骨のしくみ

人の骨格を形成している骨の仕組みを学んでいきましょう。人間の身体は常に、皮膚から骨まで、常時つくり替えられています。人体は不思議の世界です。

人体の骨格を形成する、骨も毎日作り替えられ、変化していきます。もし作り変えられなかったら、生まれたままの姿でいるしかありません。

全ての細胞は作り替えが行われています。皮膚、筋肉、骨、あらゆる臓器や器官、血液、また脳細胞、それぞれサイクルは違いますが、人体の全ては作り変えられています。

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身体を作っている骨の数

それでは骨についてそのしくみを学んでいきましょう。

人の身体は骨格という骨組みでささえられています。そしてその骨格を形成している骨の数は206個あります。

骨格は人間の身体を形つくる構造材であることと、脳や心臓あるいは器官や臓器を保護する役目を持っています。そして建築の骨組みのように固定したものではなく、ある程度の柔軟性を持っています。

骨の種類

頭の骨が22個、舌骨1個、耳小骨左右3個ずつ、脊髄骨26個、胸骨が25個、肩から手の先まで、64個、骨盤とその下肢までが62個の合計206個です。

そして左右の脊髄骨のうち仙骨が5個、尾椎4個から作られていますので脊髄骨は30数個になります。

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頭部の骨のしくみ

頭蓋骨は前頭骨と後ろ後頭骨が1枚ずつあり、そして左右の頭頂骨が天井と側壁を形成しています。赤ん坊は、前頭骨と左右の頭頂骨の間には大泉門、後頭骨と左右の頭頂骨の間には小泉門が隙間としてあります。

脊柱のしくみ

脊椎、あるいは背骨と呼ばれる骨格は椎骨という骨が30数個集っています。椎骨の中心をなすのは椎体と呼ばれる短い円柱状の部分です。この椎体から椎弓とよばれるアーチ状の骨が伸び、椎体と椎弓が囲む孔が椎孔です。

椎骨がつながって脊髄を収める脊柱管になります。

胸部のしくみ

胸郭は12個の胸椎と12対の肋骨とそれに胸の前の胸骨という3個の骨から構成されています

(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨1個、尾骨1個(4~5))

骨盤のしくみ

骨盤は脊椎の下端の左右の仙骨に寛骨(かんこつ)がつながったものです。

寛骨は左右の脚の付け根の骨であり、子供は腸骨、恥骨、坐骨の三つの骨に分かれています。

大人になるとくっついて一つの骨になります。

骨盤の形は男女で違いがあり、骨盤の入り口を上から見たときに、男性はやや右にとがっているのに対して、女性は丸みを帯びています。また骨盤を前から見たときには、恥骨結合の下に開いた隙間の角度が男性よりも女性の方が大きくなっています。

一番大きい骨と小さい骨

もっとも大きい骨は大腿骨です。男性約41㎝、女性は38㎝程度の大きさです。

もっとも小さい骨は耳にある骨でツチ骨、長さは9㎜、次にキヌタ骨、長さは7㎜。そしてアブミ骨の三つの骨で、これはわずか3.3㎜しかありません。この三つを耳小骨といいます。

骨を覆っているもの

骨の表面は骨膜という薄い膜で覆われています。骨膜には神経や血管が走っていて、感覚を伝えたり、栄養を運んだりしています。また骨を作る骨芽細胞があります。

骨は骨皮質と骨髄部から構成されています。骨皮質は人の身体を支えることや、外部の力に対して耐える役目を持っていて、骨髄部は造血作用を持っています。また骨はカルシュウムの貯蔵という機能も持っています。

軟骨

軟骨は軟骨細胞と軟骨基質からできています。軟骨の主な役割は、外部からの衝撃を和らげる役割をもっています。骨と骨が当ったとしたら常に「バンバン」と音がし、また骨が痛んでしまいます。ですからそのクッション材と考えるとよいかも知れません。

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脊椎には椎間軟骨という軟骨があり、クッションの役目をし、骨を保っています。

関節

身体を動かす機構

関節は骨と骨を結ぶ連結器として存在します。

関節は常に動いて可動する可動関節と常に一定にある不動関節があります。

可動関節はその動きによっていくつかに分かれています。関節をはさむ二つの骨には腱を介して筋肉が付着していて、関節を動かしたり、固定したりする作用があります。

関節の働きによって、曲げる(屈曲)、伸ばす(伸展)、内転する、外転する運動や回す(回旋)運動が出来ます。

関節の構造

関節は凸型の骨端部(関節頭)と凹型の骨端部(関節窩)が接するところがあり、周囲を関節包という丈夫な覆いで包まれています。

関節包の外側には強くて弾力性のある靭帯があって関節をしっかりと固定しています。間接で向き合った骨端部には関節軟骨があり、クッションの役割をします。

関節の内側は、滑膜という柔らかい膜で覆われており、この滑膜には滑液という潤滑油の働きをする成分が存在しています。

関節の種類

可動関節にはその働きによって次のような種類があります。

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蝶番関節

ドアの蝶番のように動く関節で膝関節や肘関節のようなものです。この関節は一方向にしか働かず、違う方向に外力が加わると破損します。

球関節

球と窪みの組み合わせの関節で、どの方向にも自由に動きます。肩関節や股関節であり、肩関節は股関節よりも可動範囲が広い関節です。

楕円関節

球関節の変形で比較的可動範囲の広い関節で手首の関節などがあります。

鞍関節

乗馬のときの鞍のような形でしっかりと組み合わさっているがある程度の可動性がある関節です。足首などの関節があります。

平面関節

石垣のようなわずかな隙間があるだけで、しっかりと組まれている関節です。足の甲を形成する関節です。

肩関節の特徴

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関節の中でもっとも自由に働くことのできる間接です。体幹と腕の間に鎖骨と肩甲骨という二つの骨が存在します。

