消化器系の病気

このコーナーは著書「MMS 真昭社」に記載されているものを抜粋して掲載してあります。リンクしてもつながらないものや治療法などについては、本を参照して下さい。

1. 食道アカラシア 2. 食道炎 3. 食道潰瘍 4. 食道狭窄
5. 腐食性食道狭窄 6. 急性胃炎 7. 慢性胃炎 8. 萎縮性胃炎
9. 胃潰瘍 10. 十二指腸潰瘍 11.空気嚥下症 12.胃神経症
13. 腸閉塞(イレウス) 14. 便秘 15. 下痢

5-2  食道炎

食道炎は、さまざまな状態から起きる食道の炎症性の疾患です。逆流性食道炎がその大部分で、強酸性の強い胃液や胆汁が逆流して食道を刺激するために起きる炎症です。

●症状
胸焼けがしたり、食物を飲み込むときに胸痛などの症状がある。

原因

●西洋医学的解釈
食道と胃の接合部の逆流防止機構が弱まり、胃液や腸液が食道に流れ込み食道粘膜に炎症を起こさせる。また、食道や胃の中に食物が停滞しやすい状態や、食道の粘膜組織の抵抗性の低下などがあって逆流性食道炎が起きる。

●MMS解釈
西洋医学の説明の中に「逆流防止機構」と言っているのは噴門弁をさしています。噴門弁の筋肉や腹直筋の心窩部のコリが、噴門弁の動きを阻害するため、噴門弁の開閉が円滑に行われなくなり、食物の通過がないときにも弁が開き、また完全に閉まらずに隙間をつくり、そこから胃酸や胆汁が食道に流れ込むために起こります。

●治療法
まず、噴門弁の周りの筋肉を解し、腹直筋の心窩部(鳩尾)を解して軟らかくしていくと治っていきますが、した食道壁がきれいになっていくまでの期間が必要となり、完治には多少の時間は掛かります。
長年、腹直筋などを固めた状態をつくっている場合、硬くなった噴門弁を軟らかくしない限り治りません。噴門弁には手を触れることはできません。気を送って軟らかくしていくことです。

5-6  急性胃炎

胃壁の粘膜層に浮腫や充血、ただれが起きる炎症性の病気です。慢性の慢性胃炎と暴飲、暴食し、刺激性の強いものを食したときに起きる急性胃炎があります。

●症状
食あたりの場合は、繰り返しの嘔吐、むかむかする、胃がきりきり痛む、針で刺されたような痛みがある。心窩部(鳩尾)に激痛が起こる場合もある。胃はパンパンに硬くなっている。(西洋医学)

原因

●西洋医学的解釈
急性胃炎は、外因性と内因性の二つに分けている。急性外因性胃炎は、暴飲暴食、飲酒、刺激性食品が原因で、出血を伴うのはアルコールの飲みすぎが多い。アスピリン、強心薬などの薬剤、放射線の被曝、精神、肉体的な緊張など、また過労、睡眠不足でも起きる。

●MMS解釈
胃を固め代謝が悪くなったところに、暴飲、暴食、あるいは刺激性の強い食物を摂ることで、胃の粘膜層が炎症を起こし痛みをつくります。
また各種の薬の刺激で炎症をつくり痛みもつくっていきます。(医原病)
浮腫は、腎機能の衰えと血行不良が原因です。胃を固めると圧力のない静脈が潰れ血液の循環ができず、そこに血液が停滞し浮腫んでくるのです。胃の代謝が悪い証拠でもあります。

●治療法
固まった胃をまず解していきます。胃の下部は触れることはできますが、ほとんどが肋間の下にあるので、肋間筋を解してから行う必要があります。また胃の上の肋間筋のコリが胃への血流を悪くしていることもあるので充分に解し、その後気を送って軟らかくしていきます。

5-8  萎縮性胃炎

胃粘膜の胃腺が、萎縮し破壊されて次第に減少した状態です。胃腺組織が萎縮すれば胃液の出が悪くなり、やがては胃液が出なくなります。それを無腺症と言います。

原因

●西洋医学的解釈
本態性。

●MMS解釈
原因は、慢性胃炎と同じく胃への血行不良を起こし代謝が悪くなり老化して萎縮し胃腺を潰してしまうからです。胃への血行を回復し、硬くなった胃を解していけば治っていきます。
胃の上部は肋間筋を解し、気を送るようにする。それを何度も行うことで胃は正常になってきます。
糜爛(びらん)性疣状(ゆうじょう)胃炎というのもあるようですが、いずれも胃への血行障害がもたらすものです。固まってコリをつくった胃を解せば解決することです。

