鍛えると強く丈夫なるは嘘。
 昔からなまった身体を鍛えて強靭にすることが良しとされてきた。その教えに意を唱える人はなく、その考え方が多くの人々に刷り込まれてきた歴史がある。
 では鍛えるとはどう言うことだろうか?
 鍛えるとは、鉄などの金属を熱し、打って強くする。また、人に厳しい練習・修練をさせ、技術や心身をしっかりしたものにすることである。
 さて人の身体を鍛えるとどうなるだろうか?
 ある動作を行うと筋肉は、収縮したり伸長する。その動作を解除すると、収縮伸長した筋肉が元に戻る。ただこれは能動的ではなく筋肉自身が元に戻るのを待つしかない。しかし、力を入れて同じ動作を長時間続けているとその動作を解放しても筋肉はなかな元に戻らなくなる。これを続けていると、筋肉は収縮し硬くなってくる。またそこに同じ動作を積み重ねていると筋肉は塊となってくる。これが鍛えた身体である。つまりはコリである。そして多くの人は強くなったと錯覚する。人類過去何千年来の思い込みである。
 鍛えて塊となった筋肉は緊張して収縮している。その収縮緊張が筋肉の中に通っている血管や神経を圧迫し狭める。血行は阻害され、また神経は、麻痺し神経伝達が絶たれる。すると少しの痛みなどは感じなくなる。筋肉モリモリの人に多少の打撃を与えても平気なのはそのせいなのである。
 それより鍛えれば不器用になる。
 筋肉というのは、現在使用中の筋肉は他の目的のための動作には使うことは出来ないという不文律がある。その筋肉を使うには現在使っている動作を中止して解放することだが、使ったままでは他の動作には使えないのである。鍛えた筋肉は収縮緊張している。これは筋肉が使われていることと変わりない。
 さて、その筋肉の得意とする動作を求めてももう既に使用済みなので、求める動作に不慣れな筋肉を使わざるを得なくなり、動作の緩慢さに欠けてしまい不器用になるのである。

 最初、200メーター走ったら息切れがし疲れがひどかった。「これではいかん」と毎日走るようにしてきた。そのうちに
2キロや3キロ走っても平気になってきた。でも、これは体が強くなったわけではない。少ない酸素量に体が慣れてきただけの話。
 潤沢にある空気を吸い慣れてきた身体が、いきなり走ればその運動量に、エネルギーを供給するための酸素量を吸収できない。それで他の細胞に送られるべき酸素量をそこに回さなくてはいけなくなる。急に多くの酸素が使われてもその供給に間に合わなくなれば苦しくなる。息切れと疲れの原因である。
 しかし、毎日続けていれば少しの空気量でも筋肉は動くようになるが、最小限の筋肉に限られてくる。でもこの筋肉は無理を強いられるので、代謝が衰え細胞は老化していく。
 
 空気量の少ない高地などに行くと最初は息切れし異常な疲労感が現れてくる。でも何日かその場所で過ごせば体がそれに順応し疲労感は感じられなくなる。でも強く丈夫になったわけではない。錯覚してはいけない。
 多くの人が健康になると思ってやっていることに自転車がある。それで体を害した人が多くいる。それを紹介していこう。
(続きはmms-clinic.com)

 当人たちは、思いもしなかった2つの例である。
例1
 臀部(お尻)と脚の痛みがひどくその治療に毎週来られる人がいる。毎回痛みがなくなり軽やかに帰っていくのだが、次の週になると
「先生、また同じカ所が痛みます。立ったり座ったりする今の仕事が私に合わないのでしょうか?辞めなくていけないでしょうか?」
 かなり深刻である。
「勤め先は何処にあるの」
「近くなので自転車で通っています」
 という返事。これで全て合点がいった。
「自転車の乗るとき脚に力を入れないようにゆっくりと漕ぐことですね」
「でも先生、坂道が多いので一生懸命漕がないと駄目なんです」
 
例2
「先生、ここの処疲れて食欲がなくて」
 5キロも痩せて、顔はげっそりとして黒ずんでいる。
「何かやったの?」
 と聞くと、
「特別にこれといったものはないのですが、最近勤務先が変わり近くなので自転車で通勤しています」
「どんな自転車に乗っているの?」
「体を作ろうとスポーツタイプの物に乗っています」
 この言葉で、この件も合点がいった。
 自転車に乗ることは鍛えられて健康になる。おそらく90%以上の人がそう思っている。誰も悪い事だとは予想もしていない。
 15年以上前、新しく購入した自転車で家族揃っで近くをサイクリングした事がある。2回ほどで皆ギブアップ。
「私たちには向かない」
と中断。
 かつて若い時代、自転車通勤をしていた時代の身体の不具合。今もその後遺症はある。それもギブアップの理由の一つに加えられた。
 今やその自転車は我が家の粗大ゴミと化して
 自転車に乗っていると、力の入る脚は硬く固まる。腹筋も使うので硬くなる。必然と胃や腸が固まり食欲がなくなる。
 以前のコラムで脚の筋肉をほぐすことで血液循環が良くなり、様々な症状がなくなることを書いた。それだけ脚の筋肉は重要部位である。
 その脚をモロに固める自転車、問題がある。しかし、健康に悪いから自転車を乗るなと言ったら問題である。
 それには乗り方を工夫する必要がある。
1 起伏の多い所ではアシスト車を利用する。
2 サドルを柔らかい物にし、お尻に負担をかけない様にする。
3 踏み込む時は伸筋を使い戻る時が踏み込んだ脚を休ませる。
4 上半身はやや前傾(時計の針では3分)する。身体をくの字に曲げて首を上に向けるなどは最悪の姿勢である。その様な姿勢はプロに任せた方が良い。
5 サドルの高さ調整だが、停止した時しっかりと大地に当てられる高さである。
 まだまだありそうだ。
「体が締まって健康的になった」それは危険信号。その後に辛い症状が現れてくる。  
 ぜひ皆さんには、注意して頂きたい。
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