悪い姿勢が病気をつくる

意識して悪い姿勢作ろうと思う人はいないでしょう。普段、姿勢のことなどは気にしている人はほとんどいないだろうし、また悪い姿勢が病気を作っているなどとは夢にも思っていないでしょう。私の長年の成果がこのような結論を導きだしました。悪い姿勢が病気を作っていくという事実をいくつかの例を通して説明していきます。

 私は過去に「椎間板ヘルニア」という病気を患い、克服する為に15年以上の年月を費やしました。背中を曲げた格好や腰を曲げた格好でいるだけで痛みが走り、背筋や腰を真っ直ぐに伸ばしていることを余儀なくされました。結果、良い姿勢をつくることを覚えました。普段、背筋を伸ばし、首を曲げずに座っていると、「姿勢がいい」と誰もが思うようです。しかしこれは病気の産物でした。 

 「姿勢が悪い」というと何か口うるさい老人を想像してしまいますが、悪い姿勢が病気と関連していることを発見してから、誰彼かまわずではありませんが、気になる人には躊躇なく「姿勢を正しくした方がよいですよ」と言ってしまいます。

 皆さんはパーキンソン病という病気をご存じですか?難病に指定されている病気です。強直性脊椎炎、SAPHOいう病気も難病中の難病です。パーキンソン病の人を過去に何人も治していますが、今現在も、3人の人を診ています。

 最近になってある事実を発見しました。現在診ている3人のうち2人までもが、過去の悪い姿勢がパーキンソン病を作ってきた。と思えるふしがあります。

 二人は50代後半と70代前半のともに男性の方々です。二人は共にパソコンを使って仕事に従事していました。50代の方に、パソコンを使っていた時の姿勢を再現していただきました。 

 それは背中を曲げ、首を前に出し、顔を垂直に立てた格好でした。70代の方は身体が固まっていて、その姿勢を再現することは出来ませんでしたが、私が形態模写すると「その通りです」という答えが返ってきました。

 三人目の方は80代のご婦人で、まだ頭はしっかりとされていて驚かされるほどですが、娘さんの証言から、「背中を丸くして屈み込みながら顔を立てて読書したり、テレビを見るようになって暫くしてから、パーキンソン病になったような気がする」と回想していただきました。それまでの彼女は姿勢が良くて「スカッ」としていたそうです。「姿勢をよくしなさい」と娘さんはよく叱られたそうです。施術後、背筋が伸びて帰るのですが、直に元のように丸くなってしまい、暫くすると歩行もままならなくなってくるようです。(パーキンソン病については他で詳しく述べています。それを参照ください)

 背中を何時間も曲げていると、背筋、特に背骨を保つために脊柱の両側にある縦に長い脊柱起立筋という筋肉が固まってしまいます。脊柱には首から下の全身に送る神経が束ねられて入っています。脊柱を固めればこれらの神経にも影響してきます。

 顔を前に突き出し垂直に曲げていると、首の付け根から首が固まっています。脳への血流が著しく落ちてきます。これらが病気を作っていく引き金になります。

 どの場所の筋肉も共通ですが、筋肉を固めると血行が悪くなり筋肉が蘇生されずにどんどん老化し硬く筋張っていきます。そのままにしておけばどんどん範囲が広まっていきます。

 パーキンソン病の方たちの筋肉は異常に筋張り硬くなっています。大腿部、腹部、背中、肩、首などが他の筋肉と比べてきつく固まっています。これでは思うように動ける訳がありません。

 パーキンソン病はドパミンの出が悪くなって発病するというのが、現代医学の考えかたのようですが、そんな単純なものではありません。発病した時点で首は固まっています。脳への血流が悪くなっています。当然ドパミンの産生に影響していきます。パーキンソン病は、正常に動こうとする筋肉が硬く締まったように固まり、独特の動きを作る病気なのです。病気を作る原因の一つは悪い姿勢なのです。

 強直性脊椎炎、SAPHOも悪い姿勢が作ってきたと考えられます。御本人の方々の証言も得ています。悪い姿勢も数分ならあまり問題にはなりませんが、常時続けていることで身体が固まってしまうのです。