしようという発想が起きるのでしょう。しかし、原因は別の所にあるものです。
日常、常に背中を曲げたり反らしたりします。その度に痛みを感じていたら堪(たま)りません。
脳から、脊柱管の中を通って、腰椎の3番4番のところまで脊髄神経が伸びています。その神経は、椎間の間を通って外に出て、からだの隅々に配置されている神経につながっています。それで人は痛感を感じます。しかし、常に曲げ伸しされる椎間の間に脊髄神経が通っていたとしたら曲げる度に激痛を味わうことになります。人のからだをつくった想像主が、そのような構造設計をする訳がありません。
椎間板ヘルニアの痛みは腰椎の3番4番の位置に多いので、椎間板が飛び出していることで痛みをつくっているように思えますが、実際の多くは座骨神経を圧迫してつくる痛みです。
椎間板の飛び出している位置の仙棘筋を少し圧迫して痛みが出るようなら、それは仙棘筋のコリが神経を圧迫してつくる痛みで、腰を曲げた時に出る痛みです。常時痛はつくりません。常時痛をつくる痛みは座骨神経痛と考えるべきです。
「椎間板が磨(す) り減っている」と、手術をして、その代わりをするパッキンを入れても何の益にもなりません。体内に異質なものを入れるべきではありません。
手術して「痛みが無くなった」という例もあります。でもそれは、手術の際に神経を切断してしまうからなのです。
手術をしても「痛みや痺れ」の取れない人が沢山います。それは、手術した部分に原因はなかったからです。無意味なことをすべきではありません。
2-2頚椎椎間板ヘルニア
腕や脚に痺れをつくったりすると、西洋医学では、頚椎椎間板ヘルニアと診断し、手術をするというケースが多いようです。しかし現実は、危険な手術をしても確実に治る訳ではなく、術後痛みや痺れが取れず苦しんでいる人が少なくありません。
●症状
頸部、肩、上肢の痛み、指の痺れ感。知覚の鈍化、頸部と手指の運動障害、歩行障害などが起こる。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
腰部の椎間板ヘルニアと同様のことが頚椎に起こる。
●MMS解釈
ほとんどが胸鎖乳突筋のコリが原因です。痺れや麻痺の多くは、胸鎖乳突筋の起始に近い部分で、後頭側にある腕神経叢の部分のコリが原因です。腕の痺れや麻痺は、それに加えて、上腕三頭筋や三角筋、前腕の筋肉のコリが加わります。
頚椎ヘルニアも腰椎椎間板ヘルニアと同様、棘上筋、胸鎖乳突筋(図3)、頭板状筋、頭半棘筋(図6)のコリを取っていけば治ります。
3 肋間神経痛
肋間に沿って痛みが走る病気です。他の病気の症状の一部のこともあります。
多くは、胸の片側に激しい痛みが起こり、深呼吸や咳で痛みが強くなります。(西洋医学)
●MMS解釈
肋骨の骨折やひびなどの外傷によるものや、肋間を使った作業や呼吸を使った激しい運動、咳などを長く続いたとき肋間筋を固めてコリをつくり、肋間筋の中に含んでいる神経を圧迫するためにつくられるものです。起因は何であれ、肋間筋を固めることで起こる病気ですが、胸鎖乳突筋の起始部を固めると肋間筋が動かなくなり、それを無理して動かすなどのことをしていると肋間筋を固めていきます。
4 脊柱側彎症
脊柱の側方への彎曲(わんきょく)とねじれをつくる病気で、成長期に出現する病気です。脊柱が持続的に彎曲しているもので、単に片方に側彎(そくわん)ているものと、S字形に捻れたような複合性彎曲が見られるものもあります。
●西洋医学的解釈
先天的な原因による先天性側弯、ポリオなどによる麻痺性側弯、突発性側弯と言われる原因不明のものもある。
●MMS解釈
先天的な脊椎骨の奇形をもって生まれた人、瘢痕(はんこん)性(やけど)、胸部疾患、脊髄疾患、椎間板ヘルニアなどから側湾症になる人もいるでしょう。しかし、多くは、悪い姿勢を長く続けていたことによるものです。
偏(かたよ)った姿勢をしていると一部の筋肉を固めていきます。側湾症の場合、脊柱起立筋を固めます。その収縮が脊椎を側弯させていきます。
筋肉のコリにもいろいろあります。筋肉に、常時負荷を掛けていると、強い収縮力をもって固まっていくものがあり、亢進性をもっていきます。最後は塊となります。
脊柱起立筋や広背筋の片側にコリをつくると、その方向へからだは曲げ難くなり、常に片方向だけに曲がったままとなります。その状態が続けられると、コリが進行し塊となってしまいます。このようになると、元の真っ直ぐな姿勢に戻すことができなくなります。姿勢の悪い人につくられる側湾症です。
突発的につくられる側湾症。何らかの強い刺激や負荷が、筋肉疲労を起こしている脊柱起立筋や広背筋に加えられると、いきなり攣ってしまうなどの急性萎縮が起こります。筋肉は強く固まり弛緩できずに固まったままになってしまいます。
捻挫は、足首などに急激な強い負荷を与えられたとき、骨の骨折や筋肉の断裂から守ろうと筋肉が硬く固まりディフェンスします。しかし、強く固まってしまうと筋肉は弛緩できず硬くなります。正にこのことと同じようなことが起きたと考えれば理解が早いかも知れません。
S字形に捻れて曲がった側湾症は、以下のように考えています。
片側の脊柱起立筋にコリをつくり、それが進行して上半身が前横側に固まってしまうと、床方向しか見えなくなり不自由になります。それをカバーしようと、広背筋を使ってからだを起こそうとします。その状態を長く続けていれば、そのまま固まってしまいます。それが、S状に捻れた側湾症です。
先天的な側弯症も、脊柱起立筋や棘下筋、腹部などが固まってつくられています。その原因を探し解していけば治ります。
5 後縦靭帯骨化症
後縦靭帯(こうじゅうじんたい) が硬くなり骨化するという病気です。首が固まってしまうので、廻すことも曲げることもできなくなり、腕も上げることができなくなります。
病気が進行し胸部まで固まっていくと、呼吸困難や心不全を起こしていくという病気です。(西洋医学)
●症状
