症状

症状とは、生体が病気にかかったときに認められる変化を総括している。すでに病気の状態でもあるが次に起こる病気などの前触れでもある。かゆみ、しびれ、痛み、吐き気、うずき、汗、肌が乾燥する、肌が黒ずむ等々を自覚症状といい、検査をして解る症状を他覚症状といっている。

症状はさまざま

最初に、自分で見たり感じたりできる自覚症状について述べていく。 症状は、警告であり、告知であると思っている。これを無視すれば、重篤な病気を招きかねない。常日頃から、からだからのメッセージを受け取る受信機を整備し、受け取ったメッセージに正しく対処することが大切である。 症状を自覚したとき、それはからだからのメッセージが届いたときである。そのメッセージを正しく受け取りどう処理するかで以後が変わってくる。 症状を消す。感じなくする。これが現代医療に於ける対症療法である。それは専ら薬を用いる方法で、薬の効果が薄れてくればまたもとに戻ってしまう。 医者の中には、それらを否定する者もいる。「症状は、からだからの訴えであるから、熱が出るのは、熱でからだを治しているのだから薬を飲んで消してしまってはいけない。からだに任せることだ」 頭痛についても同じようなことをいっていた。しかしこれでは、症状に対して何もしないことである。医療者なら患者任せであって良い訳がない。 からだが丈夫な人、体力のある人なら、その場を乗り切ることができるだろうが、体力低下や自己治癒力が低下している人には無理なことである。放っておけば症状や病気をより重篤にしてしまうかもしれない。 症状は、からだに異常が起こり、その結果として表れるものである。からだからのメッセージを聞きとり、その症状を一刻も早く取り除くことが重要である。そして正しい対処に心がけなければいけない。 痛みはどのようにしてつくられるのか?痺れやかゆみは?この根本を知ることから始めなければならない。 症状はさまざまである。しかし、そのプロセスを理解することをしなければ正しい対処はできない。 難しく考えることはない。全ての症状をつくるものは、筋肉の異常がもたらすものである。何処かに原因が存在する。目に見えなかったとしても、異常を感じ取れるものである。原因の部位を特定できれば、その筋肉をほぐすことで症状を無くすることができるのである。

1-1 痺れ

腕や脚あるいは頭部に痺(しび)れを感じる。唇に痺れを感じ食べている感覚が分からない。同じ痺れでも部位はいろいろである。  筋肉が収縮した状態が長く続き、弛緩することができなくなった状態をコリという。 各処に起こる痺れの原因は、筋肉の中に含まれている神経を、筋肉のコリが強く収縮して圧迫したときに起きる。  指を輪ゴムなどで強く巻いて放置すると数分で痺れてくる。筋肉のコリは、輪ゴムで絞め付けるような作用もしている。 但し、痺れをつくる原因は、症状の出ている場所とは限らない。むしろ離れた場所にあることが多い。原因を特定するときには、症状の出ている部位から脳に近い方へと原因を探っていくとよい。

上腕と手の痺れ

腕の痺れを例にとってみよう。指先が痺れている場合の多くは、胸鎖乳突筋の喉側の起始に近い部位のコリが、神経を圧迫してつくるものである。しかし中には、突き指や指を直接怪我や傷めた場合、その部位が直接固まって痺れをつくっている場合もある。 上腕の痺れの多くは、上腕自身のコリが原因していることが多い。これは上腕を使いすぎて筋肉疲労を起こしている場合が多いからである。

前腕の痺れ

前腕の痺れも同様で、上腕から前腕に痺れている場合は、上腕からほぐしていく必要がある。前腕だけの場合は、前腕自身のことが多い。前腕と指先が痺れている場合には、まず、胸鎖乳突筋をほぐし、前腕、指と順を追ってほぐしていくと良い。

脚の痺れ

脚の大腿内側の痺れは、股関節のコリに起因し、外側の痺れは、外側広筋、中殿筋のコリが原因の場合が多い。 足先の痺れは、股関節、中殿筋、それに支帯、踝周り、長趾伸筋、のコリが起因している。

顔面神経痛の痺れ

顔面神経痛などの痺れは、胸鎖乳突筋がつくっている場合が多い。そして頬筋、咬筋などのコリが、顔面神経、下顎神経、眼窩神経を圧迫してつくっている。

1-2 痛み

痛みをつくるものは何なのだろうか?(切りキズの痛みは別)  筋肉の中には、血管や神経、リンパ管などが含まれている。その筋肉が緊張収縮しコリをつくると、コリの強い緊張が神経を圧迫し、あるいは屈曲させるなどして痛みをつくっていく。  また、一種の頭痛のように血管が膨張しそれが隣接する神経に触れ痛みをつくるなどの痛みがある。 痺れは、痛みの初期段階のことが多いが、痛みの場合は、コリをつくった筋肉に硬い部分があり、そこに圧しつけるように神経を圧迫したときに痛みが生じる。また、何かの変形を加えられたときにも痛みが生じる。 硬い板の上に指を乗せて上から圧すれば痛みが生じるが、柔らかいスポンジのようなものに指を乗せて圧されても痛みは起きない。つまり、ただ筋肉が凝っただけでは痛みは起きない。硬い部分が存在しその上に神経があるときその方向に圧迫を受けたときに生じるのである。 小動脈や細動脈を筋肉のコリが圧迫し狭めると、その先の血流は速くなる。流れが速く圧力のある血液が毛細血管に流れていくと、血管は太く膨張する。膨張した血管が隣接する神経を圧迫して痛みをつくる。 いずれにしても痛みは筋肉のコリが関係している。ゆえに痛みを取るには、まずコリをつくっている筋肉を解すことである。

痛みには名称がある

痛みは起こる部位によって、頭痛、腹痛、腰痛、膝痛、生理痛などと特定の名称が付いている。  痛みの症状の幾つかをとりあげ、その原因と治療法を探っていこう。

頭痛

頭痛の原因はいくつかあげられる。

1. 頸の筋肉が収縮緊張し、総頸動脈を圧迫して痛みをつくる。

2. 頭部の筋肉が収縮緊張し、筋肉の中にある神経を圧迫して痛みをつくるもの。

3. 脳の髄液が循環されなくなって、脳室が膨張し、神経を圧迫して痛みをつくるもの。水頭症がこれにあたる。

4. クモ膜下脳胞症がつくる頭痛。クモ膜下に髄液が溜まり頭蓋骨を膨らませてつくるもの。

5. 頭蓋と頭皮の間にリンパ液が溜まり、膨張し神経を圧迫するもの。

6. 血管が何らかの理由で異常に膨らみ神経を圧迫するもの。

7. 頸筋の後ろにある頭半棘筋を固め、頭が「ボオッ」とするなど頭の芯に痛みを感じるもの。

8. 眼球の奥を固め頭痛を起こすもの。

以上のような原因が考えられる。

1は最も多い頭痛。左右の総頸動脈の周囲の筋肉が固まり、動脈を圧迫し血管を狭めてしまうと、その先の血流は速くなり、細い血管に血液が急激に流れ血管を膨張させる。膨張した血管が神経を圧迫して痛みをつくる。

2頭蓋と頭皮の間にある筋肉が固まりコリをつくった状態のとき、血流が少し強く流れて血管が膨張し、神経を圧迫し痛みをつくる。この筋肉の層は厚いものではないので、血管がほんの少し膨張しただけでも逃げ場がないために直ぐに神経に触り痛みがつくられる。頭皮に血管が浮き出ている場合がこの頭痛である。

