よくある交通事故の考察

 

アクセルとブレーキの踏み違い。近頃増えている交通事故。数年前、池袋で親子二人の命を奪った交通事故もそうだった。やっと、自己の過失を認めたという。事故の被害者家族のことは考えずに、中々、本人は認めず、車の不具合にあると主張していたものだ。

ワイドショーの医師のコメント「歳を取ってくると、よくこういう事がある」と言った程度。踏み違えの現象を、歳の所為にしてしまうというのは、専門家の意見としては余りにも情けない。

また、多くの場合、「歳を取っていくと、運動神経が鈍くなる」程度で終わりにされてしまっている。さも尤もらしく「細胞が老化しているからだ」というのもある。とても、専門家としての意見とは思えない。

歳をとってくると、行動や動きが緩慢になってくる。これをただの現象と捉えては、理論は進まない。

行動や動きが緩慢になるのを、歳の所為にしてはいけない。このことを理論的に述べてみたい。

 

正常な状態にある人間は、古い細胞は捨てられ、新しい細胞が産まれてくるという代謝が頻繁に行われている。常に細胞が作り替えられているのである。

この代謝は、細胞に潤沢に血液が流れているときに活性化し、不足すれば、その頻度が落ちてくる。その代謝が著しく衰えてくると、細胞は古くなり、その割合が多くなった状態が老化である。

この事実を、仕方がないないものと多くの人は諦めている。多くの人は従順である。「老いるのはしょうがない」と、成るに任せている。でも、わたしは、天邪鬼(あまのじゃく)である。老いを、歳の所為にはしたくない。そのような理由で老いてなどいられない。

ある人は、歩くことでいつまでも元気でいられると、一生懸命歩いている人がいる。しかし、この行為では、望み通りにはいかない。むしろ逆効果になることが多い。では、鍛えたらどうか、これも頂けない。「いや、俺はサプリメントをのんでいるから」「スッポンや他の多くのエキスを摂っているから大丈夫」駄目ダメ、「飲んで、老化を防止できる」などと言うものはこの世にはない。それでは駄目なのだ。

いつまでも若くいるには、代謝を良くすること。それには、腎臓を正常にし、血液循環を良くすること。この二つなのだ。では、血液循環が悪くなってしまう理由は何だろうか。

血液循環を妨げる最大の敵は、筋肉を固めること。つまり筋肉のコリである。あらゆる筋肉には無数に血管が張りめぐらされている。代謝に直接関わるのは、筋肉細胞の中に敷設された毛細血管。この血管は、何と2/1000mmほどの細いもの。筋肉を固めると、筋肉細胞は収縮し、その収縮が、毛細血管を圧迫して圧し潰す。血液は、毛細動脈から毛細静脈に流れて循環しているが、その流れが絶たれてしまう。そうなると、細胞には栄養が運ばれなくなり痩せて萎んで縮んでくる。代謝に必要となる血液が流れてこなければ、代謝が無くなり、古い細胞だけになる。これが老化。

褐色の肌で、引き締まった筋肉をしている人を見て、鍛えられて精悍である。と勘違いしている人は少なくないが、これが老人の現れである。

歳をとると動作が鈍くなる。これにも2つの理由がある。筋肉の中には、血管だけではなく神経も通っている。硬くなった筋肉の収縮で神経が圧迫されて潰れてしまうと、脳や他の筋肉への神経の伝達が阻害される。神経も代謝されているがそれが古くなれば、伝達力がなくなる。

 

筋肉が老化すると、それぞれの筋肉の動作が緩慢になってくる。この説明はこうだ。

筋肉の最小単位を筋繊維というが、それがスライドして、力を発揮、動作を行うことができるが、(詳細は著書筋肉の使い方育て方を参照してください)筋肉が萎縮した状態では、その筋繊維正常に動かなくなり、脳から「こう動け」と命令されても直ぐに動かなくなる。

次のような例は多くの人が経験している事例である。

「いつも通っている場所に躓いて捻挫してしまった。あるいは転げてしまった」などということが起こる。普段は、少し高くなった所に行けば、半ば自動的に、足を上にあげ、それを避けている。しかし、上げたつもりでも実際には足は上に上がっていない。

ではどうしてそのような事が起きるのだろうか?

「あそこに高い処があるから」と脳は認識する。そして、その場所に行ったとき、筋肉はその場所で「足を上げろ」という脳からの命令を一々受けずに、筋肉はその動作を記憶していて、自然と足を上げる。(「筋肉は記憶する」この論の詳細も、私の著書「筋肉の使い方、育て方」の本を参照して欲しい)しかし、これだけではないのだ。

 

車のブレーキを踏んだはずがアクセルを踏んでしまう。アクセルペタルを離してブレーキを踏もうといてはいるが、足首の筋肉が固まっていてブレーキペダルの方に足が動いていないのだ。でも、神経が阻害されているので、その情報は脳には届いていない。だから、脳は次の命令「ブレーキを踏め」を発信する。それを受けて足の筋肉は、ブレーキペダルに移行していないアクセルペダルを踏んでしまう。

しかし、ここで、脳は確実に「ブレーキペダルを踏んだ」と思いこんでいるから「俺は確実にブレーキを踏んだ。ブレーキが故障していた。欠陥車だ」となってしまった。とは、私の推論である。

 

老化を防止するにはどうするか?ひとえに筋肉を柔らかくすることだ。走ったり飛んだり、腕立て伏せ、スクワットをすることではない。筋肉を優しく動かし柔らかくすること。動作を行うには、それぞれの筋肉を必要とするが、それを正しく使うことである。

私の考案した「八段錦」四肢の筋肉の動作法、呼吸法を行う事、これは老化を防止するには格好の武器である。特に八段錦は腎臓の機能を闊達にする。

古希を過ぎても、老眼にならず、50代の肉体を保持している。オリーブ畑に出れば三人前の仕事をこなしている。まだ若い者には負けないなどとはほざかない。正しく筋肉を使うことに終始している。しかし残念なことに、弟子たちはどんどん歳をとっていく。

私は決して歳の所為にはしない。臓器や骨格筋の動きが悪くなったら、具体的に固まった筋肉を解して正常にしている。放っておいたら病気になってしまうからだ。

 

令和四年二月一三日

真々田昭司

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