首や肩、腕に強烈な痛みを伴う病気で、痛みで睡眠も取れない人もいます。
●西洋医学的解釈
原因不明。
●MMS解釈
この病気の原因は、棘上筋や胸鎖乳突筋を固めることです。棘上筋を固めコリをつくると、首を廻すことができなくなります。また、腕も上がらなくなります。
胸鎖乳突筋を強く固めると、首を曲げることができなくなります。
そして、胸鎖乳突筋の起始部を固めると肋間筋が動かなり呼吸困難となります。その状態を長く続けていると肋間筋まで固まってしまいます。そして、心筋を圧迫していきます。
これらの筋肉を固めていく要因は次のように考えられます。
1 寝返りを打つときに首の力を使う。
2 首を動かすことを忘れて、スポーツや作業に夢中になり首を固める。
3 物を持ち上げたり動かしたりする際、腕に力を入れて肩を上げる。
4 何らかの原因で首を固めたにも拘らず、そのまま放置し徐々に硬く固める。
5 顎が出て肩を上げた悪い姿勢を続ける。
などいろいろ考えられます。
6 脊柱管狭窄症
脊柱管とは、頚椎、胸椎、腰椎と頚椎から仙骨にいたる椎体と棘突起で囲まれた骨の壁のトンネル状の部分を言います。そしてその脊柱管には、頭部からぶら下げられたように脊髄が通っています。その長さは腰椎の4、5番の位置までで、その先の仙骨までは馬尾神経になっています。(図20)
この脊柱管が何らかの理由によって狭窄して神経を圧迫して痛みをつくる病気が脊柱管狭窄症であると西洋医学では言っていますが、脊柱管が狭窄する理由については不明のようです。
●症状
腰痛や下肢の痺れ、痛みを起こす。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
原因不明。
●MMS解釈
脊柱管の狭窄。その原因は、脊柱起立筋やその深層にある横突間筋の一部にコリをつくり硬く拡大して塊となったものが、棘突起を椎体方向にずらし、脊柱管を狭めてしまうと考えられます。
痛みは、この狭窄に因果関係はあっても直接の原因ではありません。痛みをつくる原因は、脊柱管を狭めてしまうほど硬く固まった脊柱起立筋や横突間筋などのコリが、脊柱管の外に出ている馬尾神経からつながった腰神経の樹状突起を圧迫して痛みをつくります。圧迫している筋肉を解して軟らかくしていけば痛みは解消されていきますが、脊柱管狭窄症と言われている腰痛はこれでは治りません。腰痛をつくっている真の原因は中殿筋のコリで、それが坐骨神経を圧迫して痛みをつくっているためです。また、脚にしびれや痛みをつくっているのもこのコリと外側広筋、内側広筋、半腱様筋などのコリです。
狭窄された脊柱管は、仙棘筋と横突間筋のコリを取ってしばらくすれば、次第に元のような空間になっていきます。
西洋医学のいうように、脊柱管を狭めて痛みをつくるなら、脊柱管の中に通っている脊髄神経を圧迫して痛みをつくることになります。もしそうであったなら、腰の一部だけが痛むことはなく、脊髄全体に痛みが生じるでしょう。腰の一部が痛むという事実から脊柱管から外に出た神経の痛みであることは間違いありません。
CT写真から狭窄部分を見て結果を出してはいけません。狭窄しているのが事実なら、狭窄させるものが何かをまず探ることです。 2、30年前までにはこの病気は無かったように思います。レントゲンでは脊柱管が狭窄している状態は写し出されなかったからでしょうが、断面を撮影できるCT検査が生まれてからつくられた病名ではないかと思います。
●治療法
腰椎の4、5番の部分につくる痛みの原因はいくつかあります。
1 仙棘筋とその深層の横突間筋のコリ。
2 中殿筋のコリ。
3 腸腰筋と股関節の恥骨外側のコリ。
以上ですが、脚に痺れや痛みが伴っているとき、中殿筋の外側と、外側広筋のコリが原因です。 腰の中央に痛みのある場合は、中殿筋の中央部分にその因があります。
一つの現症を捉えて答えを出してはいけません。腰に痛みがあっても、その原因は痛みのある場所とは限らないからです。
7 五十肩
肩関節や腕に痛みが走り腕を上にあげる。後ろに回す。と、いうことができなくなる病気です。40代から50代に起きることから五十肩と名付けられました。(四十肩ではありません)
西洋医学では治療法はなく、「半年から2年もすれば治る病気」と、その人の治るに任せているのが現状です。
●症状
腕が痛くて上がらない。痛みで夜も眠れないなど。
●MMS解釈
棘上筋、棘下筋、胸鎖乳突筋(図3)のコリが原因で、ひどくなると上腕の三角筋、上腕三頭筋、前腕(図2)のコリも影響してきます。
8 痛風性関節炎
痛風に伴う関節炎であると西洋医学では言っています。
●症状
突然、足の親指が赤く腫れ激痛が襲言います。痛みは数日で消えるが、発作が繰り返されると次第に間隔が短くなってくる。肘や手足の指、アキレス腱に結節(しこり)ができる場合もある。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
尿酸の合成が過剰に行われたり、腎臓からの尿酸の排泄がうまくできなくなったりして、尿酸の代謝が障害を受け、からだの中の尿酸が過剰になり、尿酸ナトリウム結晶が関節の隙間に沈着し、急性の関節炎の症状を起こす。
食べ物は、プリン体を多く含む肉類、レバー、豆類を制限し、野菜や果物を十分にとり、水分を多く摂取して尿量を多くするようにする。アルコールを控え、肥満を解消することが必要。(西洋医学)
●MMS解釈
西洋医学の理論を基に食事療法をしていても、治ったという話をあまり聞きません。10年も20年も長い罹患歴をもっている人が少なくありません。
最初に、西洋医学は「尿酸値が高くなり」とスタートしていますが、何故高くなるのかの説明はありません。高くなるには理由があるはずで、それが病気の本質を探ることです。
西洋医学は、痛風を、尿酸値と関連付けて考えているようです。だが、痛風は尿酸値が高くなくても起きています。どうしてそのようなことが起きるのでしょうか?