3脳は四つに分けられ部屋に収納されている。その部屋を脳室という。その脳室に脳が傷つかないように水に浸され収納されている。この水を脳脊髄液といい、脳脊髄液は常に循環されている。つまり入ってきた分だけ外に排泄され静脈を通して元に戻っていく。 しかし、頸の根本の筋肉にコリができると、それが静脈を圧迫してしまう。圧力のない脳脊髄液は流れなくなる。だが新しい脳脊髄液はつくられ、脳室内に送り込まれる。脳室内には脳髄液が溜まり、その圧力で脳室は膨張し、それが進むと頭蓋を外に押し出す。そして外側にある神経を圧迫することになり痛みがつくられる。  脳脊髄液の流れを止めている頸のコリを取ればほとんどが解決される。いわゆる水頭症である。

4偏頭痛、慢性頭痛の原因になっている。割と多い頭痛のタイプである。この頭痛を抑えるのに薬を使っても痛みを取ることはできない。特徴は頭を触ったときに水が溜まった「ブヨブヨ」感がある。  頭蓋と頭皮の間に無数の血管、リンパ管が通っている。その内の静脈、リンパ管の流れが阻害され、水が溜まり膨張して神経を圧迫して痛みをつくる。治療法は③と同様、頸筋の筋肉のコリを取ること。更に頭蓋と頭皮の間にある筋肉のコリも取って流れをよくする必要がある。

5頭部の動静脈の一部分が異常に膨らんで痛みをつくるもの。血管の脆い部分が膨らむのと、膨らんでいる血管の先が詰まった時に起こる。つまり柔らかいホースの先に栓をするとその手前の部分が膨らむ。これが頭部で起こる。  頭蓋と頭皮の間は数ミリしかないので血管が膨張したときにこれを吸収することができない。このタイプの頭痛は多い。  膨張した血管の先のコリを取り、血液の流れをよくすれば頭痛は解決する。

6頸筋の後ろ側の頭半棘筋や頭板状筋にコリをつくり、頭重感を伴う頭痛をつくるもの。  頭がすっきりしないというのもこの部位のコリが原因。  このコリは瘤(こぶ)のように硬く盛り上がっている。一見骨が隆起した様に見えるので骨だと思っている人が少なくない。コリを取っていけば瘤状の隆起はなくなり、頭痛もなくなり頭もすっきりとする。

頭痛は単に痛む場合と、いろいろな病気の症状であることが多い。薬を飲んで痛みを感じなくさせるという姑息療法を行うと、病気の気配を消してしまうことになる。1の頭痛のような場合、頸筋のコリを取って解決しておけば、脳梗塞、脳血栓、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中を防ぐことができる。 また頸の後部を固め脳への血流を阻害させていると、頭が「ボォー」とする感覚をつくり痛みもつくる。流れの悪くなった血液が溜まっていけば脳腫瘍などの原因にもなる。  頭痛を治すには、その原因を取り除き解決すること。薬を飲むなどの姑息療法をしてはいけない。

腹痛

腹痛は、胃痛、腸痛、便秘痛、下痢痛、膀胱炎、子宮内膜症炎、生理痛などさまざまであるが、概ね痛みのある部位が原因していることが多い。その部位を探しほぐしていくことだが、他の病気の原因も含んでいることもあるので注意が必要である。

1-3 発熱

よく炎症している部位に触れ発熱をしていると勘違いする場合がある。発熱は、体温の上昇が伴っている。 さまざまな病気の前触れでもあるので、これも薬などを飲んで発熱を抑えてしまうのはよくない。 古くから、熱が出れば冷たいもので冷やすという方法がとられてきた。現代の医療現場でもアイシング(氷で冷やす)が用いられている。この姑息な方法は、何千年と変わってはいない。(姑息というのは、根本的に解決するのではなく、その場一時的に間に合わせることである) 長い人類の歴史の中で解き明かせなかった発熱の原理。人類は、熱が出ているから冷やすという姑息療法の安易な方法ですましてきてしまった。症状は、原因があって現れる。発熱にも原因がある。それを探ることが大事である。

発熱の原因

発熱は、多くの場合、頸にある胸鎖乳突筋のコリが総頸動脈を圧迫して血液の流れを妨げたときに発症する。 ときには腹部などを固めて発熱するケースもあるが、それは腹部の異常や痛みによって胸鎖乳突筋を固め、総頸動脈の血行を妨げることで発熱するのである。例えば、歯に痛みがあると発熱する。これも歯の痛みが直接の原因ではなく、歯の痛みによって胸鎖乳突筋を固めるからである。ゆえに歯の痛みを取り、胸鎖乳突筋のコリをとれば解熱する。 しかし、胸鎖乳突筋を固めると必ず発熱するかというとそうではない。単に胸鎖乳突筋にコリをつくっただけでは発熱しない。脳への血流を妨げる部位にコリがつくられた場合発熱するのである。 血液の循環が体温をつくっていく。血液の流れていない部位は冷たくなる。  脳への血流は絶対的なものである。ゆえに常に自律神経が働き血流を保とうとする。しかし、胸鎖乳突筋などのコリによって血管が狭められ血行が悪くなっている場合、血液を無理やりでも通さなくてはならなくなる。それには、かなりのエネルギーを必要とする。例えていえば、一生懸命力を入れて息張っているようなものである。それによって多量の血液がからだを循環することになり体温が上がっていく。 発熱は「筋肉を動かすから」とする学者がいるが、それは間違いである。筋肉を動かすことで血液の流れが良くなり体温は上昇するが、筋肉の動きを止めれば熱が引いてくるが、発熱は、筋肉を静止させていても下がらない。 熱がある状態というのは平静時でも高熱を発しているもので、筋肉を動かさなくても発熱している。 血液はおよそ17~18秒で全身を循環する。固まった胸鎖乳突筋があり、そこの部分だけに強い圧力をかけて流すわけにはいかない。ゆえにその部分に血液を通すには全身の血流の圧力をあげて流すことになる。そのために大量の血液が全身を循環することになり、体温が上がっていくのである。 発熱の要因をつくっているものは他にもある。寒暖をキャッチするセンサーが胸鎖乳突筋の中にあるが、そのセンサーが狂ってしまうと発熱しているのに「寒い」と感じてしまう。寒いと感じるから、更に暖かくしようと大量に血液を循環させてしまう。それが体温を上げる。 発熱の原因は胸鎖乳突筋のコリである。それをほぐせば直ぐに適温になっていく。

アイシングは最悪

氷などで冷やすと、筋肉は冷たさに反応し収縮する。それを長い時間続ければ、筋肉は元の状態に戻らず収縮したままの状態、つまりコリをつくりあげる。首筋などにアイシングを行うと、胸鎖乳突筋が硬く固まってしまう。固まればまた、発熱することになる。それだけではない、そのために慢性頭痛をつくり、腕や手の痺れや痛みなどの障害を引き起こす。麻痺してしまう場合もある。 発熱した際に、単純に冷やすという愚かな行為は避けるべきできである。むしろ症状を重篤にしてしまう。

1-4 炎症

同じ熱を発するのでも、体温を上げる発熱と一部位に熱を発する炎症では原因が違ってくる。 捻挫や打ち身などの炎症には二種類考えられる。

1 原因である部位が、衝撃や極度の刺激、筋肉の異常収縮、虫刺されなどによって筋肉が収縮すると、その中にある血管を圧しつぶす。詰まった血管の先に血液を流し込もうと、その部分の血圧が上がり血流は急激となるが、スムースに流れないために毛細血管が膨張し、多量の血液で炎症する。

2 異常な収縮をした筋肉が血管を圧しつぶすことは同じだが、その圧しつぶしたことによって、血液が先に流れなくなり、毛細血管は膨れ上がり膨張する。つまり腫れ上がり、多量の血液のために発熱する。ゴム風船の中間をつぶして息を吹き込めば、その手前の部分だけが瘤状に膨れてくる。

