科学する筋肉 筋肉の間違った使い方はあなたを壊す
頑健になりたい、強くなりたい、病弱な体を改善したい、あるいはより高いパフォーマンスを発揮したい――このような願いを持つ人は少なくありません。そして多くの場合、「筋肉を鍛えること」によってそれを実現しようとします。
しかし、この発想自体が対症療法的であり、本質的な解決にはつながらない可能性があります。むしろ、筋肉を過度に鍛えることによって筋肉は硬化し、柔軟性や自由性を失い、結果として身体機能の低下や症状の悪化を招く場合すらあります。
一般的なスポーツ指導においても、「筋肉をいかに使い、いかに鍛えるか」が重視されています。また、痛みが生じた場合には、当該部位のストレッチなどによって改善を図る方法が広く用いられています。しかし、これらはいずれも局所的な対処にとどまり、根本原因へのアプローチとは言えません。
MMS理論では、「筋肉のコリこそが病気を生み出す根本要因である」と位置づけています。筋肉に生じたコリは血管を圧迫し、あるいは圧し潰すことで微小血管の血流を阻害します。その結果、組織への血液供給が低下し、さまざまな症状や疾患が引き起こされます。逆に言えば、筋肉のコリを解消することにより血流は正常化し、症状の改善へとつながります。この現象は施術を通じて繰り返し確認されており、再現性を有しています。
しかしながら、西洋医学の医師やいわゆる筋肉の専門家の多くは、筋肉が病気の改善・治癒に直接的な影響を及ぼすという視点を十分に持ち合わせていません。そのため、指導や治療は依然として対症療法の域を出ていないのが現状です。本来、科学とは客観性・再現性・論理性・実証性、そして反証可能性を備えるものであるべきですが、筋肉に関する従来の理解や指導には、これらの要素が十分に反映されているとは言い難い状況にあります。
さらに重要なのは、「筋肉の使い方」に関する問題です。一般には、上腕二頭筋や上腕三頭筋といった個々の筋肉を個別に鍛えることで、より良い動作が獲得できると考えられています。しかし、この考え方にも本質的な誤りが含まれています。
筋肉には、主として身体を伸展させる「伸筋」と、屈曲させる「屈筋」が存在します。伸筋は主に身体の外側に、屈筋は内側に位置し、それぞれ異なる役割を担っています。MMS理論においては、ある動作を行う際に、これらの筋肉をいかに適切に使い分けるかが極めて重要であると考えます。
ところが実際には、多くの人が伸筋と屈筋を同時に使用しています。例えば腕を前方へ伸ばす動作では、本来であれば伸筋が主導すべきです。しかし同時に屈筋が働くと、逆方向への力が生じ、結果として動作にブレーキがかかります。このような状態では、必要以上の力を要し、動作は非効率となります。
この問題は、単に効率の低下にとどまりません。無駄な筋活動の重複は筋肉への負担を増大させ、コリの発生や慢性的な機能障害を引き起こす要因ともなります。本来、伸筋と屈筋は動作に応じて明確に分離して使用されるべきであり、それによってはじめて合理的で無駄のない運動が実現します。適切に使い分けられた場合、発揮される力には大きな差が生じることになります。
しかし現実のトレーニング現場においては、この原理に反する指導が数多く見受けられます。例えば、走る競技におけるうさぎ跳び、柔道における腕立て伏せ、剣道の打ち込みにおける過度な跳躍動作、空手におけるダンベルを用いた鍛錬、競輪選手に見られる過度な筋肥大、さらには不自然な姿勢での楽器演奏などが挙げられます。
これらはいずれも、実際の動作特性とかけ離れた筋肉の使い方を強いるものであり、結果として運動効率の低下や身体への過剰な負担を招きます。このような非合理的なトレーニングは、パフォーマンス向上どころか、むしろ機能低下や障害の原因となり得ます。
したがって、真に求められるべきは「筋肉を鍛えること」ではありません。筋肉の状態を正しく理解し、その使い方を科学的に再構築することこそが重要です。無駄な緊張やコリを排除し、筋肉本来の機能を回復させることによって、はじめて身体は本来の能力を発揮することが可能となります。
2026/04/08
眞々田