痛風は「尿酸値が高くなって起きる」という定義なら、それ以外でつくられた痛風は、痛風とは言えません。その都度、定義を都合良く変えるのは間違っています。
痛風の症状は、尿酸値とは関係ありません。しかし、因果関係は存在すると言った方が良いでしょう。
●何故、尿酸値は高くなるのでしょう?
尿酸は、尿の中に含んでいる結石をつくる結晶、尿道結石や腎臓結石を溶かすために出てくる物質です。
それまで正常であった尿酸が、何故急に大量の尿酸が出てくるのでしょうか?
腎臓から膀胱まで、尿がスムースに流れていれば問題はありません。尿の中には、結石をつくる結晶が含まれています。その尿の流れが停滞したとき、結晶は腎臓や尿管に沈着します。それが放置されれば結石をつくります。その結晶を溶かそうと多量の尿酸が出てきます。これが尿酸の増える理由です。沈着状態が高いほどその度合いは大きくなります。
腎臓から膀胱に何故尿がスムースに流れなくなるのでしょうか?尿管は腎臓から膀胱につながる管ですが、尿管の周りの筋肉にコリをつくると、尿管を圧迫し蠕動運動などの動きを阻害し、尿管を狭窄するためです。
尿酸値を下げるには、薬を飲むことや食事療法をすることではありません。尿管を圧迫している周りの筋肉である仙棘筋、腹直筋、腸腰筋などのコリを取れば良いのです。
●痛風の痛み
痛みの多くは足の第1指(親指)につくられ、指は石のように硬く固まっています。それは、短拇指屈筋などのコリなのですが、それを解していくと痛みが消えるものもあります。しかし、多くは、大腿二頭筋や内側広筋、股関節、腸腰筋のコリが足指の先端に痛みをつくっています。
そして腹直筋までも固めていくと、尿管を圧迫するようになり尿酸の値を高めていきます。尿酸値が高くないのに痛風の症状が出るのは、前者のケースで、尿酸値が高い痛風は後者ということになります。しかし、尿酸値が高いから痛みをつくる訳ではありません。
●痛みをつくる原因には幾つかある。
1 血管の膨張によって神経を圧迫してつくるもの。
2 筋肉が収縮して神経を圧迫してつくるもの。
3 浮腫などで、水やリンパ液が溜まりそれが神経を圧迫してつくる
もの。
痛風の場合は、筋肉のコリが原因です。たまたま、尿酸値が高くなって、膝や足先に痛みをつくる。この二つの症状が重なったことで、「痛風は尿酸値が高くなる」ということになってしまったのでしょう。
●プリン体を摂取しない?