以上が炎症の理由である。それを冷やせば、筋肉が膨張し拡大したまま小さくなってしまう。血管が圧迫されれば血液の流れも少なくなって熱も下がる。しかし、腫れ上がった筋肉がそのまま小さくなっているので、筋肉は硬く固まってしまう。 それを繰り返すと、筋肉は固まったままとなり、その部位には血液が流れにくくなる。また、神経も同様に圧迫され麻痺していく。血液が流れてこなくなった細胞は、さまざまな不具合をつくっていく。痛くなくなったから「治った」というのは間違いで、単に神経が麻痺してしまっただけかもしれない。 炎症は、その炎症している部位の筋肉の緊張が原因の場合が多い。血管を圧迫して狭め、あるいは圧しつぶしているだけのことである。ゆえに、その筋肉をほぐせば炎症は消えていく。 捻挫や打ち身などで発熱している場合でも、単に筋肉が硬く固まってつくっているのである。捻挫や打ち身の瞬間、骨折や筋肉の破損を逃れようと、筋肉を固めてガードする。その緊張が強い場合、後に弛緩せずに固まって硬くなってしまった状態が、捻挫や打ち身である。 硬く固まった筋肉でも、しっかりとした技術を持って施術すれば、ほぐれて柔らかくなる。しかし直ぐにまた硬くなる。筋肉は、前の状態に戻ろうとする働きがあるからだ。これはその筋肉の固まりの程度に比例する。 固まったらほぐし柔らかくする、また固まったらそれも解すということを何回か繰り返していくと正常な筋肉になり、炎症はなくなってくる。

1-5 悪寒

発熱すると悪寒が伴う。熱があるのに何故寒いのだろうか? 胸鎖乳突筋が固まり脳への血流が不足すると、何とか血液を流そうと血量が増大し、胸鎖乳突筋の部分が発熱する。頭部も発熱する。 胸鎖乳突筋の温度をキャッチするセンサー部分も熱くなる。センサーは熱いと判断して、自律神経が血量を調整し体温を下げていく。体温は下がっているので寒いと感じることになる。しかし、固まって自由の利かなくなった胸鎖乳突筋の体温調整する部位は、依然と体温を下げる働きをしてしまう。頸から上の頭部は熱く、その下は冷えてくることになる。 脇の下に体温計を挟んで体温を測ると、体温はむしろ下がっているのに、頭部は異常に熱くなる。このときに寒気が起こる。全身の体温が上がっているときには寒気は起こらない。 全ては胸鎖乳突筋のコリが原因。コリを取ると、頭部の温度は下がり、全身の体温も正常になる。

1-6 痒み

血行不良や急に血液循環が良くなると痒みが起こる。また虫刺されやかぶれ、蕁麻疹(じんましん)などによっても痒みが出る。 虫刺されは、その部位が急激に炎症し血行が良くなり腫れ上がると痒くなり、痛みの前の症状である。炎症し腫れ上がっている筋肉をほぐしてしまうと痒みは消えていく。 皮膚への血行が悪くなるとやはり痒みが出てくる。「血行不良何とかしてよ」という訴えでもあり、筋肉と真皮の部分の血流が悪くなっているからである。このコリを取れば皮膚への血行が良くなり痒みは消えていく。 アトピー性皮膚炎や皮膚がゴワゴワ、ガサガサになってしまっているいわゆる乾燥肌の場合、筋肉から真皮のコリをとり、表皮に血液を流れるようにすれば、皮膚に湿り気が出てくる。そして代謝が行われるようになれば、痒みも消えていく。 正常な腸は、その時の人体に必要とするものだけを吸収していくが、腸の働きが狂ってくると必要でないものまで貪欲に吸収してしまう。それは体内に入り小水となって処理されれば良いが、排泄しきれないものが体内のとどまり、血行不良などで皮膚が弱っている部位から外部に出そうとする。それが湿疹という形で出てくる。そして痒みの伴うものが蕁麻疹であると考えている。これを解決するには湿疹の出ている部位とその周囲のコリを取り、内臓を正常にすれば蕁麻疹は治り痒みも消えていく。 痒みは、痺れや痛みなどの前の症状とも取れるが、いずれも血行不良がもたらすものである。

1-7 肌の黒ずみ

肌の黒ずみ。これも、わたしは症状であると考えている。肌の黒ずみをつくるのは、まず腎機能の低下、そして皮膚の血行不良がつくりだす。 仙棘筋、腎蔵を柔らかくしていくと、それだけで直ぐに肌が白くなってくる。

1-8 咳

咳の原因は?風邪を引いたからであるとか、喘息だからというのは答を得ていない。 咽喉を刺激したり、圧迫したりすると咳がでる。故意に刺激や圧迫するものではなく日常生活においては、病原菌や異物などの刺激で起こる。また咽喉が乾くと糜爛(びらん)し刺激に敏感になり、ちょっとした刺激(咽喉の筋肉を少し動かした程度や冷たいものなどの刺激)で咳がつくられる。 ウイルスが鼻や口から侵入して咽喉を刺激すると、咳が出してウイルスを吐き出そうとする。これが一般的な意見である。しかしこれは風邪などの初期症状で、風邪は治っているはずなのに咳が止まらないといった場合には当てはまらない。 一度始まるとなかなか止められない喘息の咳などは、病原菌や埃を吐き出すという理論では説明できない。 一つの咳をするには、咽喉筋、胸鎖乳突筋、棘上筋、胸筋、肋間筋、腹筋などの多くの筋肉を使い、相当なエネルギーを費やす。 単発の咳は、病原菌や異物などの刺激で出てくるが、続く咳、止まらない咳は、咳によって緊張し固まった筋肉への刺激によってつくられる。 最初に、病原菌や異物の刺激によって咳をつくり、それをしつこく何回も繰り返すと、咳をするたびに使った筋肉が収縮したままになり固まりコリとなる。 例えば、胸筋や肋間筋を使って咳をした場合、胸筋や肋間筋が固まりコリができる。それは胸が内側に縮こまっている状態でもある。その時、仰臥すると、当然肩が浮いているので重みで必然と下がる。つまり胸筋や肋間筋を外側に引っ張ることになる。緊張している筋肉に刺激を与えているのと同じである。それが引き金となって咳をつくりだす。そして咳をしたことによって更に胸筋や肋間筋を刺激し、咳が止まらなくなる。筋肉の緊張がとれないかぎり咳が続くことになる。これがなかなか止まらない喘息や百日咳の咳である。 ゆえに、咳をつくっている筋肉を捜し、その筋肉をほぐせば咳は止る。しかし多くの場合、コリをつくっている筋肉は複数ある。それらを全部ほぐす必要がある。

1-9 息切れ

息切れは、腹直筋、肋間筋、胸鎖乳突筋のコリが原因である。 息切れの症状の現代医学の解釈は「血液中の酸素が不足して起きる」である。しかし、何故酸素が不足してしまうのかは理解していない。 3,000㍍の山の上にいるのなら酸素が不足して息切れを起こしても不思議はないが、人間が住んでいる一般的な場所で酸素不足になることはまずないだろう。 血中の酸素量が減ってしまうと考えるなら、酸素を吸収できていないと考えれば合点がいく。 酸素不足の起きる原因は、呼吸が満足にできないからで、原因を正せば酸素不足は解消し息切れはなくなる。出ている結果を検査し、それを原因とする考え方。すべての症状や病気に対する現代医学の共通の考え方である。だから真意が掴めないのである。