●治療法
慢性胃炎と同様です。

5-9  胃潰瘍

本来食物だけを消化するためにある消化液が、胃壁や十二指腸壁をその内側の粘膜側から侵食して炎症を起こし、粘膜から筋層にかけて欠損をつくる病気です。
かつては胃潰瘍が主でしたが、近年は十二指腸潰瘍の人が増えてきていると言います。

●症状
潰瘍の発生した部位や性状によって異なる。上腹部の腹痛が多く、疼痛で、焼けるような、差し込むような、シクシクするような痛みが起こる。食事をするとおさまり、空腹になるとまた痛み始める。十二指腸潰瘍では、空腹時、夜間の痛みが起こる。胸焼け、ゲップ、吐血や下血もある。(西洋医学)

原因

●西洋医学的解釈
胃酸やペプシンなどの胃粘膜に対する攻撃因子と、粘液や粘膜血液といった防御因子のバランスがくずれて引き起こされる。引き金になるのは、ストレスである。
近年では、ヘリコバクターピロリ菌の感染によるものという考え方が盛んになってきている。

●MMS解釈
俗に精神的、肉体的なストレスが起こす病気と言われています。そのことに異論はありません。ストレスによって、胃の筋肉に刺激が与えられて固まり血行不良がつくられます。代謝が悪くなり、胃の粘膜が荒れて脆(もろ)くなって穴が開き、そこから消化液が侵入して胃壁を壊していくからです。
それに、胃壁が固まり自由性を失った胃からの情報が正しく脳に届かず、自動調整機能が狂い、消化液の分泌量を調整できずに、多量の消化液が流れるために起こります。
胃潰瘍になった人の胃に触ると、萎縮していて硬く強張っています。代謝不良であることは直ぐに判断できます。

●治療法
胃炎と同じように、外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋、胃全体を解し軟らかくしていきます。強張った胃が軟らかくなればOKです。この状態を続け、数日過ぎれば潰瘍は消えていきます。血行を良くすれば割と早く代謝が進み改善していくものです。また、小まめに食物を胃に入れ、空腹にさせないというのも一つの方法です。

5-13 腸閉塞(イレウス)

小腸や大腸の内腔が詰まって。食物、消化液、ガスなどの腸内容物が通らなくなる病気。

●症状
腹部が張って痛む。吐き気嘔吐が起きる。物を食べることができなくなる。体内での消化吸収ができなくなる。
放っておくと、通過障害を起こしている部分が壊死して腹膜炎を起こす。(西洋医学)

原因

●西洋医学的解釈
腸閉塞には3つのタイプがある。
① 絞扼(こうやく)性腸閉塞。腸捻転や腸重積のように腸管に血行障害を起こすもの。
② 閉塞性腸閉塞。癒着、腸ガン、腸内異物によって内腔が塞がってしまうもの。
③ マヒ性腸閉塞、痙攣性腸閉塞。腸の麻痺や痙攣によるもの。
腸閉塞の半数は、過去に開腹手術を受けた人に起こる。開腹すると腸が癒着し腹膜炎を起こしそれが原因となる。S状結腸捻転は、先天的に結腸の長い人に起こりやすい。閉塞性腸閉塞は、癒着や結腸ガン、ガン性腹膜炎、結核性腹膜炎が原因となる。