痛風になったらプリン体を含む食品を摂取してはいけないというのが現代の常識になっています。
プリン体は尿酸を合成するから、それを摂らなければ尿酸値は上がらない。「血糖値が高いから糖分を摂らない」という考え方と同じです。しかし、涙ぐましい努力を重ねて食事療法をしても、痛風は治りません。好きなビールも蟹も食べられません。無駄な食事療法です。いや、危険な食事療法です。プリン体を含む食事を避けていたら、尿酸の分泌も減ってきます。そうしたら結晶を溶かすものが不足し結石をつくっていきます。これで、尿酸値の高い人に腎臓結石や尿道結石が多い理由がお分かりかと思います。
痛みは、直接痛みのある部位や関連する部位を解せば治るし、尿酸値を下げるには、腹直筋や腸腰筋、仙棘筋のコリを取っていけば良い話なのです。
好きな飲食を絶つことはありません。しかし暴飲暴食は避けるべきで節度ある飲食に務めることがベストでしょう。
9 SAPHO症候群
SAPHO症候群とは、原因不明の骨、関節症状と皮膚症状を呈する症候群を言います。
「SAPHO」とは、骨膜炎(Synovitis)座瘡(Acne)、膿庖症(Pustulousis)、骨化症(Hyperostosis)、骨炎(Osteitis)の頭文字を取ったものです。(西洋医学)
●症状
皮膚症状としては、掌蹠(しょうせき) 膿庖症やニキビ、乾燥様病変、Sweetなどの症状。骨、関節症状もあり、さまざまな骨、関節症状を示すが前胸部痛(70~90%)を多く認められる。骨、関節痛と圧痛は夜間に増悪することが多い。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
本態性。細菌感染や金属アレルギーを原因と推定される症例が見られる。
●MMS解釈
この病気をつくるのは、萎縮性の強い筋肉のコリです。通常の筋肉のコリは、浅層部分であったり、深層部分であったりしますが、浅層から深層まで締め付けられたように固められたコリをつくっています。その為に、皮膚から骨に至るまでの症状が現れます。表面の皮膚と筋肉のコリは、肌への血行障害を起こし、乾燥肌や湿疹などをつくっていきます。中間層の筋肉のコリは、そこにある神経を圧迫して痛みをつくっていきます。
深層の骨までの筋肉のコリは、骨の発芽細胞をつくるための血液の循環を阻害して働きを衰えさせる為に、骨の代謝が狂ってきます。
骨を包むように骨膜があり、その上に筋肉が付き、その中に血管が通っています。そして、骨が代謝するための血液を運ぶ血管は、骨を貫通して通っています。深層部の筋肉のコリは、この血管を圧迫し潰してしまうために発芽細胞が働かず新しい骨がつくれなくなります。しかし、古く耐性を失った骨は、破壊細胞によって破壊され、骨粗鬆が起き、骨が蟻の巣のようになっていきます。
この病気の主原因は、胸鎖乳突筋、棘上筋、脊柱起立筋のコリです。
胸痛
胸乳突筋の起始部のコリがつくり、胸部全体のコリ、肋間筋のコリが神経を圧迫してつくっています。
胸骨破壊
胸鎖乳突筋のコリと胸骨に付着している筋肉が発芽細胞の血液を運ぶ血管を圧し潰してつくっています。
頬骨破壊
胸鎖乳突筋の停止部のコリと咬筋、頬筋のコリが原因です。
掌蹠膿庖症
胸鎖乳突筋、棘上筋、上腕、前腕、掌の筋肉のコリが原因です。コリを取って血液の循環を良好にしていくと治ってきます。細菌が発見されるので、細菌性と考えがちですが原因は筋肉のコリです。膿庖症になるよう状態になる環境であるために細菌が繁殖するのです。普通の血液循環ができていれば、免疫によって細菌は退治されてしまいます。ニキビも、血液循環の悪さからつくられていきます。
10 外反母趾
足の母趾(親指)が付け根から小指側に曲がり、母趾の関節が外に飛び出すような状態を言います。
生活様式が変化し、履物の欧米化、それに母趾に力が加えられた歩行や運動などによってつくられると考えられます。
●症状
母趾の付け根の関節の痛みと変形。靴を履いた時に、関節部が当たり痛みをつくる場合と、安静時にも痛みをつくる場合と症状はさまざまです。
●西洋医学的解釈
女性、遺伝、ハイヒールが三大原因であると言われています。
女性に外反母趾が多いのは、女性がハイヒールや先の細い靴を履く傾向が大きいことが原因。また、男性よりも女性に外反母趾が多く見られるため女性ホルモンの関与も指摘されている。
ハイヒールが外反母趾の原因となるのは、(1)足が前滑りして、足先が靴先に押し込まれる。(2)ヒールが高くなるにつれて、足先にかかる体重の割合が増える。(3)第1趾の中足趾節関節の背屈の角度と、足関節の底屈の角度が大きくなるため、中足趾節関節の両側の靭帯が弛んで不安定になり、かつ足の横アーチに関与する筋肉が弛むため開張足になる、という三つの理由にある。
●MMS解釈
長時間靴を履いて立っている。ハイヒールを履く。足の拇指に力を加えた作業や運動をするなどが起因してつくられていきます。
日本人は、その昔は草履や下駄などを履いていました。足底が履物に全面着いた状態で歩いていました。そして、歩き方も屈筋を使って歩いています。それは、今もって変わってはいません。
女性がハイヒールを履いて歩くとき多くの場合歩き方に問題があります。ハイヒールは、前傾骨筋や拇趾伸筋、長趾伸筋(図7)を使って歩く文化の人たちがつくったものです。屈筋のヒラメ筋や内側広筋、半腱様筋を使って立ち歩く日本人が、ハイヒールを履いて歩くと、拇趾屈筋を使って爪先立ちになりながら歩いていることになります。突っ張る筋肉である伸筋で立ち歩けば脚の筋肉の疲労は少ないのですが、拇趾屈筋に力を入れて歩いていると、時間が経過するごとに、筋肉疲労を起こし固まり拇趾屈筋は使えなくなります。力が入らなくなった拇指は、体重を支えきれずに小指の方向に曲っていきます。