原因

肋間筋や胸鎖乳突筋のコリは呼吸全体に影響し呼吸困難を引き起こすが、息切れはつくらない。息切れの直接原因は腹直筋のコリである。

腹直筋のコリ

呼吸は、肋間筋が動き胸郭を膨張し空気を体内に吸引し、肋間筋が収縮して空気を外に吐き出す。これが呼吸のシステムである。 腹直筋を固めると、その収縮が肋間筋を下に引っ張り、肋間筋を動けなくさせ胸郭が膨らまなくなり呼吸ができなくなってしまう。それでは死んでしまうので、鼻の筋肉を無理に使って息を吸い込むしかなくなる。しかし、その呼吸量では、階段を上がったり、坂道を登ったり、小走りに歩くといったことすれば、当然酸素不足になり息切れを起こしてしまうのである。

胸鎖乳突筋のコリ

胸鎖乳突筋というのは、鎖骨部分から耳の下まである長い筋肉であるが、この筋肉は多症状をつくっていく筋肉であるが、呼吸に関していえば、起始の部分のコリが影響する。 この起始部分を固めると、肋間筋が動かなくなってしまい、呼吸ができなくなってしまう。 以上の二つの筋肉を固めることで息切れが起きてくる。ひどくなると、呼吸筋の総元である肋間筋までを固めてしまう。すると些細な行動や動きを行うことで息切れがしてくる。この三ケ所の筋肉を同時に固めている人も少なく無い。 息切れを治すには、これらの筋肉の状態をみて、固まっている筋肉をほぐして行くことである。腹直筋、胸鎖乳突筋、そして肋間筋のコリという順序である。 息切れから予想される病気がいくつか考えられるが、それはすべて、腹直筋、胸鎖乳突筋、肋間筋のコリからつくられると言って過言ではない。

1-10 息苦しい

鼻が詰まって息ができないというのは別の話であるが、息苦しい状態をつくるのは、胸鎖乳突筋の起始部分のコリと鳩尾下の腹直筋のコリによるものである。症状が進んでいる場合、胸筋や肋間筋のコリも関係していることもある。

1-11 目眩(めまい)

一般的に周囲のものが停止しているにも関わらず、いろいろな方向にグルグル動いているように見える、クラクラするなど、安定した姿勢を取ることができなくなった状態を、目眩と現代医学では定義付けている。 目眩は、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、頸板状筋のコリが原因である。 メニエール病も同様で、これらのコリを取ることで治すことができる。 メニエール病や難聴は、三半規管の異常が平衡感覚を乱すと考えられ、耳鼻咽喉科の診療範囲となっている。しかし、どうやって三半規管の異常取ることができるのであろうか?薬では不可能である。目眩は、頸筋のコリを取れば直ぐに治っていく。

1-12 ふるえ

何か行動を起こそうとすると手がふるえる。意識して手を動かしていないのに手がふるえてしまう。自分の意思とは関係なく、手足や全身が反復運動することをふるえという。医学用語では振戦(しんせん)という。 そのような症状をもつ病気に、パーキンソン病やアルコール依存症などがある。 現代医学での解釈では、パーキンソン病は、小脳やドパミンの分泌不足、アルコール依存症は、アルコールの摂り過ぎと判断されている。 この症状の主原因は、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、棘上筋、上腕筋、前腕筋、掌の筋肉のコリが原因である。 胸鎖乳突筋のコリは、動悸、頻脈、眼球突出などの甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)や視力低下、手足の脱力、感覚低下、歩行障害の多発性硬化症もつくる。 アルコールの多量摂取がふるえをつくるとして、アルコール依存症などのあらぬ疑いを持たれている人もいる。しかし、直接アルコールがふるえをつくることはない。 頻繁に使う筋肉を硬く固めると、筋肉を解そうとする働きが起きる。これがふるえである。全ては筋肉のコリが原因なのである。

1-13 動悸 不安

普段は意識しないのに、心臓の拍動を不快なものと感じる症状である。心配事や怖いものを見たとき、好きな人にあったとき、運動をしたときなどにドキドキするなどは原因が分っているので心配することはないのだが、運動も心配事などが無いのに心臓がドキドキする。これが動悸である。 動悸をつくるのは、心臓に異常があると思いがちであるが、腹直筋、特に心窩部(鳩尾の部分)、心臓の下部のコリが原因である。それに肋間筋のコリや胸鎖乳突筋のコリが加わると更にひどくなる。息切れとも共通しているが、特に心窩部の腹直筋を固めた場合に起きる。 普段から腹直筋を固めている人が、心配事、恐怖感を持ったり、運動をしたりすると、腹直筋が収縮し硬くなり、心臓を下に引っ張って動きを悪くする。それを何とかしようと心臓は前に増して動きを速める。そして心拍数も増えてくる。これが動悸である。 心拍数が増えて普段と違ってきたとき、「こんなに心臓が動いて壊れないか」と不安が起きる。動悸と不安はリンクしているのである。 心窩部の腹直筋の緊張は、肋間筋の動きも悪くするが、心筋を下に引っ張ってしまい、それが心臓の冠動脈を圧迫し狭めてしまう。心臓への血流が悪くなり、心不全、心筋梗塞などを起こすことも考えられる。

1-14 呼吸困難

呼吸困難。呼吸する際に、吸えない、吐けないなどの呼吸不全、また呼吸の際に痛みが起きるなどの症状である。 原因は、呼吸筋を固めて動かなくなってしまうことや、肋間筋の収縮が肋間神経を圧迫して痛みをつくるものである。 それをつくるものは、過度の運動、スポーツなどして呼吸筋を固める、抗ガン剤、鎮痛剤などの服用である。 腹直筋の心窩部、肋間筋、胸鎖乳突筋の起始部、棘上筋、棘下筋などのコリをほぐすことで治る。

1-15 腹痛

現代医学は、腹痛を「内蔵性腹痛」、「体性痛」、「関連痛」、「心因性腹痛」などに分けている。 ともかく腹痛は、体内で発生した何らかの異常の警報ともいえる自覚反応である。 これを、薬などを服用して神経を麻痺させ痛感をうばう対症療法はさけ、腹痛をつくっている原因をまず探し出すことである。 腹痛をいっても、鳩尾の下から股間までの間には、さまざまな病気をつくる部位がある。

心窩部なら、息切れや心房細動、不整脈、逆流性食道炎などの症状や病気をつくりだす。その下部には膵臓の病気がある。

左上なら、胃炎、胃ガンなどが考えられるし、右なら肝臓炎や肝硬変、肝炎、肝機能障害をつくる。

中間なら、大腸や小腸、十二指腸炎などの症状や病気、下腹には便秘や膀胱炎、生理痛、筋腫、子宮内膜炎、卵巣炎などとさまざまである。

とにかく腹痛は、痛みのつくっている部位をまずほぐしていくことである。 例えば、大腸の憩室痛などはかなりの痛みをつくるが、症状のある部分をほぐしていけば痛みがなくなりしかも憩室も改善され変化する。 大腸ガンなどによる腹痛も、痛みのある部位をほぐしていけば痛みが消えてくる。そしてそれがガンの退縮につながっていく。 腸捻転なども、その部位と周りに気を送りながら軽く圧していくと捻れが取れてくる。 月経痛なども、下腹をほぐし、鼠径部をほぐし血行をよくしていけば、症状は消えていく。 よく「胃が痛くて」と訴える人の多くは、心窩部の腹直筋のコリが原因だが、気を送り二方向を用い下部にずらすようにしていくとコリがほぐれてくる。