鎖骨は胸の前にある胸骨と肩甲骨の間をつなぎ、肩甲骨は上腕骨の丸い骨端部との間で肩関節を作っています。

人間の身体や関節を真似た機械などが存在します。自由に手が動くロボットなどはまさに人間の骨や関節をそっくり真似て作られており、その動きはまさに人の動きに似ています。人間の想像力がその形を生んだのではなく、人間というモデルを真似たに過ぎません。

人の身体を創った神の英知のその深さをあらためて知らされたような気がします。

骨の中のしくみ

骨はその表面を覆っている骨膜、隙間なく密に詰まった硬い骨の固まりの緻密骨、多孔質のスポンジ状の骨海綿質から構成されています。内部が中空で軽く、柔軟で折れにくい構造になっています。成分の大部分はカルシウムやリンで出来ていますが、3分の1は有機質で出来ているので、骨細胞も血液によって酸素や栄養素の供給を必要とします。ですから骨の骨膜を通って、骨の内部に血管が分布しています。

また骨の内部の空洞には骨髄が詰まっていて、骨髄では毎日2,000億個の赤血球がつくられているほか、白血球や血小板もつくられているとは現代医学の見解です。

骨の成長のしくみ

骨は身体の発達に応じて成長していきます。骨の中には骨をつくる骨芽細胞と骨を破壊する破骨細胞があります。破骨細胞は古い骨や不要な骨を破壊します。骨は骨芽細胞の新しい細胞をつくる働きによって絶えず新しいものに作り替えられます。つくる細胞より破壊細胞が衰えて入れば、身体は成長していくことになります。

子供には骨の両端に軟骨細胞の集まりである成長軟骨層があり、これが骨に変化することで縦方向に成長していきます。成長軟骨層の成長が止まると骨端となって身長が伸びなくなります。

骨芽細胞が骨膜からつくられ骨に変わると、骨は伸びるだけではなく、太く成長していきます。

折れた骨の修復

骨が折れた時に、骨の中から出血し、血の塊が血管をふさぎ出血を止め、折れた骨の隙間を一時的に埋めます。そして折れた骨の周りに骨芽細胞が多く集まり、分裂し増殖が進み、石灰などが沈着して仮の骨(仮骨)を作ります。骨芽細胞は新しい血管や肉芽の組織をつくり。修復を促し、新しい骨芽細胞の量が増え、そこに更に石灰が沈着してより硬くなっていきます。このような状態になると、破骨細胞の働きが活発になり、仮骨の不要な部分を吸収して元の骨の形に整えていきます。骨が折れても元のようになるのはこのメカニックが働いている訳です。

ここで、骨が折れたといって、必要以上に固定し、血行を悪くするような手当てをすると骨芽細胞の働きを阻害され、修復されにくくなり、治りが遅くなります。負荷の掛かる部位でない限りは、いたずらにギブスなどで固めるのは芳しくないことです。

骨の病気

直接骨や軟骨に作られる病気として、椎間板ヘルニア、頚椎ヘルニア、脊椎管狭窄症、骨粗鬆症、SAPHO症候群などがあります。

整体やカイロプラテックなどの診断に「骨が曲がっています」というのをよく耳にします。確かに骨は、長期間歪な角度に固めていると徐々に変形を作っていきますが、短期間に骨が曲がることはないと考えます。

「頸椎や腰椎の骨が曲がっています」という場合、レントゲンなどの写真を見ると、確かに骨が曲がり、軟骨が飛び出した状態が映し出されていますが、それを短絡的に骨が曲がっていると診るのは、あまりにも単純すぎます。

骨の周りの筋肉が異常に緊張し固まると、骨を片方に引っ張り変形を作っていきます。筋肉の緊張度合がコリに変わると、コリを解さない限り変形したままとなります。これが椎間板ヘルニアや頚椎ヘルニアです。また脊椎管狭窄症にも言えることです。

骨を作り上げていく骨芽細胞に血液が流れにくくなり、骨の再生能力が落ちますが、依然として破骨細胞が働き続けると、骨に巣があいたような状態になり、もろくなります。これが骨粗鬆症です。

骨粗鬆症の原因をカルシウムの不足によるものと考える人が多いのですが、これも極めて短絡的な発想です。骨粗鬆症の原因の多くは、骨への血行不良が起因していると私は捉えています。血流を阻害している部分を正していけば骨粗鬆症は改善されます。

骨粗鬆症が比較的広い範囲で起きるのに対して、ごく部分的に骨が破壊されていくものにSAPHO症候群があります。一部分が蟻に食われたように巣が明いて破壊されていく病気ですが、骨粗鬆症と同様、血流を阻害している部分を正していけば改善される病気です。

出ている結果に囚われると、物が見えなくなります。そして対症療法をすることになります。広い視野、水平思考をすることです。