拇指が使えなくなるので、体重を拇指の付け根で支えることになり、その状態が続けられれば、拇指は小指の方向に曲ったままとなり、ほとんど力を入れることができなくなります。
欧米人のように、ハイヒールを履いたとき、前傾骨筋や拇趾伸筋、長趾伸筋で立てれば、5本の指にそれぞれに体重が配分されるので外反母趾になる確率は低くなります。
拇指側に負担のかかる立ち方をしていると、拇趾伸筋が固まり血液が流れなり筋肉は痩せていきます。拇指の筋力が衰えて、体重を支えきれずに、小指側に曲がっていき固まってしまいます。それが外反母趾です。
女性ホルモンは関与していません。
11 テニス肘
テニスプレイヤーに多い障害なのでこの名称が使われたようです。ピアニスト、バイオリニストなどにも多く、手作業をしている人にも多い障害です。
●症状
肘の周辺、特に伸筋側(外側)に痛みが生じ、手に何かを持ったときに痛みをつくりますが、障害が進むと常時痛みを感じるようになります。
●西洋医学的解釈
テニスやその他の運動やスポーツの無理な腕の使い方で、筋肉の付着部を引っ張りすぎて起こす故障。なかなか完治しない故障。
●MMS解釈
原因は、腕の伸筋と腱のコリです。痛む部位によって筋肉は変わってきます。肘より上に痛みのあるときの原因は、上腕三頭筋の停止よりの筋肉と腱のコリです。
肘より下の場合は、長指伸筋の起始側の筋肉や腱にその原因があります。また、肘そのものが痛む場合は、肘窩の筋肉のコリが原因です。
12 腱鞘炎
腱鞘とは、腱の鞘(さや、物を保護するためかぶせる筒、刀の鞘、サック、キャップ)で腱の動きをスムースにする役目をもっています。その腱鞘が炎症を起こして運動制限を引き起こす病気です。
●症状
腱のある部位の全てに起こる可能性がある。手の指の腱鞘炎では、指を曲げ伸ばしする度に痛みが起こり、またバネ指になったりする。進行していくと指を曲げられなくなる。
手首の腱鞘炎では、手首の親指側の骨の部分に圧痛があり、親指を動かすと痛みが生じる。親指を反らすと手首の甲に痛みが生じたり、足首の外果や内果周りに痛みが起こる腱鞘炎もある。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
本態性。腱鞘のあるところならどこにも起こる。手足の抹消に化膿が起こるためで、その炎症が腱鞘に及んで腱鞘炎となる。
●MMS解釈
筋肉と腱を使いすぎて起こすものと、リウマチのように腱鞘が炎症を起こしているものとあります。
機械的な動作を続けたり、常時力を入れて動作を行っていたりすると、腱の周りの筋肉を硬く固めてしまいます。
筋肉が腱の動きを補助していますが、その筋肉が硬く固まり使えなくなると、腱のみで動かすことになります。その負担が腱を傷め炎症が起きてきます。炎症の理由は、症状の章で述べているものと変わりありません。
一時的に使い過ぎた訳ではなく、いつの間にかなってしまったような腱鞘炎は、常日頃、腱の周りの筋肉に力を入れて使っています。力を入れて使いすぎると筋肉は収縮したままとなり、その収縮が血管を潰して血行不良を起こし栄養不足となり痩せ衰えてしまいます。それが進行すると筋肉は使えなくなります。そして、腱の動きだけで動作を行なえば、腱の負担が大きくなり萎縮し痩せ衰えていきます。それを押して動作を行えば、腱に負担が掛かり炎症をつくっていきます。動作を行うときの腱の動きが神経を圧迫して痛みをつくります。
腱鞘炎と同時にバネ指になる人もいますが、それは、指の関節部と伸筋部のコリが原因しています。
13 ガングリオン
関節の袋(関節包)や腱鞘から管でつながった袋ができて腫瘤となったものです。
●症状
ほとんど痛みのないものですが、ときには痛みを伴うものもあるようです。
●MMS解釈
原因は、力を入れて腱を使ったときなどにつくられます。例えば、親指で強く圧すようなことを続けているとできてしまいます。
15 変形性脊椎炎
脊椎が加齢に伴って、慢性的に負担が掛り過ぎたりするために変形を起こして、痛みや痺れ感、運動障害などを引き起こす病気である。頚部や腰部に多く、それぞれ変形性頚椎症、変形性腰椎症と分けられる。
15-1変形性頚椎症
頚部脊椎症とも言われています。40代以降の中高年層に多い病気で、老化によって頚部の骨が変形して神経を圧迫して、首の周辺が痛んだり、手が痺れたり、歩きづらくなったりする病気。(西洋医学)
●症状
後頭部の頚部の痛みから始まり、肩関節痛、背中の痛み、腕の痛みなどがあり、痺れも起こり、激痛が起こることもある。歩きにくい、尿が出難い、ということもあり、頚椎症とは別の要因で起こる。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
加齢による変化や慢性的な頚部への負担、頚部の外傷などが原因。
●MMS解釈
「加齢 による」とは安易な言葉です。しかし、「人生50年」は信長の時代。現代最高齢は111歳を超えて言います。この時代に40代を老化とするには早すぎます。細胞の老化は、20代でも起きますが、加齢によるものではなく、血液循環が悪く代謝が衰えることで老化するものです。
真に加齢による病気なら、歳をとった人全員が罹ってしまうことになります。
「慢性的な頭部への負担」というのも良く理解できません。頭上に荷物でも載せているのでしょうか。常時何かの圧力を受けていることなど考えられません。