1-16 水筋肉

水筋肉とはわたしの造語である。全身の筋肉に水が含まれた様をいう。筋肉が一様にブヨブヨとして柔らかく、進行していくと皮膚がくすんでくる。しかし、浮腫ではない。浮腫になると、指で圧したとき凹んだまま戻らなくなるが、水筋肉はそのようなことはなく、浮腫になる手前の症状ともいえる。

腎機能が低下し、腎臓で処理され排泄されるべき尿が排泄されずに、全身の筋肉に逆戻りして筋肉細胞内に含まれた状態である。また、腎臓から膀胱へつながる尿管の入口部分を他の筋肉が圧縮してつぶし、尿が膀胱に流れなくなり、その尿が全身の筋肉に逆戻りしてしまうために起こる現象である。

筋肉は、最初に筋繊維があり、それらが集まり筋束を成し、また幾つかの筋束が集まり筋肉をつくっている。筋肉が力を発揮しようとするとき、筋繊維が収縮するが、単独では要求された出力には応えられないとき、隣同士の筋繊維とくっつき筋束をつくりあげて対応する。それでも不足するときには筋束同士がくっつきその力に対応していく。

筋繊維は、それぞれ筋膜という膜で保護されている。また、その膜の粘着力で隣同士の筋繊維とくっつき筋束をつくる。筋束と筋束をつなぐのもこの筋膜で成り立つ。

水筋肉になると、血液と現尿が筋繊維と筋繊維の間に入り込むために、筋膜の粘着性がなくなり筋束がつくれなくなる。つまり接着剤を水で濡らしてしまうことと同じである。それが筋束同士の部分でも起こり、筋肉の結束が落ち、筋肉本来の力を発揮できなくなる。だが、それが全筋繊維間で起こるわけではないので、侵食されていない部分はその役目を全うできるので、筋力は衰えても多少の力は出すことができる。しかし、その状態を続けていると、使える筋肉は、無理な力を発揮せざるを得なくなり、筋肉疲労を起こし痩せ衰えていく。そして、代謝が衰え老化していく。さらにそれが進んでいくと、筋肉は締まったように固まり、膠原病にあるような表面はブヨブヨし、深層は骨のように硬く固まったような筋肉になっていく。

水筋肉になると多くの病気の原因を隠してしまう。例えば肩や首の筋肉のコリが多くの病気をつくっているが、肩や首が凝っていても、筋肉がブヨブヨし柔らかく触れても硬さがないので、コリがないと判断してしまう。肩が凝って辛い、首が辛いという症状はあっても、それを取ることができなくなってしまう。 まず、肩や腕、大腿部などに触れ、筋肉がブヨブヨになっているか、いないかを確かめて、施術に臨むべきである。

治療法

仙棘筋、腎臓をほぐしていく。また、股間や、臀部、棘上筋、胸鎖乳突筋などの筋肉もほぐしていくと、筋肉に締まりが出てくる。そしてその時点の硬さも出てくる。

1-17 浮腫

浮腫(ふしゅ)とは、顔や手足などの末端が体内の水分により痛みを伴わない形で腫れる症候で浮腫み(むくみ)ともいう。  浮腫みを考えるときに、血液の循環を正しく理解しないと解決しない。まずそこから知っていこう。

ここに、成美堂出版から出されている「からだのしくみ事典」の一部を引用し、それを考察することから始めたい。  「引力と運動で血液を送る動脈と引力や運動で血液を送る静脈」と題した見出しがあり、次のような文章が記載されている。

動脈が自ら収縮して血液を送り出す力を持つのに対し、静脈には自ら血液を送り出す作用はありません。静脈壁が薄く、内腔には弁があるのが特徴です。頭部や頸など、心臓より上にある静脈血は引力によって自然に流下して心臓に戻り、心臓より下にある静脈血は、脚のふくらはぎや腕を動かした時の筋肉の収縮や弛緩と逆流を防ぐ静脈弁によって心臓の方向へと押し上げられます。 したがって、手足をあまり動かさないと、静脈血の流れが悪くなります。また足の静脈は心臓から遠いため、大きな圧力に打ち勝って、血液を送らなければなりません。長時間立ったままでいると足がむくむことがありますが、これは足の静脈の壁が圧力によって異常に膨らんだ状態で、時に静脈瘤ができることもあります。

以上の現代医学の学説を肯定して考察していくと多々矛盾が生じてくる。

○静脈内の血液は筋肉を動かすことで、心臓に戻ってくる。

これをそのまま受け入れた場合、腕に怪我をしてギブスをはめた時のように腕の筋肉を動かせなくなった人の場合、腕に廻った血液は循環しないことになる。しかし現実にはこんなことは起きてはいない。

○頭部や頸など、心臓より上にある静脈血は引力によって自然に流下して心臓に戻り・・・

というのもおかしい。この説明は立ったり座ったりしている時に成り立つ。寝ていた場合はどうなるのだろうか?ほぼ同じ位置になるので、この説を受け入れれば頭部や首の血液は動かなくなる。仰向けに寝て、脚を少し高い所に持ちあげていたら血液は脚に流れないことになる。

○心臓より下にある静脈血は、脚のふくらはぎや腕を動かした時の筋肉の収縮や弛緩と逆流を防ぐ静脈弁によって心臓の方向へと押し上げられます。

これも寝ていた時には、血液の循環は起きないことになる。そしてふくらはぎや腕の筋肉を常に動かしていなければならなくなる。そのようなことは不可能で、動かしていない時には、静脈内の血液は留まってしまうというのだろうか? 2メートル程度の長さの直径10㎜の細い管があり、その先端に200CCほどの水の缶を取り付け、心臓の高さに固定する。管の片方の先端を心臓の少し下まで上げたとすれば、管は途中で下がって曲がっていても、水は出てくる。これは管の中が負圧になっていると条件の時に成り立つ。しかし心臓より高く上げたら出てこない。だが少し圧力を加えるとスムースに出てくる。 3階以上の建物に取り付ける高架タンクというものがある。水道水が浄水場から送られてきてもその圧力では3階にある蛇口からは圧力不足のために水が出てこない。それを補うために、一端下からポンプアップして高架タンク内に水を溜めてそこから蛇口に水が流れるようにすると高低差によって圧力がでて水がスムースに出てくる。この高低差は圧力に比例し、水の出に影響するが、心臓からの圧力ほどの高圧ではない。 これは正に人間の血管の中と同じである。途中で管の中の水を押し上げようとしなくても水は流れるのである。心臓から出た血液を、また心臓に戻すために脚のふくらはぎや腕を動かす必要はまったくない。ましてや血管内は心臓によって常に圧力が加えられているので、弁や栓をしない限り流れるのである。

筋肉を動かしたとき静脈内の血液が移動する。これは当然のことで、この機能がないとしたら、筋肉を動かしたときに血液が邪魔をして動かせなくなる。例えば肘に風船を挟んで屈曲させてみれば動かしにくいことが分るだろう。血液が移動していくから筋肉をスムースに動かすことができるのである。しかし、筋肉を動かすことによって血液が移動すると考えるのは間違いである。 血管に血液が入っていて負圧の状態にあるとき、圧力が働けばそれは押し出されていく。つまり圧力のある動脈から圧力の無い静脈に移っても、血管に穴があいて漏れていない限り血液は押し出される。 静脈に静脈弁という弁があるのは、心臓の収縮時から拡張時に移行するときに、圧力のない静脈内の血液が元に戻らないようにするためである。 水を送るポンプのように、送り出すピストンが一回転してまた送る間隔が短いほど水圧に乱れはなくなる。つまりピストンの回転数が大きいほど水圧の乱れは少なくなる。しかし、心臓の動きのように、1秒程度(人によって差がある)の間隔で送るポンプでは、その切り替えの時に必ず逆流が起きる。ある程度の圧力のある動脈にはそれが起きないが、圧力の無くなった静脈には逆流の現象が起きてくる。それを防ぐのが静脈弁である。 筋肉の動きによってしか静脈内の血液が心臓に戻ってこないとしたら、静かに横たわって筋肉を動かさないでいたら、血液は循環しないことになってしまう。おかしな考え方である。

