動脈の硬化が起きるのは筋肉の硬化が原因であると私は捉えている。現代医学では食事と運動不足によるものとしている。確かにコレステロールを作る食品や脂肪の多い食品を摂らないようにする事は良いことだが、その程度のことでは動脈硬化を防ぐことは出来ない。そしていたずらに運動すると、硬い筋肉をさらに固める事になりむしろ動脈硬化を助長してしまう。
粥状硬化の対応
粥状硬化は食事の摂り方だけの問題ではない。正常な働きを持った腸は、その時点で必要なものだけを吸収する仕訳能力を持っていると「動脈硬化」で書いた。
正常な働きをする腸をつくるには、腸の癒着を取り、腸管の筋肉を和らげ自在に動くようにしすることだ。腸が硬化していたら動脈硬化を治すどころではない。
正機能を有した腸を持てば血管の内壁を汚す様な物の吸収が少なくなるので、粥状硬化を作らない。
消化吸収が正常でない腸は代謝が衰え硬くなる。腸硬化ともいえる。この腸硬化を防ぐには、腸への血行をよくすることだ。小腸にも代謝が出来る様に無数の血管が張り巡らされている。腸は4層構造になっている。そのいちばん外の漿膜の上に動静脈が走っている。腸同士が癒着するとその動静脈を圧迫し血管を狭め血行を阻害する。血液が流れなければ代謝が悪くなる。(ヒューマンボディP224)の血管図を見ることを薦める。
要するに腸にも血液が潤沢に回っていなければならない訳で、それを阻害しているのは腸自身と周りの腹筋である。そのために腹部全体を柔らかくする必要がある。
蛇足だが、腹筋を鍛えるスポーツや武道は、動脈硬化を助長してしまう。
腹筋や腸のコリを取っていくには、まずセルライト取ることだ。セルライトは保冷剤の様な物だ。腹部を冷やしてしまう。そしてその下にある腸の動きを押さえてしまう。セルライトには硬いもの、厚いもの、薄いが強張っているものがある。それを取らなければ腹部を和らげる事は難しい。
セルライトは二方向を使って取っていく。指で掴み身体で引く、あるいは引っかけて皮を伸ばすようにし、そこに気を送り、溶けて伸びてくるのを待つ様にする。セルライトを掴むと「火傷をしたような痛み」と表現した人がいる。それほど痛みがきついので、強く掴んではいけない、徐々に少しずつ取るようにする。一遍に多くを取ろうとしてもなかなか取れない。むしろ焦らず少しずつ取る方が早い。特に臍周りのセルライトは腹部の動きを悪くしているので必ず取るようにすることだ。
この腹部のセルライトを取ると腸に直接触れているような感覚になる。腸のコリを取る時に上から圧する様にしてはいけない。むしろ横から下から上に動かす様にすると良い。決して強く押したりひっぱたりしてはいけない。
中には、腹部の中央に縦に山脈のごとく硬く固まったものを持っている人がいる。そのような固まりがあれば最初にそれを取ることだ。岩の様に硬くなっているものは、痛みもあり時間も掛かるので、その旨を患者に知らしておく必要がある。施術法は、軽く圧しそれを任意の方向に動かすようにし、気を送っていく。二方向で行う。
腸は小腸だけではない。大腸も柔らかくしていかなければならない。宿便を持った人の大腸は硬くなっている。そして中にははっきりと便の固まりに触れることが出来る。これに気を送りながら解すことが必要だ。特にその固まりは下行結腸の部分に多いが、そこだけに問題があるとは限らないので、上行結腸、横行結腸、下行結腸と探ることが大事だ。上行結腸の部分は液状から半流動状の部分であるのでここは通常は柔らかい。横行結腸は通常粥状であるが、宿便のひどい人に成るとこの部分まで固まっている。その場合下行結腸から解し、便が下に落ちていけるスペースをつくってから横行結腸を解していくと良い。下行結腸は半粥状から固形物になる部分なので、直腸に近い部分は硬くなる。便秘の人はそこに固まりを作っている。これを指先で軽く圧し、気を送って解していく。
大腸のコリを取るときもセルライトがあればそれを先に取ることである。
小腸、大腸のコリを解し、柔らかくして消化吸収、排泄が正常に行われれば、粥状硬化はなくなっていく。またそれを促進させるに有効なのは正しい食事である。同時に私の食事療法を指導していくこと必要だ。
細動脈硬化
細動脈硬化を改善するには、全身の筋肉を解していかなくてはならない。一般的に細動脈硬化を起こしている人の筋肉は硬い。どこを解さなければならないということはなく、全身の硬くなった筋肉を解して行くことだ。特に過去にスポーツなどをしていた人の筋肉は硬く締まっている。
細動脈の硬化は、血管の代謝が悪くなっているからで、その代謝を良くするには、血管を圧迫している筋肉を柔らかくすることだ。 血管の外膜の外側に血管の代謝を行う為の動静脈が走っている。この動静脈を筋肉のコリが圧迫して流れを悪くし、代謝を衰えさせる。そうなれば血管は老化し硬化していく。だからとにかく硬い筋肉を柔らかくし、この圧迫を解いてあげることだ。
細動脈硬化より、それより細い毛細血管の硬化の方がより深刻に細胞の代謝に影響する。細胞への栄養や酸素の供給が出来なくなってくるからだ。故に全身の筋肉を柔らかする事は代謝を促進させ、老化を防ぐ事が出来る。