変形性頚椎症は、頚部の胸鎖乳突筋、半棘筋、多裂筋、頭板状筋、頭板状筋、脊柱起立筋(最長筋)などのコリが原因でつくられます。
悪い姿勢や長時間同じ姿勢を取り続ける作業など、さまざまな原因で頚部の筋肉にコリをつくっていきます。それを放置しておくと、筋肉は硬くなり塊となります。塊をつくると、それが邪魔をし、首を真っ直ぐにすることができなくなります。首が傾いた状態を続けていると、塊は拡大し硬くなっていきます。当然、椎間板も変形したままとなってしまいます。
固まった側の筋肉は、血液の循環が悪くなり代謝が落ち筋肉細胞は老化していきます。この状態が長期間続けられたとき、筋肉は塊となり、神経を圧迫し痛みや痺れをつくります。
正常時、骨は発芽細胞と破壊細胞のバランスが整っています。つまり、骨が古くなり耐性が失われると新しく骨がつくられるということです。
破壊細胞によって破壊された骨は静脈を通して腎臓から尿として排泄されていきます。静脈が潰されるなどして、その循環ができなくなると骨は堆積していき、それが棘のような尖った骨をつくっていくと考えられます。また、尖った骨が、些細な首の動きでも神経に触るようになると鋭い痛みがつくられます。
15-2変形性腰椎症
腰の背骨が変形して神経を圧迫して腰痛や足の痛みを引き起こす病気。と、西洋医学では定義しています。
●症状
主に腰痛と脚痛があり、朝の起床時に痛むことが多く、腰を曲げる、反らす、廻すなどをすると痛み、臀部から大腿の裏側から脹脛まで痛む人もいる。進行すると、痛みの他に痺れも出てくる。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
加齢による背骨の変化、職業上に於いて長時間同じ姿勢を取る、スポーツなどによる腰部への背骨の負担が原因。
●MMS解釈
ここでも「加齢による」という表現が出てきました。しかし、変形性頚椎症の解説で述べたように加齢は関係の無いことです。どのような状況下にあっても歳はとっていきます。それを原因にされたら逃れようもありません。
脊椎のように短い骨は、関節の部分で曲折するだけで縦に変形はしません。曲ったままになってしまうのは、その周りにある筋肉が引っ張ったり、圧したりしているからです。
原因は、変形性頚椎症で述べたことと同じで、脊柱起立筋、特に仙棘筋そしてその深層にある横突間筋のコリが腰椎を圧迫して変形をつくっているのです。伸筋がコリをつくると塊をつくります。その塊が腰椎を圧迫して変形していきます。痛みは、塊の中にある神経を、筋肉が収縮していくとき圧迫してつくられます。また、腰椎と塊との中間にある神経を腰椎側に塊が圧迫してもつくります。
腰椎が変形していくと、その負担が臀部にかかり、中臀筋を固めコリをつくります。そしてそのコリが坐骨神経を圧迫すると、大腿の裏側(半腱様筋)や脹脛(ふくらはぎ)(ヒラメ筋や縫工筋)に痛みや痺れをつくっていきます。
腰椎の変形が、脚の痛みや痺れをつくっているのではなく、中臀筋や腸腰筋、股関節のコリが神経を圧迫してつくっているのです。
「手術して、腰椎を真っ直ぐにしました。でも脚の痛みや痺れが取れません。」このようなケースを多く聞きます。木を見て森を見ず。原因が理解されていない証拠です。
半腱様筋の痛み
中臀筋の中央部のコリが原因。
外側広筋側の痛みや痺れ
中臀筋の外側のコリが原因です。
16 変形性関節症
からだの各部の関節に炎症や痛み、運動制限をもたらす病気です。特に、股、膝、肘などの大関節に起きます。
16-1変形性股関節症
股関節や臀部、腿(もも)に痛みがあり、股関節の運動が障害されて日常生活の動作に支障をきたす進行性の病気です。(西洋医学)
●症状
股関節周辺に痛みが起き、自由な動きを制限されてしまう。脚の長さが左右で違ってくるなどがある。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
先天性の股関節脱臼やその治療後の骨頭の変形、外傷、炎症、突発性大腿骨頭壊死などが原因している。
●MMS解釈
治療後の骨頭の変形が原因なら医原病です。「治療が間違っていた」としか言いようがありません。
股関節に硬いコリをつくり塊になっている人は少なくありません。その塊が股関節を外にずらして脱臼をさせます。塊を解せば、股関節は正常になります。
しかし、それで痛みが解消されるとは限りません。脱臼していることによって体重の負荷が臀部にかかり、臀部にも硬い塊をつくり神経を圧迫して痛みをつくっている場合です。また、仙棘筋を固めていることも原因の一つです。
脚の長さが左右くい違いのある人も、臀部と仙棘筋のコリを取っていけば、左右の長さは同じになり、痛みも無くなっていきます。但し、罹患歴の長い人は、一旦正常にしても直ぐに股関節が元の脱臼したようになってしまいます。それは、筋肉に元の状態に戻るという特性があるからで、股関節の筋肉に充分な引っ張り力がつくまで施術を続ける必要があります。
16-2変形性膝関節症
膝関節が痛む病気で、老人に多い病気です。2年も3年も整形外科に通っている人が多くいます。また、この病気がきっかけで寝たきりになる人もいます。
●症状
膝関節を動かすと痛みを感じる。歩きはじめに痛むことが最初で、歩かなければ痛みがないのがこの病気です。膝が腫れ、水が溜まる関節水腫がみられます。膝も曲がらなくなってくる。水が引いても大きく肥大した膝が戻らなくなる。などの症状がある。(西洋医学)
●西洋医学的解釈