次の説明にも疑問を持つ。

○血液が血管を流れるしくみは、動脈と静脈ではまったく異なります。

心臓から押し出された血液は、動脈を通してからだのすみずみの毛細血管まで送られます。ただし、このとき動脈を通る血液は、心臓から送りだされる力だけで流れるわけではありません。  動脈は静脈に比べて血管壁が厚く、伸縮性と弾力性に富んでいるのが特徴で、血液を受けるとふくらみ、次の瞬間に縮むといった筋肉の収縮、弛緩によって血液を先へと送ります。この繰り返しで血液は先に進んでいくのです。  これは、観察者が実験的生体の血液が流れていく様を観察して、血管が膨らんだり縮んだりするのは、血液を先に送る働きと考えてしまったからであろうと推測できる。  流体力学から考察すれば、ポンプからの圧力を得て流体がある管の中を流れるとき、管がストレートで摩擦抵抗のないものがスムースに流れることは常識である。中間で膨らんだり縮んだりする管を流れる流体は、その抵抗を受けて流れにくくなる。もし、血液の流れを助けるものであるなら、方向性を持つしくみを持ったものでなくてはならない。また腸などの蠕動運動のようなしくみを持っていなければならないが、逆にそのような装置があったとしたら、縮まっているときに抵抗が大きくなり、むしろ流れを妨げるものになる。  膨らんだり縮んだりする事実を説明するなら、それは、血管を取り囲んでいる筋肉の柔硬差による。筋肉が柔らければ血液の圧力によって膨らみ、圧力の少なくなったとき弛緩して縮まる。硬い筋肉なら血管は膨らまずそのままである。 心臓の収縮時の圧力の上がった時膨らみ、拡張時の圧力の下がった時に縮む。このように考えるのが自然であろう。

例を示してみよう。水を撒くために使うビニールホース。水を管に流しながら、両手であるいは片手で摘み、圧したり放したりすることを繰り返した場合、水の流れが速まるだろうか?ホースから出た水の流れは乱れるが水流が速まることはない。また水の流れを助けているとは考えられない。むしろ妨害をしてしまう。  また血液を受けるとふくらみ、といっているが、血管の中は常に血液で満たされているはずだが、時々途切れたりするのだろうか?この説明は、血管が膨らんだり縮んだりすることを無理やり説明付けしているとしか思えない。  血管が膨らんだり縮んだりするのは、血管を取り囲んでいる筋肉に柔らかい部分と硬い部分が存在するからである。 少し流れは妨害されるが、動脈が膨らんだり縮んだりすることは、血管壁についた汚れやコレステロールなどを除去するために必要である。このような動きがあって動脈硬化防止になり、血管壁は正常を保てるのである。 しかし、筋肉が硬く固まっていれば、血管壁は動かず汚れやコレステロールを落すことができず、血管壁に着き、動脈が強張ってくる。動脈への血流も悪くなり血管の老化が進んでいく。 現代医学で解明できていない動脈硬化は、以上のようなことである。

浮腫の原因

浮腫は、水筋肉が進行したものでもある。腎機能の低下と浮腫を起こしている筋肉のコリが原因である。  腎機能の衰えは、まず腎動脈の血流が落ちてきた時に始まる。腎臓のいろいろな機能を正常にしておくためには、その動力となる潤沢な血液の循環が不可欠である。  仙棘筋や腎臓そのものを硬く固めてしまうと、腎臓への血液の循環が落ちてくる。また毛細血管の塊のような糸球体を圧迫し、血液を阻害すれば血液は浄化されなくなってしまう。腎臓の脊椎側の部分に膀胱につながる尿管がありその出口部分を、仙棘筋のコリなどが圧迫して通りを悪くすると、尿が膀胱に流れて行かず、排泄されるべき尿が体内に留まってしまう。これが浮腫の一つの原因である。  筋肉にコリをつくると筋肉は収縮したままとなる。その収縮が血管を圧しつぶす。筋肉に圧しつぶされても圧力のある動脈は、多少の圧迫には耐え血液を送ることができるが、圧力のない静脈は、筋肉の収縮に抵抗できずにつぶれてしまい血液の流れを止められ循環を失う。 静脈は、筋肉内に含まれた尿を含んだ血液を循環させることができなくなり膨らんでくる。これが浮腫である。 浮腫は、筋肉のコリによってつぶされた血管が多くなり、血液や水が循環されなくなって、溜まってしまう状態で、腎機能を正常にした後、静脈をつぶしていると思われる筋肉のコリをとっていくと、解消していく。 しかし、水筋肉によって粘着性の失った筋肉は萎んだような状態になっており、これを元に戻すには、何回も筋肉をほぐして、正常な筋束をつくれるようになるまで行う必要がある。一つの筋肉の形態が正しい状態になると、浮腫は完全に解消する。

脚の浮腫

脚の浮腫の原因を探ってみよう。まずは、股間、腸腰筋のコリである。腸腰筋の下の臀部側には、大腿動静脈が走っている。そこの静脈を圧しつぶしてしまうと心臓に血液が戻りにくくなる。この部分のコリを取っただけで浮腫が無くなっていくことも多い。そして脚全体の筋肉のコリを取っていくことだが、心臓に近い部分からほぐして行くのは常道である。大腿直筋、外側広筋、内側広筋、膝窩、長趾伸筋、ヒラメ筋、内果、外果周り、支帯、足の甲のなどのコリを取っていくことで脚の浮腫をなくすることができる。

腕の浮腫

腕はまず胸鎖乳突筋の起始部分のコリを取り、上腕三頭筋、上腕二頭筋、肘窩、前腕、支帯、手のコリを取っていく。これを何回か繰り返せば腕の浮腫みは消えて行く。 脚の場合も腕の場合も、最初に仙棘筋、腎臓をほぐすことが必要である

1-18 腹水

腹水が溜まる。もう末期という印象がある。なぜ腹水が溜まるのであろうか? 腹膜炎などによるものも多いが、これも腎機能の低下、腎不全が主原因である。そして尿管の通りの悪さや膀胱炎なども加わる。腎不全を起こす最大の要因は薬剤である。腹水をつくるもう一つの原因は、腸の固まりである。手足が浮腫み、それが助長されていくと腹水も溜まってくる。 都内の有名病因で、大腸ガンの手術の後、腹水が溜まった患者の脇腹にカテーテルを通してその先にバルブをつけて、腹水が溜まったらそこから抜くというドレーンという姑息な療法を見かけたことがある。腹水が溜まる原因を理解していないからできることだろう。 仙棘筋から腎蔵を解し、腹部,膀胱を解していけば腹水は取れてくる。

1-19 耳鳴り

耳鳴りとは、実際には音がしていないのに、何かが聞こえるように感じる現象であると、ウィキペディアに紹介されている。(2012・09・05現在)

夏でもないのに耳の中でセミが泣き、キーンとした機械音が聞こえる。これは事実音である。 耳鳴りは、何かが聞こえるように感じる現象や幻聴ではない。実際にその人に聞こえる現象である。だが他の人には聞こえないので、聞こえない人が考えると、ウィキペディアに紹介されたようになってしまうのだろう。

現代医学では、耳鳴りをどのように考えているのだろうか?

