医療が病気をつくる 医原病の実体

 

「副作用」という言葉、ご承知のことと思う。

熟語の解釈に間違いがないように、念のために辞林を引用してみると、「治療・予防・診断などのために用いた医薬品の本来の効果と異なる作用。人体に有害な作用であることが多い。」とある。

「副作用だから仕方がない。」

と、多くの人が思っている。しかし私は、大の虫を生かすために小の虫を殺してもしかたない。と、いう考え方は好きでない。

「副作用はあって当たり前、効く薬ほど副作用が多い」

と、嘯(うそぶく)く人もいる。

抗がん剤を投与した。肌は黒くなり、体は萎縮し、髪の毛が抜けた。これも副作用。だからしかたない。

では、本来の効果はあったのか?あったのなら「少しは我慢しろよ」と、いうこともできる。しかし「治療の甲斐もなく、、、」になったら、苦しい思いをして亡くなっていった方にどう説明するのだろう。(あの世に行って)

「副作用」と、いう言葉をつくった人に注文したかった。「本来の作用よりももっと良い作用が現れること」と。

「副作用」と簡単に済ますことができれば問題ないが、その副作用が病気をつくっているとしたら、これは大問題だ。

治してくれるはずの治療を受けて、もっと重篤な病気になってしまった。こんなことが現実に起きている。

医療が病気をつくる。本末転倒のことが起きている。これを説明する言葉つくられている。医原病という。何とも「いやはや」である。

 

重篤な病気に罹(かか)って私の所に来られている人は多い。その中で医原病を患っている人が少なくない。

病気を治していく過程で、以前よりも健康体になっていく。これが本来の医療のあり方であるはず。

苦しんで掴んだ栄光。これなら良い。しかし、苦しんで死んでいくのでは・・・・。自分でつくった苦しみなら自業自得とあきらめることもできるだろうが、人を信じた故に苦しみを負わされ死んでいくのではあまりにも哀れである。

 

薬の副作用で、青春の良き時代を5年間も苦しんできた人がいる。

SKさん

ドイツ デュッセルドルフ近郊在住。21歳の女性。

16歳の頃、自律神経失調症と診断され、病院で治療を受けていた。そして、腰痛も併発し複数の薬を投与されていた。

腰痛の治療は、病院だけではなく、理学療法士(PT)にも診てもらっていたがいっこうに治らなかった。痛みから逃れたいと毎日鎮痛剤を服用していた。

体調はますます悪化し、前頭葉に走るような強烈な頭痛に見舞われるようになった。年ごとに悪化していき、折角通い始めた大学も途中で断念せざるを得なくなった。

この強烈な頭痛。三叉神経痛(脳神経の中で最も太いもの。橋の手前にある三叉神経節から出て、末梢に向かう方の突起が眼神経・上顎神経・下顎神経の三枝に分かれる。頭部および顔面の大部分の感覚と咀嚼運動を支配。第五脳神経)と診断された。治療は強烈な鎮痛剤を処方されただけ。病院はなす術(すべ)がなく半ば放置されていた。私が行くまでの5年間、薬の副作用で朦朧とした日々と、時折襲う全身に瘧(おこり)と痛みを伴う発作。16歳から21歳までの多感な青春期が、間違った医療のために無為に過ごす羽目に落ちいった。

では、この症状の原因は何だったのだろう。自律神経失調症の薬や鎮痛剤の服用が腎臓を壊し、それによってもたらせられたものと私は分析した。

 

薬を飲むと、異物を浄化しようとして腎臓がフル回転していく。通常の状態で正常に動いているものが、急に仕事量が増えて腎臓が筋肉疲労を起こし機能障害をつくっていく。(薬を飲むことは、このリスクを常に持っていることを皆さんには認識して欲しい。)

薬の服用が彼女の腎臓を駄目にし、腰痛までも引き起こし、腰痛の鎮痛剤が更に腎臓を壊していった。

脚は丸太のように太く浮腫み、肌は黒ずんだ。典型的な腎障害。腰痛は坐骨神経痛。偏頭痛は、肩と首の異常なコリが原因。病院での最初の治療が適切であったなら、この事態は起きなかっただろう。

腎機能が衰えると、当然排泄されるべき水(小水)が排泄されずに筋肉の中に戻されていく。それが私の造語の水筋肉である。結果は筋肉がブヨブヨとした状態になる。

筋肉の最小単位が筋繊維、その筋繊維が何本か集って筋繊維の束、筋束をつくる。動作や力を出そうとするときには、一つの筋束だけでは用をなさないとき、隣接する筋束と一時的に粘着して合体をし、力を発揮していく。

水筋肉状態時、筋束と筋束の間に排泄水が入り込むと、筋束の粘着性がなくなり、筋束の合体ができなくなる。

人間の体うまくできている。いっぺんに全部ダメになることはない。一部の筋肉を使えるようになってはいるが、その能力は著しく減退する。

故に必要な力を発揮するためには、多くの筋肉の援助を乞うことなるが、それらの筋肉は、必要とする動作に応じた筋肉ではないので、大きな負担が掛かっていく。

人が立つための筋肉は、前傾骨筋や大腿直筋。背中を起立させるための筋肉は脊柱起立筋であるが、水筋肉状態に陥ると、筋力が落ちているので立つための筋肉でない大腿の裏側の半健様筋や外側の外側広筋、臀部の中殿筋を使うことになる。不得意な使い方をした筋肉は、負荷のため硬く固まっていく。その筋肉の緊張が坐骨の神経を圧迫し坐骨神経痛をつくっていく。

更に上半身を起立させる脊柱起立筋の筋力も衰えてしまうので、その負担が腎臓に掛かり、腎臓を動かすための血液の阻害と糸球体への圧迫が起こり動きが悪くなり腎機能が低下していく。これが、彼女の腰痛の原因であった。

また、腰痛になって日常生活をしていくと、かなり首に負担が掛かる。腰痛になった人の共通である。首が固まると頭痛になるが、部位によっては強烈な偏頭痛もつくっていく。

全ては、薬を飲んで腎臓を壊した結果である。

彼女の治療

先ず、ブヨブヨになった水筋肉を取るため、固まった腎臓を解していく。30分もすると腎臓が動き出し筋肉に締まりが出てきた。中殿筋や外側広筋を解して坐骨神経痛を治す。次に、肩の僧帽筋や棘上筋、首の胸鎖乳突筋のコリを解して偏頭痛を無くしていく。彼女は一時的に痛みから解放された。

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次の日、痛みは戻ってしまっている。だが、前より軽いようだ。昨日と同様の施術をしていく。固まった筋肉を解しても前に近い状態に戻ってしまう。これは、筋肉の特性でもある。

この良くなって、また戻ってを繰り返し、5日経ったとき、戻りがなくなり、かなり良い状態になった。復帰できそうである。

「薬を絶対に飲まないこと」「MMSテクニークを毎日行うことを日課にする」この二つを約束させて帰ってきた。

 

1ヶ月半ほどしたある日、ドイツから電話が入った。すっかり良くなり、大学にも行き始め、そして5年間止まっていた生理が戻ったという知らせだった。

安易な投薬が彼女を5年間も苦しめた。ここには病気を治す主作用は全くなく副作用だけだった。