●MMS解釈
開腹手術をした人は必ずと言って良いほど大腸も小腸も癒着します。その癒着を取ってくれれば良いのですが、それは手術した人の範疇(はんちゅう)ではないようです。また現代医療では、この癒着を取ることができません。
この病気にならないようにするには、腸の癒着を取り、腸を軟らかくしておくことです。やり放しはいけません。
腸の癒着は、腸に気を送りながらデリケートタッチで解していけば簡単に癒着が取れていきます。また腸への血流を良くしていけば治っていきます。特に開腹手術をした人は、早めに癒着を取っておくことです。
開腹手術による腸閉塞ではないものの原因は、腹筋や腹直筋を固めることで、腸が動かなくなり固まってコリをつくっていくからです。
腸にコリをつくると柔軟性が無くなり、またその収縮が腸の内腔を狭めてしまいます。そこに物が入ってきたとき、軟らかい腸なら内腔を広げて通過させますが、硬くて内腔が狭められていれば、それができず物が詰まってしまいます。それが進んでいくと内腔一杯に物が詰まって塞がり、消化液やガスまでも通さなくなってしまいます。
腹筋や腸のコリによって腸への血行障害を起こし、代謝が落ち老化している場合が多いのです。
腹筋を鍛えて固める、冷やす、冷たいものや刺激性の強いものを食べるなどがその要因ともなります。それらを中止し、腹部を常に軟らかい状態にしておくことが大事です。
絞扼性腸閉塞
腸への血行不良がもとで代謝が衰え老化した部分が急性萎縮して絞扼を起こします。そのことが引き金となって腸がクルリと回転して捻転を起こします。
閉塞性腸閉塞
代謝が衰え老化した腸が萎縮し腸管を狭めた処に、汚物などが詰まって閉塞を起します。偶々ガンがその場所にできていれば、そのことによっても起こるでしょう。
マヒ性、痙攣性腸閉塞
腸が何らかの刺激などによって硬く固まり神経を圧迫してマヒをつくります。また、足が攣るように部分的に急性萎縮してその連動で痙攣を引き起こします。

●治療法
まず、腹直筋、腹筋を解し軟らかくしていきます。軟らかくなれば腹筋を通して腸に触れることができ硬くなっている部分が判ります。そして気を送りながら解していきます。大腸は、宿便などを起こして硬くなっていることが多く便を溶かすように解していくことです。
癒着も最初は気を送りながら軟らかくし、軟らかくなったらずらすように解していくと良いでしょう。

5-14 便秘

排便回数が、1週間に2回以下、あるいは3,4日に1回またはそれ以下のときに便秘と言います。

原因

●西洋医学的解釈
機能性便秘と器質性便秘に分けている。
機能性便秘〈特発性便秘〉
腸の異常が認められない便秘で、旅行や環境の変化によって一時的に起こる便秘と、何年も続く常習性便秘がある。そして、常習性便秘には、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸型便秘がある。
弛緩性便秘
全結腸で、腸の緊張や蠕動運動が減退することで、便が腸管内に長くとどまり、そのために水分がより吸収され、硬い便になり出難くなる便秘。
痙攣性便秘
下行結腸の緊張が強く、内容物の移動を困難にし、通過障害起こす便秘
直腸型便秘
便は直腸まで通過してきて充満しているが、便意をもよおさず排便できない便秘。

●MMS解釈
便秘の原因を西洋医学では、機能性便秘と器質性便秘に分け、さらに器質性では、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸型便秘と分けて説明しています。しかし、これらは原因ではありません。
腸の緊張や蠕動運動が無くなっていく理由を述べているなら、それが原因と言えますが、結果を述べているだけでレポートと変わりありません。
便秘の原因は、全結腸のコリ、腹直筋、腸腰筋、股関節、中殿筋(図1,2)、直腸前立腺、肛門括約筋のコリが原因です。
食べたものは、小腸で吸収され、それ以外のものは回盲弁を経て上行結腸に運ばれます。この時点では水分を含んだもので、上行結腸から横行結腸にいくに従い水分が吸収されて、下行結腸に移行していきます。そこで更に水分が吸収されて便となります。
周りの筋肉や小腸の圧迫などを受けている結腸は、さまざまな刺激や緊張などを与えられると固まりコリをつくっていきます。また、小腸や腹筋などのコリによって大腸が圧迫されている状態をつくると、代謝を行うための血液を運ぶ無数の血管(図18)を圧し潰し血液が流れなくなり代謝が衰えてきます。大腸は老化し萎縮が起こります。大腸は輪状筋と縦走筋でできていて、この二つの筋肉が伴って蠕動運動をつくっています。大腸が萎縮し硬くなってくるとこの蠕動運動がなくなり、便は先に運ばれず大腸に停滞してしまいます。また、大腸に萎縮が起これば内腔が狭められ、便の移送がスムースにできなくなり通過障害を起こしていきます。
肛門の括約筋にコリをつくると、肛門を大きく開くことができなくなります。そこに硬い便が来れば通過障害が起こり詰まってしまいます。この他にも、股関節のコリや腸腰筋のコリが直腸を圧迫して通過障害を起こします。
中殿筋や腹直筋のコリは、括約筋の動きを阻害し、肛門の開閉を妨げ便を押し出すことができなくなります。また、便を押し出すためには、いきむことが必要ですがその力も出なくなります。
便秘は、腹部の筋肉や股間の筋肉、そして中殿筋などを固めていくことでつくられていきます。これらの筋肉に異常がなければ、多少の刺激や緊張が大腸に与えられても通過障害を起こすことはありません。便秘薬を飲む前にこれらの筋肉を解していくことです。