○自覚的耳鳴り

自覚的耳鳴りは本人にしか聞こえることのない耳鳴である。

○病的な耳鳴り

難聴とともに出現することが多く、外有毛細胞の障害が原因であるが、明確な原因は不明である。

○生理的耳鳴り

完全な無音状態で、「シーン」という耳鳴り。

○他覚的耳鳴り

他覚的耳鳴は外部からも聴取可能な、実際に聞こえる耳鳴り。その原因は、大小の筋肉の痙攣や、血管病変の拍動。

と家庭の医学の解説書にはある。

耳鳴りの原因

耳鳴りの原因は、耳付近の血管中を流れる血液の音である。だが毛細血管のような極細の血管ではなく、細動脈のようにある程度の太さをもった血管が、筋肉のコリによって圧し潰れて狭められた血管の中を通るときに発する音である。 水撒きの際、ビニールホースの先を少し潰して見るとよく分かる。それまで水が落下した音しか聞こえなかったのが、ホースの先に音が出てくる。 次に、全体を圧し潰し径を細めて欲しい。楕円状に圧し潰したときの音とは違っていることが分るだろう。 正常な径を確保している血管の中を血液が流れても音はしない。しかし、変形を起こしている血管の部分を、圧力を調整していない血液が流れると音が生じるのである。それがたまたま、耳の近くであるために聞こえてくるのである。 血管の変形は、筋肉のコリがつくる。さまざまな理由で筋肉が緊張収縮する。その筋肉が弛緩されずに収縮したままになると、更に収縮しようとする働きが起こる。そのときに筋肉の中にある血管を圧し潰していく。あらゆる部分に敷設されている血管は、ストレートの部分だけではなく、曲がった部分や分岐をつくっている。耳鳴りは、特に曲がっている部分や分岐をつくっている部分に多く起こる。つまり要因は筋肉のコリである。

高い音の場合

周りから潰され細くなった血管に強い血流をもつ血液が流れると、細くなった血管壁を震わせ、ピューとかキーンという高い音が出る。

低い音の場合

血管の断面積は同じでも、平たく潰れた血管の中を強い血流をもつ血液が流れると、血管壁を震わせセミの鳴くような低い音が出る。 口笛は、口先をつぼませ強く吹く。するとピーピーと高い音が出る。それを、金管楽器を吹くように口先を平たくし唇を震わせて音を出せば、ブーブーという低い音が出る。 耳鳴りは三半規管の不具合がつくる音ではない。現代医学が考えるような原因ではない。 耳鳴りを以上のように考え、治療していくと治っていく。耳鳴りをつくる主部位は胸鎖乳突筋の停止部であるが、その他にも内耳介、外耳介、咬筋のコリも起因している。しかし、原因である部位を探すのは難易である。

難聴との関係

鼓膜が振動し、中耳、内耳、蝸牛と伝わりそれを脳が判断して音を認識する。現代医学の学説に異論はない。しかし、難聴も血行不良がもたらすことを現代医学は理解していない。 大きな音や高い音を聞くと、その音の振動に筋肉が反応して緊張し固まる。それが長時間、あるいは長期間続けていくと、筋肉は弛緩しなくなりコリをつくりあげる。   音の刺激による筋肉の緊張は、鼓膜筋肉だけではない。肩、頸などにも影響し、更に全身に影響していく。 難聴も血液の流れの問題である。その流れを悪くしている筋肉が、たまたま耳の近くで、耳鳴りをつくるような状態をつくったとき、難聴と耳鳴りの因果関係をつくるのである 逆に考えれば、耳鳴りを伴う難聴の場合、耳の近くにその原因があることが分る。 耳への血流を妨げているコリを取り、鼓膜周りの筋肉を緩めていくと難聴は治っていく。それにつながって出ていた耳鳴りの音も消えてくる。

1-20 加齢臭

老人になってくると独特の臭気を発する。これを加齢臭といっている。 これは、うっ血した血液が腐ったものと、一部の筋肉細胞が腐り、それが肌の汗腺を経て外に出るためである。 臭いを消す薬や臭いを他の臭いと混合させてしまおうとするサプリメントなどが出ている。現代医学では原因をつかめていないようだ。 加齢臭を症状として加えているのは、「うっ血しているよ、血液が腐っているよ」という警告であると思うからだ。 なかなか出血の止まらない傷をつくり、それをテーピングや包帯などをして止血をしていると、幾分漏れた血液が包帯などに含みそれが腐ってくると、老人が放つ加齢集と同じような臭いになる。 加齢臭にもいろいろあるようだが、仁丹などの臭いと同じ臭いが混じっている場合(ケトン臭とは違う)、筋肉細胞も腐っていると考えた方がよいようだ。

加齢集の改善

まず、腎臓のコリをほぐし、肩、頸、そして腹部のコリを取っていく。それで消えなければ、腕、脚までのコリをとっていく。腕、脚のコリは、老人班の出ている場所に多くある。くすんだ肌が、白く赤みが出てくるようになれば加齢臭は消えている。 コリが取れてくると、瞬時に臭いは消えていく。おそらくうっ血した血液が他の血液と混じり、それが腎臓を経由して浄化されていくからであろう。 しかし、一度取れたからといってそのままにしておくと直ぐに筋肉はもとに戻り、また臭いを発するようになる。八段錦や優しい運動を指導し、筋肉に血液の滞りを無くすようにしなければいけない。

1-21 口臭

口臭の原因は二つ考えられる。口内を不清潔にしてその腐った臭いが出てくるものと、腸内の有機化した臭いが出てくるものである。 口内の歯の隙間に食べ物がつまりそれが発酵して臭いが出たり、虫歯などで歯根が腐ってその臭いが放出されたりするものは、口内を洗浄し、虫歯を治せば解決する。  しかし腸内の臭いが出てくるものは、外部からの対症療法では解決しない。 腸筋が固まり蠕動運動などを失った腸は、食べたものが先に送りだされないために消化に時間がかかり、その間に発酵してしまう。その臭が口から放出されてつくられる口臭である。ただ胃腸の働きが正常でなく臭いをつくったとしても、通常は口から外部に臭いが漏れないようになっている。 これは臭いだけではなく、胃腸の中に入った食べたものが逆流しないように、あるいは胃液が食道に出ないようにするために、食道と胃の境に噴門弁という弁があるからだ。それが正常に働いていれば、食べ物や胃液の逆流を防ぐだけではなく、口臭も外に出なくなる。噴門弁は、食べ物が入ってきたときに自動的に開き、通り過ぎると閉まる機能をもっている。

口臭の改善

収縮して固まった胃腸、また膨張している胃腸、そのどちらも正常な消化を妨げている。まず、胃や腸筋のコリをほぐし柔らかくし、伸縮を自由にし、蠕動運動を闊達にする。 そして口臭が漏れないように噴門弁を正常にするには、弁の筋肉は勿論、腹直筋、肝臓部の筋肉のコリをほぐしていく。  噴門弁は深いところにあるので、直接手で触れてほぐすことはできないが、腹直筋全体、特に鳩尾部分のコリをほぐしたあと、噴門弁に気を送っていけばコリも取れてくる。 口内を清潔にし、胃腸や噴門弁を正常にすること。これでほぼ口臭は消えていく。

