肩こり、猫背に隠された恐ろしい病気

 

今日(こんにち)姿勢の悪い人が多い。通勤に通う電車の中でもそれが目立つ。

「そのような格好(かっこう)でいると、近い将来病気になってしまいますよ」と忠告したい衝動をいつも抑えている。おせっかいか?

特に、喚起(かんき)したい姿勢がある。背中の曲がり猫背になっている姿勢である。つい最近、この猫背(ねこぜ)の原因と、その施術法が解ってきた。

この猫背。肩凝りの原因。私の所に一週間に一度見えられる方が居る。毎度肩コリが取れてすっきりして帰るのであるが、再び現れる時には、しっかりと肩を固めている。

皆さん。肩コリを侮(あなど)らないで欲しい。様々な病気をつくります。乳がんの原因も肩コリ。肩コリが作る症状では、視力、聴力、思考力低下、脱毛などは直ぐに思いつく。そして、何より早く老(ふ)けてしまう。

%e3%82%a4%e3%82%bf%e3%83%aa%e3%82%a2%e7%8c%ab%e8%83%8cさて、この肩コリ。猫背を矯正していくと無くなってくる。猫背を治してあげたいと、

「日頃このように姿勢を正していて下さい」

と指導するが、殆ど徒労に終わる。

「どうして治らないのか?」と、猫背矯正グッズなどを勧めて使って貰ってきたが。治った方は、10%にも満たない。終(しま)いには、注意するのが嫌になってくる。しかし「それではならぬ」と、自分を叱咤激励してきた。何かが違う。

悪い姿勢をつくる最大の原因は猫背。脊柱起立筋をほぐして背筋を真直ぐにしても、一日経てば元の木阿弥(もくあみ)。これでは、シーソーゲームである。

10年ほど前、ドイツで数人の理学療法士に、

「歩けるようにリハビリするのではなく、歩けるようにしてからリハビリをすること」

と、指導し、実践して見せてあげた。この言葉を思い出した。

もっと根本的に原因を探らなくてはと、何年も試行錯誤を繰り返してきた。そして、ようやくその根本原因を探り出し、実践してその効果を得た。それを皆に知って貰らおうと筆をとった。

「何年も掛けて発見したことを、そう簡単にみんなに教えてしまっていいの」

と、影の声が聴こえる。

「お前は、そんなに小さな男だったのか?」

の声も聴こえてくる。

発見したことを、自分だけのものとしておく。それでは、社会には貢献できない。どんなに小さな事でも、他の人が知らないことなら世間に発表する。すると、不思議にまた新しいことが発見できる。これが私の姿勢。こうして多くの事を発明発見してきた。さて、この言葉が、弟子たちに伝わって行くだろうか?その前に、新しい発見をしているか?を問う必要がある。教わるだけでは駄目です。

 

猫背を探る

猫背は、どうしてつくられるのか?

「普段から背中を曲げているから」

これは、まともな意見であるようだが、当を得ていない。これを答えとしていたら、恐らく永久に猫背は治らない。答えは、その先にある。

何らかの理由で、貴方が俯(うつむ)いて作業していたり、首や背中を曲げてスマホや本を読んでいたりすると、それが日々に助長されていく。そして、最初は背筋を真直ぐにすることが出来ていたのにそれが出来なくなる、しかし、本人は気付かない。

俯いていたり、首や背中を曲げていたりすると、背筋の脊柱起立筋を固めてしまう。肩甲筋も固まると、背中の肩甲骨の部分に痛みが出るようになる。背中だけではなく、腹筋の内の最も強い力を出せる腹直筋をも収縮させ固めてしまう。これが一番の原因。この筋肉で前側に引っ張っているために背中を真直ぐにすることが出来ない。

脊柱起立筋と言うのは、背筋を真直ぐに保つ筋肉。前に屈む時には、脊柱起立筋の屈筋を使い、起きる時は伸筋を使って起立する。

この時、腹直筋を使って上半身を前に屈曲させている人が多い。腹直筋は、心臓や下降大動脈を守る為の筋肉。腹筋は、腸を守る筋肉。筋肉の使い方が違う。しかし、その筋肉を多用していたり、前に屈んだままでいたりすると、腹筋を圧縮して固めてしまう。すると、脊柱起立筋の伸筋の筋肉では、背中を真直ぐな状態に戻せなくなる。それが進んで固まり猫背となる。腹直筋を鍛えて、四段筋になったと喜んでいる人がいる。空手で、腹筋を鍛えて硬くして、打たれても痛みを感じなくさせていくなどは、健康の面から考えれば言語道断である。

猫背になると、必然と首が前に垂れ、それを支える為に、肩から首の頭部の根元まである僧帽筋でそれを支える。故に僧帽筋は硬く固まる。僧帽筋と同時に、頭半棘筋、頭板状筋、肩甲筋、胸鎖乳突筋の屈筋を圧し固め、伸筋を伸び固める。これで、肩コリと首コリが完成していく。

重い首を前に倒すことで、肩の僧帽筋の奥にある棘上筋を固める。それは、強い肩コリ感、頭痛をつくる。

胸鎖乳突筋を固めていくと、多くの病気や症状をつくる。例えば、頭痛、視力低下、聴力低下、呼吸困難。酷くなると腕、手のしびれ。

頭半棘筋、頭板状筋のコリが混合されると、めまい、メニエール病、偏頭痛(へんずつう)、うつ病をつくっていく。

上半身を前に曲げて常に腹部を圧迫しているので、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、胃、大腸、小腸などを固めてしまう。肝機能障害、腎機能障害、胃腸障害、消化器系のがん、頻尿、膀胱がんなどをつくっていく。Etc・・・ とにかく、猫背になることは最悪である。

 

治療法

まず、腹直筋をほぐす。次に臓器、胃や腸の腑をほぐしていく。ほぐれたら、脊柱起立筋、僧帽筋、棘上筋、肩甲筋、胸鎖乳突筋、頭半棘筋をほぐしていくことだ。但し、筋肉は元に戻る特性があるので、戻らなくなるまで、数回行う必要が出て来る。

そして、注意すべきことは、全体に言えることだが、特に腹部のコリをほぐすときには、指圧やマッサージをするような施術をしてはならない。臓器を傷つけてしまうからだ。本途に筋肉のコリをほぐすことのできる施術者なら容易なはずである。

 

 

2022/12/9

眞々田昭司