愛知県立芸術大学講演

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2009年1月14、15日の二日間、愛知県立芸術大学で「良い音は良い姿勢と良い呼吸でつくられる」という演台のもとに講演を行いました。

昨年度に引き続き行なったもので、姿勢と呼吸がいかに音作りに関わっていくかを説いたものでした。

前半の1時間は、講義を主に、姿勢と呼吸の音との関わりを理論展開をしました。長年かけて作り上げてきた研究を発表したようなものです。

14日後半、実技を主体とし、木管楽器の姿勢と呼吸の実践版で、姿勢を直す前と直した後の音の違いを行いました。所謂ビフォー・アフターです。

木管楽器の種類は、フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、サックス(アルト、バス)の5種類でした。

15日は、弦楽器、金管楽器、打楽器でそれぞれ、弦楽器はバイオリン、チェロ。

金管楽器は、ホルン、トランペット、トロンボーン、ユーフォニューム、チューバ。

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打楽器は、マリンバ、スネアードラム、テンパニー、シンバル、スネアーシンバルの5種類の検証でした。

注目は打楽器でした。メロディを持たない打楽器がどう変化するのか?

特に動きを伴うマリンバ、またテンパニーを4台セットし動きをともにしたときの変化を問うものでした。

打楽器が演奏姿勢を変えるだけで音が変化するのかと疑うむきがあるのは当然です。しかし、姿勢や構えを直す前と直した後の音の変化は、メロディ楽器の変化よりも如実に現れていました。

左右、あるいは腰を回すような動きを伴う姿勢作りは私自身も初めての試みでした。静止しているときの姿勢はその姿勢を確保できますが、動いた時の姿勢はなかなか良い姿勢を維持するのが難しく、結局元の音になってしまうのではないかと懸念しましたが、音の乱れはなく大成功に終わりました。

しかし少し長い時間の演奏をした場合、俄仕込みの姿勢作りでは姿勢が乱れてきて、元の音が戻っていってしまうと考えられます。

動きを伴う姿勢作りは充分に訓練をする必要があると思います。また左右に動く動作にはその歩行法が必要であると考えます。

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17種類の楽器全てに大きな変化がありました。音は全て浸透性があり、遠くの聴衆まで良く届く様に変化し、響きがあり、倍音の変化がみられました。

HPでは音の変化を伝えられないのが残念です。

音をつくるのは楽器の良し悪しだけではありません。演奏する側の身体つくりにが基本であると言えます。

皮肉を言うなら、下手な人にあたったらストラディバリウスの名器も20万円の楽器と変わらない音がしています。

音楽家の多くは、技巧や音楽性だけを追求しているようですが、良い音楽を求めるなら姿勢、構え、呼吸に注目すべきでしょう。

眞々田