関節軟骨が年齢に従って変形することが第一の原因になり、肥満による体重負担で脚の軸が曲がり、O脚などが加わって発生する。また、重い物の運搬のあと、長時間の歩行、あるいは和式トイレや正座などによって膝を曲げると症状が出る。
●MMS解釈
このように、原因を、加齢や体重の所為にしてはいけません。重い物を持って膝を壊したのならそれを治せば良いだけの話です。
原因は、膝窩の筋肉のコリ、大腿二頭筋、内側広筋、外側広筋、大腿直筋(図2)、半月板周りの筋肉のコリが原因です。これらの筋肉にコリをつくっていくのは、膝を曲げて後傾姿勢で体重を後に掛け、立ったり歩いたりしているからです。膝を曲げていると体重を大腿直筋で支えることになり、その負担が膝窩に掛っていきます。
「歳をとった人に多い病気」というなら問題はありません。しかし、加齢というのは理由になりません。加齢による原因だったら、歳をとった人全員が罹ってしまいます。また、肥満を原因にしたら、肥満の人全員がこの病気になってしまいます。太って体重があれば、膝に負担をかけて膝を壊しやすいというデメリットは出てきますが、原因ではありません。
関節水腫も、外側広筋、内側広筋、大腿直筋のコリが原因で、コリが静脈を潰して流れを止めているためで、それを解せば水腫は無くなります。
膝が曲がらなくなるのは、関節部の筋肉が肥大して固まって、その塊がじゃまになって曲がらなくなるためです。また、曲げることで他の固まった筋肉を圧迫し、それが神経に触り痛みをつくるので脳がそれを制御してしまうから曲がらなくなってしまうのです。
軟骨が無くなってしまうというのは間違いで、その部分に血液が流れなくなり萎縮し痩せ細り、さも無くなってしまったように見えるだけです。周りの筋肉のコリを解し、また軟骨部分を解して軟らかくすれば、軟骨は元のように大きくなってきます。
16-3変形性肘関節症
大工仕事や重い石材などを扱い、同じ動作を反復し、それが肘に負担のかかる職業の人に多い疾患であると西洋医学は言っています。
●症状
肘関節の痛みや肘関節の運動制限が起き、薬指や小指の痺れ感、手の甲の骨間の筋肉の萎縮がある。(西洋医学)
●MMS解釈
部分的な筋肉の使い過ぎで起こります。力を入れて筋肉を緊張させて、連続動作を続けていると、前腕の屈筋も伸筋も固めていきます。それがコリとなります。そのコリを解さないで、同じ作業などを続けていくと、筋肉は強く引き締まったように固まっていきます。コリが軽度の場合、作業を中止すればその収縮が止まりますが、重度になると益々固まっていきます。
コリをつくった筋肉の収縮が神経を圧迫し、痛みや痺れをつくっていきます。また、それは毛細血管を狭めたり潰したりして血液の流れを阻害し、その結果、筋肉には栄養が運ばれずに痩せ細ってきます。代謝も衰えてきます。前腕は黒くくすんで痩せ、手の甲の骨間の筋肉も痩せて萎縮していきます。
16-4変形性足関節症
足関節の変形によって足首の関節が痛んだり腫れたりする病気。
●西洋医学的解釈
足首の関節は、単位面積あたりの体重負担が大きいので、関節の中の骨折や捻挫後の関節のゆるみが、年月を経てこの病気に発展することがあり、足の軸ずれや、長年の体重オーバーもこの原因になる。
●MMS解釈
足首にかかる体重負担は大きいのは人間の構造上の問題です。しかし、人間をつくった創造主が「負担がかかって壊れる」という設計上のミスを犯しているとは思えません。もし、ミスであるなら全人類がこの病気になってしまいます。
これは、単に足首周りの筋肉のコリが原因です。支帯部、内果、外果(図7)周り、そして踵の筋肉のコリが原因です。これらの筋肉を解していけば、痛みは無くなり、足首もスムースに動くようになります。
足首周りの筋肉が正常であれば、体重があっても耐えられるように創造主は設計してくれています。また、以前に起こした骨折や捻挫が原因ならば、その時に完全に治しておかなかった結果でしょう。
17 骨粗鬆症
骨が脆(もろ)くなり折れやすくなる病気で、老人に多い病気と言われています。歳をとるにつれて身長が縮まり、背中や腰が曲がり、腰痛がひどくなったり、骨折したりするようになった場合、骨粗鬆症と言えます。
骨の組成は正常だが、骨量が減少して骨がもろくなる。閉経後5年から10年で現れる閉経後骨粗鬆症、高齢者の老人性骨粗鬆症、痩せ型の50歳以上の女性に多くみられる。(家庭の医学)
●西洋医学的解釈
年齢による骨組織の老化が基盤となり、それにカルシウムの代謝や内分泌の変化が加わって骨の量が減少してくる。また、腎臓の働きが衰えビタミンDを合成する能力が低くなり、体内のカルシウム、リンが減り、骨からこれらの無機質が溶け出すことによって骨は小さくもろくなり、骨粗鬆化が起こる。また、ビタミンDが活性化ビタミンDに変わるには紫外線が必要だが、歳をとってあまり外出しなくなり、紫外線にあたることが少なくなり運動量も減ることで骨粗鬆症を引き起こす。
●MMS解釈
骨粗鬆症も年齢の所為ではありません。外出しなくなり紫外線を浴びなくなるからというのも頷けません。閉経後のホルモンが変わった所為でもないでしょう。それが原因なら、男性は骨粗鬆症にはなりません。
骨も常に代謝が行われています。この病気の原因は、その代謝と骨の組成に問題があります。
正常時の骨の代謝は、骨をつくる発芽細胞と、古くなった骨を壊す破壊細胞のバランスが整っています。
骨粗鬆症は、破壊細胞は正常に働いているのに対して、発芽細胞の働きが正常でなくなったときに起こる病気です。