1-22 体臭

体臭の多くは、腸内の発酵腐食した臭気が汗腺を通して出てくるものと、腎臓で処理され排泄されるべき小水が処理されず汗となって出てくるもの、ケトン臭などである。 腸は、口臭の項で説明しているように、腸筋をほぐし正常にすること。 体臭や汗は汗腺を通して出てくる。その汗腺は表皮にあり自律神経によって開閉される。 しかし、表皮やその下の筋肉のコリによって常時汗腺が開いたままになっていると汚臭が出てくるようになる。 一度、汗腺から汚臭が出るようになると、出る道ができてしまう。 多汗症や多汗症でもないが常に汗をかいている人は、常に汗腺が開いているので、それがからだのクセとなってしまっている場合が多い。多汗症の原因は、胸鎖乳突筋のコリなので、まず胸鎖乳突筋のコリをとって必要以上に汗を出ないようにすることだ。そして、上半身の表皮からその下の筋肉のコリを取り柔らかくして、汗腺の開閉を自由にできるようにする。特に頸、肩、背中、脇の下などは注意すべき部位である。 汗臭い排泄水の臭いが出ている場合は、仙棘筋や膀胱、尿管などのコリを取り、正常な泌尿システムにすることである

1-23 発汗

汗をかくのも症状のひとつである。からだが暑くなり体温の上昇を防ぐ意味で汗が出る。汗を出して表皮を冷やすためである。正常なからだの働きであるが、それが異常に汗をかくというのは、体温の上昇によるものでないことが多い。多汗症はその一例である。 発熱と同様に。体温を調整するために「暑い、寒い」と感じるセンサー部位が胸鎖乳突筋の中央部にある。この部分にコリをつくると暑さや寒さに対して異常な反応をするようになる。正常な人なら「 暑い」と感じない程度の温度でも「 暑い」と感じてしまい汗を出すことになる。そして、その汗が胸鎖乳突筋を濡らして冷すために更に胸鎖乳突筋を固める。胸鎖乳突筋を固めると、総頚動脈を圧迫して脳への血流を阻害する。それを、正常に保とうと、血圧を上げ血流が増やすので、首から上の部分の体温が上昇する。そのために「更に暑い」と感じ、自律神経はその情報を得て更に汗をだしていく。

治療法

胸鎖乳突筋の中央部のコリを取っていけば、異常な発汗はなくなる。

1-24 膨満

張って膨らんでしまうことである。特に腹部に起きる。異常な腹部の膨らみをつくるものは、内腹斜筋や胃や大小腸筋のコリである。 筋肉にコリをつくると緊張し膨張する。しかし、時間が経過していくと締まったように固まっていく。 腕の力瘤のようなものも、筋肉が緊張し膨張して大きくなっている。その緊張している筋肉をほぐすと即座に縮小していく。胃や大小腸筋の膨張は、他の筋肉に比して大きいが、ほぐしていけば無くなってくる。それでも膨満の取れない場合、皮下脂肪の固まったセルライトの影響があるので、それもほぐす必要がある。

1-25 立ちくらみ

眩暈と同様だが、立った際や、立っているときに「クラッ」とくるものを立ちくらみといっている。 原因は、眩暈と変わりがないが、特に胸鎖乳突筋の停止部分のコリが主である。

1-26 胸焼け

胸焼けは、腹直筋の鳩尾下と噴門弁の周りの筋肉にコリをつくり、食道と胃の境にある噴門弁が完全に閉まらなくなり、そこから胃酸が食道に逆戻りしてつくる現象である。故に、腹直筋と噴門弁の周りの筋肉のコリをとれば解消する。

1-27 倦怠感

倦怠感の多くは水筋肉がつくっていく。水を多く含んだからだを動かすので疲れ易く倦怠感につながっていく。治すには、水筋肉を治すことである。水筋肉の項を参照。

1-28 冷や汗

驚いたときや危険なことをしたときなど冷や汗が出る。驚きやスリルでからだ全体の筋肉を固めると、血流が落ち体温が低下する。しかし、胸鎖乳突筋の中央部も同時に固めるので、発汗の項で説明しているように汗が出る。汗は元々熱いからだを冷やすためにでてくる水なので冷たいものであるが、暑いと感じて汗が出た時には冷たく感じないが、からだが冷えている時に出てくるので冷たく感じるのである。

1-29 肌のくすみ

水筋肉になると肌がくすんでくる。表皮と筋肉を間に水が多く溜まっているためである。仙棘筋と腎臓のコリを取り、からだ全体の表面のコリを取っていくと、肌はくすみが取れ血色の良い肌になっていく。

1-30 赤ら顔

血色の健康な人と誤解する人が多い。しかし、けして健康ではない。胸鎖乳突筋が固まり、力が入って顔を赤らめているようなものである。放っておけば脳卒中の危険性がある。胸鎖乳突筋のコリを取っていけば直ぐに普通の顔色になってくる。

1-31 頻尿

頻繁に尿意をもよおし排尿したくなるが、尿量は少ない。昼夜問わず起きるが、就眠中だと、不眠症になる人が多い。 膀胱内に腎臓から流れてきた尿が溜まっていくと膀胱が膨らんでくる。その緊張が膀胱をつくっている平滑筋を刺激する。その刺激が脳に伝わり尿意をもたらす。これが正常な生理である。 それが、膀胱の平滑筋にコリをつくったとき、膀胱は半ば緊張状態にある。それは、尿がある程度の溜まっている状態と等しくなる。そこに腎臓から少量の尿が流れてきたとき、平滑筋は満水状態と同じ緊張状態となりその刺激が脳に伝わり尿意を感じてしまう。平滑筋のコリの程度によって緊張状態は変わるので、尿意をもよおす時間は人によってまちまちである。 また、膀胱のコリだけではなく、腹筋、回腸、子宮などが凝っているときにも、その緊張が膀胱を刺激して、頻尿をつくることも少なくない。例えば、腹筋を固めている人が歩いたり運動をしたりすると、硬くなった腹筋の塊が膀胱を刺激する。それで、尿意をもよおす。 子宮が凝っているときにも起きる。子宮は月経前子宮壁を壊すために膨張するが、固まった子宮であると、膨張したとき硬くなった子宮が膀胱を刺激する。そして頻尿をつくる。

1-32 呂律が回らない

呂律が回らなくなると脳の所為ではないかと疑う。脳梗塞や脳出血の後遺症によくある症状であり、またその予兆でもあるからだ。 しかし、これまでの経験からいえば、脳の欠損が生む症状ではなく、胸鎖乳突筋や咬筋、頬筋のコリによるものである。これらのコリを取っていくと滑舌が良くなってくる。特に右側に強く出る傾向がある。

1-33 血尿、血便

血尿の場合、膀胱炎や尿道の炎症や欠損、性器を傷つけるなどして起こるが、膀胱と下腹のコリを取っていくと治まってくる。 血便は、肛門にできた痔が出血して起きるものや、大腸の損傷、腫瘍、便秘などからの出血によるものがある。 組織が老化して破れて出血した場合もある。痔は、血行不良から組織が老化し、神経を圧迫して痛みをつくるものである。痔の周りの筋肉をほぐし、痔そのものを和らげていけば治る病気である。 大腸からの場合、大腸を探り硬くなっているとき、大便が詰まっているときが多い。そして大便が硬くなり、それが肛門を通るときに傷をつけて出血する場合も多い。また、憩室が破れて出血するときもある。ガンや腫瘍をつくっている場合もある。下行結腸から丁寧に探っていけば出血の部位を探っていける。

1-34 不眠

夜眠れないなどの症状だが、多くの場合睡眠誘導剤などを飲んで眠ろうとする。それが、うつ病などに発展していくケースを多く見られる。 不眠をつくる原因は、胸鎖乳突筋のコリである。ときには棘上筋までを固めていることもある。胸鎖乳突筋のコリが総頸動脈を圧迫脳への血流を阻害しているために起こるものである。これらのコリをとっていけば不眠は治る。