吉報 ― 数値の改善が教えてくれたこと

「先生、こんにちは」

Tさんが、にこにこしながらやってきた。

「先生、まず報告です。ヘモグロビンA1c値もクレアチニンの値も基準値を下回りました。3.5以上あったクレアチニン値が、0.97になりました。医者が首をかしげながら、『もう来なくてもいいよ』と言ったんです」

そう話すTさんの顔は、以前とはまるで違っていた。

体についていた余分なものがなくなり、顔色もすっきりしている。こういう姿で訪ねてきてくれる人を見るのは、施術者として本当に嬉しいものである。

半年前のTさんは、身長180cmを超え、体重は100kgを大きく超えていた。身体はとにかく大きく、顔色もくすんでいて、誰が見ても「どこか具合が悪いのではないか」と思うような状態だった。

その日、病院で担当医からかなり厳しい話をされたらしく、しょげかえって私のところへやってきた。

「先生、これ、何とかなるもんですか?」

私は、

「大丈夫だよ」

と、あまり深く考えずに答えていた。

それは、これまで多くの腎臓疾患の人たちを見てきた経験から、自然に出た言葉だった。

さっそく施術を始めることになった。しかし、彼は仕事が忙しく、施術できるのは月に1回半程度。決して十分な頻度とはいえない。

「まあ、じっくりやるか」

それが私の思いだった。

私の施術方針は、血液循環を正常な状態に戻すことである。

腎臓が悪いと聞けば、誰でもまず「腎臓を何とかしよう」と考える。しかし、私の施術では、目の前に現れている症状だけを追いかける対症療法をできるだけ避けている。

大切なのは、

「なぜクレアチニンの値が高くなったのか」

「なぜヘモグロビンA1cの値が高くなったのか」

という、その原因を考えることである。

病気の名前や検査数値だけを見るのではなく、その状態を生み出している身体の環境を見る。

そこで私は、迷うことなく血液循環を妨げている部位を探し、筋肉の緊張を解していく。そして、微小血管まで血液が届きやすい状態をつくる。

それが、私の考える改善への道である。

MMSの基本理論は、病気の種類によって大きく変わるものではない。

腎臓の疾患だから特別なことをする、糖尿病だから別のことをする、という考え方ではない。

身体のどこであっても、血液循環を妨げる状態があれば、まずそこを整えていく。

今回のTさんの経過は、その基本的な考え方を、あらためて私自身に教えてくれた。

もちろん、一人の例だけですべてを説明できるわけではない。しかし、こうした結果を積み重ねていくことには意味がある。

今回の「吉報」を、私は学習者の皆さんにもぜひ理解してもらいたいと思っている。

病名に惑わされるのではなく、検査数値だけを追いかけるのでもない。

「なぜ、その状態になったのか」

そこに目を向けること。

それが、MMSを学ぶうえで大切な基本姿勢なのである。

 

2026/09/02

眞々田昭司