発芽細胞の働きが衰える理由は、発芽細胞への血流が不足するからです。骨は中からつくられ外側が破壊されて代謝が行われていきます。発芽細胞は骨の内側にあります。そこに血液を流すための血管が通っています。その血管は、貫通管(フォルクマン管)という骨を貫通している管の中を通っています。また、管通管は骨の骨単位(ハバース管)同士を結んでいます。そしてその中にも血液が通っています。
つまり骨の中にも血液は流れているのです。
人間のからだは、骨に筋肉がくっつき骨格を成しています。骨には、骨を包むように粘着質の骨膜があり、それに筋肉がついています。
骨の周りの筋肉が硬くなりコリをつくると、貫通管に通っている血管を潰して発芽細胞への血流を途絶えさせます。新しい骨はつくられなくなります。新しい骨がつくられず破壊だけされていけば、骨の密度は薄くなり、軽石のように粗(あら)くなり鬆(す)があき、もろくなってきます。
痩せた人に多いというのも頷けることです。筋肉が痩せて萎縮すると硬くなり締まってきます。骨にふっくらとした筋肉がついているのが正常ですが、骨にこびりついたようになっている筋肉が、貫通管を圧迫し血液の流れを止めてしまうからです。
「骨粗鬆症にはカルシウムを取れ」というのが常識となっています。それは間違いです。人工的につくったカルシウムや牛乳など飲んでもまったく意味がありません。何故なら人間のカルシウムではないからです。それに、いくらカルシウムを摂取しても、肝心の発芽細胞に届かなければ意味がありません。血液の通らないところにはカルシウムもサプリメントも届きません。ここを見逃してはいけません。
骨粗鬆症になる前までの食事で、何の問題も無かったものが、急に血中のカルシウムが不足する。それは、食物の摂取に問題が無いことを示しています。腸の代謝が悪くなり老化し萎縮してくると著しく吸収能力が衰えてきます。そのことで骨粗鬆症になる前まで吸収していたカルシウムを吸収することができなくなったと考えられます。腸の問題です。
骨粗鬆症がカルシウムの摂取不足が原因なら、一部分の骨だけではなく全体の骨に骨粗鬆が起こります。大腿部や脊椎だけに起こることはありません。
「食べ物の所為ではないのだ」と早く見切りをつけては早計です。桜エビや小魚などのカルシウムを多く含んだ食品を摂ることは悪いことではありません。カルシウムを多く摂取すれば、吸収能力が衰えた腸でも少しは吸収することができます。
骨粗鬆症になったら、まず、固まっている筋肉を解し、腸や腎臓の機能を正常にすることです。腎臓は代謝を助けます。
因みに、骨は、膠原繊維を基礎に、リン酸とカルシウムの化合物の結晶が沈着したものです。
●治療法
●西洋医学の治療法
急性の腰、背部痛は約3週間の安静と消炎鎮痛薬や筋弛緩薬の投与で軽減するので、その後は軟性コルセットなどを着けて早期に床を離れ運動を始める方が、骨量減少を促進させないためにも望ましい。また、骨粗鬆症に対する薬物療法としては、カルシウム製剤、活性型ビタミンD、タンパク同化ホルモン、カルシトニン製剤などの投与を行うが骨量増加はそれほど望めず、骨量減少の進行防止を期待できる程度である。
●MMS治療法
まず、腰痛や背部痛の原因は骨粗鬆症ではありません。腰痛や背部痛は、中殿筋や脊柱起立筋が固まりその収縮が神経を圧迫してつくっているのです。
腰痛や背部痛をつくるような筋肉のコリが、骨への血流を阻害することで骨粗鬆症になってしまうのです。
骨粗鬆症になる前から痛みがあった場合、それを放置しておくから骨粗鬆症になるのです。また、一時しのぎに消炎鎮痛剤などを飲んで麻痺させて痛みを感じなくさせる療法が悪い結果をつくっていきます。
骨粗鬆後に痛みが出てきたのなら、それは、最初に骨の周りの筋肉が固まり徐々に骨粗鬆症をつくり、その後骨の外側のコリが進行し、神経を圧迫して痛みがつくられてきたためです。これが腰痛や背部痛と骨粗鬆症の因果関係です。
腰痛や背部痛があったならまずそれを治すことです。腰痛の原因と考えられるのは、仙棘筋、中臀筋、腸腰筋のコリです。しかしこれもケースバイケース、臨機応変な対応が必要です。
背部痛は、脊柱起立筋、棘下筋、胸鎖乳突筋の起始のコリが原因です。西洋医学の治療では、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などを投与します。腎臓は、活性ビタミンDをつくるところと言っているのに、腎機能を著しく落とす薬を投与するというのは矛盾した考え方です。無理はありません。
多くの医師は、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などが著しく腎機能を落とすことを知りません。
コルセットは、自由な運動を阻害するので装着すべきではありません。また、カルシウム製剤、活性型ビタミンD、タンパク同化ホルモン、カルシトニン製剤などの薬物療法は無意味です。前述しているように、自己が食物から吸収することによって、その人の必要としているものが得られるのです。
骨粗鬆症の原因は、骨への血流不足が原因です。それを阻害しているものがあるのなら、まずそれを取り除くことです。
最初に、痛みをつくっている部位を治し、筋肉全体を軟らかくしていきます。骨粗鬆症になっている部分が特定できれば、その部分の筋肉を解していきます。上層の筋肉を解し、その奥にある深層のコリを解していきます。
よくある部位としては、脊柱起立筋、仙棘筋、胸鎖乳突筋、棘上筋、棘下筋、中殿筋、股関節、大腿直筋、外側広筋、長趾伸筋などですが、腎臓、腸もよく解しておくことも忘れてはいけません。