●治療法
腹部全体を解し、小腸を解していきます。そして、大腸を上行結腸から横行結腸、下行結腸、直腸と解していきます。解しきれれば、強張った大腸は軟らかくなってきます。途中、便が詰まって硬くなっていることが少なくありません。それも軟らかくする必要があります。
大腸が解れて軟らかくなったら、腸腰筋、膀胱、股間、中殿筋を充分に解していきます。
以上を繰り返していけば便秘は解消されていきます。

5-15 下痢

下痢とは、水分を含んだ形のない便を排泄する状態を言います。糞便の水分量によって、軟便、泥状便、水様便と呼んでいます。(西洋医学)

原因

●西洋医学的解釈
水・電解質の分泌亢進、水・電解質の吸収障害、腸管運動亢進があり、これらが関連して下痢が起こる。
急に起こる急性下痢、それが続いて慢性化する慢性下痢に分けている。
急性に起こる下痢の原因となるのは、細菌、ウイルス、寄生虫などの感染によるもの。消化不良、神経性、中毒性の下痢がある。
慢性の下痢では、アメーバ赤痢、腸結核などの感染性の下痢。回虫や蟯虫などの寄生虫によるものなど。

●MMS解釈
下痢の原因を、水・電解質の分泌亢進、水・電解質の吸収障害、腸管運動亢進が関連して起こると西洋医学では述べていますが、何故、水・電解質の亢進や吸収障害が起きるのか?腸管の蠕動運動が亢進されるのかの説明はありません。
下痢の原因は、腸への外因的な刺激や内因的刺激(ストレスなど)を受けて緊張して固まり、腸の本来の機能を失って起こります。
人は、刺激に対して筋肉を固めてディフェンスします。これは、再三述べている人間の反応です。それが腸管に起こったということです。そして、常時腹部を固めている人の反応はやや過敏になります。
腸が固まると、腸管が萎縮し絨毛も固め、食物からの栄養素や水分の吸収ができなくなり、そのまま通過してしまいます。
また、長い腸管の一部が固まると、その部分は動かなくなり、動く部分との関係がうまくいかず、異様な蠕動運動を起こすことになります。
これらの症状をつくる原因は、外腹斜筋や内腹斜筋そして腹直筋を固めることから始まります。腹斜筋や腹直筋によって拘束された小腸や大腸は自由に動けなくなり、徐々に固まっていきます。腸の表層を固めると、腸管への血流が阻害され代謝が衰えてきます。腸管は老化し萎縮していきます。
このような状況に陥った腸は、些細な刺激によって緊張し固まりやすくなります。
ウイルスや細菌、あるいは刺激性の強い食べ物などの刺激によって腸は固まっていきます。また、以前に下痢を起こした経験を持つ食物を食べると、腸筋はそれを記憶していて反応を起こして固まります。それが強く出れば下痢をつくります。
心因性による下痢もあるでしょうが、いずれも腸を強く固めたときに起こることです。
単純な下痢をつくっているときもあります。それは、回盲弁を固めて弁が開き放しになると、小腸が吸収しきれずにあるものまで、大腸に流れ込んでしまうために、大腸で便になる暇がなくなって水状の排泄物が排泄されてしまうものです。これは、固まった回盲弁を軟らかくしていけば正常になり下痢は止まります。
もし、下痢が他の病気によるものであったとしても、下痢を治していけば同時に病気の改善がみられます。

●治療法
一般的に下痢を起こしている人の腹部は、硬く冷え切っています。腹直筋、腹斜筋、腸腰筋を解した後、小腸、大腸を解していきます。右下にある回盲弁も軟らかくしていきます。腹部全体が軟らかく温かくなってくれば、下痢は治っていきます。