自律神経は、人間の意識とは独立していて、自分の意思ではコントロールできない神経である。この神経の存在がなければ人間は生きていけない。夜も眠ることも出来ずに、「心臓よ、動け。呼吸を止めるな。あの部位が傷んでいるから、修理にいけ」などと四六時中、管理しなければならない。悪い気を起こし、「死んでしまおう」と思ってもそう簡単には心臓は止まらない。うまく出来ている。
命令して動く筋肉を随意筋。自分の命令では動かない筋肉を付随意筋と言う。その付随意筋をコントロールしているのが自立神経だ。
交感神経と副交感神経
自立神経には、交感神経と副交感神経がある。二つの神経はお互い、牽制しあいながら、身体の働きを調節している。
これは自動制御装置のようなもので、自分の意思とは関係なく、身体の状態をコントロールしている。
気温が高くなれば、汗を流し、体温が上がらないようにし、寒くなれば毛穴を閉じ、体温を保持する。また暑くなれば毛細血管に流れる血液の量を調整し、体温をコントロールする。
思いによっても変わっていく。悲しいことがあれば、食欲が落ち、無理やり食べれば、消化不良を起す。
心の働きが消化器の働きに影響を及ぼす。自律神経との関わりによる。脳と密接に繋がっていて、そのコントロールセンターは脳の視床下部にある。
活動しているとき、交感神経が働いている。興奮すれば、さらに交感神経が高まる。例えば、急に驚かされたりすると、どきどきし心拍数が上がるのは、交感神経が高まるからだ。
リラックスした状態、気功の後の状態、また就眠時、副交感神経が働く。血圧が下がり、心拍数も少なくなる。
一般的に、人が起きて活動している時には交感神経が働き、眠ったときは副交感神経に替わる。副交感神経は、疲れを取り、代謝をつくり、身体の悪い部分を修復する役目を持っている。自律神経失調症は、このバランスが崩れている状態である。では病名の名づけの親でもある現代医学ではどのように考えているのだろう。
現代医学的見解
自律神経失調症は、心因性、自律神経の中枢に異常があるかどうかで、3タイプに分けている。
第1は、検査しても自立神経に異常が認められず、自律神経失調症を示す他の病気もないタイプで心理的、社会的なストレスが原因でおこる「神経症型」
第2は、検査をすると、自律神経の失調が認められ、心理的、社会的ストレスによって身体の不調が現れる「心身病型」。
第3は、自律神経の中枢そのものが原因で、自立神経系にアンバランスが起こり、いろいろな病状を引き起こす、本態性自律神経失調症。
病院で自律神経失調症と判断された人の大部分は第1と第2で、第3は全体の10%位だそう
現代医学から見た原因とは
体質や性格が自律神経機能に異常をおこす場合と、外部から受ける心理的、社会的ストレスが引き起こすものがあるとしている。つまり内因性と外因性の二つだ。
内因性では、親も自立神経失調症の経験がある。子供の頃に乗り物酔いになった。起立性調節障害になった。など遺伝的。体質的な要素が関わっているとしている。
女性の場合は、思春期や更年期などにホルモンの分泌のアンバランスが生じやすく、そのために自立神経失調症が起こってくる。また内向的な性格の人では、他人との協調性、社会への適応性が乏しいことから起こるともいっている。
外因性は、人間関係、職場の不満など、心理的、社会的なストレスから起こり、あらゆる社会にみられる。女性は育児問題、家庭内の葛藤などでも起こるとしている。
病状は
脳神経系では頭痛、頭重感、めまい。全身的には、疲労感、衰弱感、根気のなさ、ふるえ、失神。呼吸系では、息切れ、窒息感、ため息。循環器系では、胸部圧迫感または絞扼感、心臓の痛み、動悸、拍動感。消化器系では、食欲不振、胃部膨満感、便秘、下痢。その他異常発汗、腹部不快感、または疼痛、肩こり、手足の冷感、または熱感、興奮しあるいは陽気になりやすいなど多彩な病状が現れるとしている。
その治療法は
現代医学の治療法では、薬物療法、自立訓練法、精神療法があるが、どの療法を用いても治るという確証はないようだ。
真々田論
100年前の昔なら血の病、気の病と、片づけられていた。気持ちの持ち方で克服しろという程度だった。現代医学は実に豊富な病名を持っている。そして彼らが理解しがたいものは、難しい病気にしていると思える。
自律神経の狂いは、自律神経がコントロールしている部位が、正常に機能できなくなっているにすぎない。
自律神経失調症の原因と考えられる部位は、腹部、(特に鳩尾の部分)や首筋。これらの部位にコリをつくり固めると、自律神経では動かなくなってしまう。特に首筋は暑さ寒さをコントロールできなくなる。
腹部のコリは、便秘や消化不良を起こすだけではなく、血液を汚し、あらゆる細胞にダメージを与え、また免疫力を低下させる。免疫力の低下は、いろいろな病気にかかり易くなり、ガンなどの怖い病気を抑える力を失っていく。
「全ての病気の原因は腹部にある」。と私は考えている。決して誇張ではない。自律神経失調症の症状の一つの頭痛は、鳩尾部のコリや首筋のコリがつくっている。めまいは首筋のコリが原因。常に頭痛がある、めまいがするなどの症状を自律神経失調症だからと放っておくことはとても危険だ。そこには脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの病気が隠蔽されている。
腹部の腸の「コリ」は、消化不良や便秘を起こす。更に痙攣したように固まると下痢をする。
心因性や外因性によるものもあると現代医学ではいっているが、嫌な思い、不安、悩みを持つと、胃や腸に緊張を強いる。その緊張が既に固まっている腸や胃をさらに硬く固めていく。腹部が固まってくると、肩、首筋にも連鎖し、緊張を助長していく。社会的なストレス、職場の不安、家族の不安などでも、同様なことが起こる。
女性の思春期、更年期においても起きると言われている。女性の身体の変化が筋肉を固めていく。女性には更年期に閉経などの変化もある。毎月体外に処理されていた汚血はそのまま体内に残る。それによって血液は汚れる。細胞は固まってくる。それが「コリ」に変化する。頭重感、だるさ、積極性を失う、また急な発汗があるといった症状をもたらす。いわゆる更年期障害といわれるものだ。
この症状を作るのも、腹部や首筋の「コリ」が原因。このコリが自律神経失調症をつくっていく。
固まった筋肉は、自律神経をつかさどる、神経系統の連絡を遮断し、脳から筋肉細胞に的確な情報を与えなくなる。それが自立神経の失調。
この状態が進むと、アレルギー病などにも発展する。アトピー性皮膚炎、花粉症、鼻炎、食物アレルギーそしてシックハウスなどである。
自律神経失調症を治すには
自律神経失調症の治療は現代医学的には難しいといわれている。自律神経失調症の治癒は私にとっては簡単なことだ。原因である腹部の「コリ」や首筋の「コリ」を取れば治っていく。
女性の更年期障害からくる自律神経失調症の場合は、甲状腺の部分の「コリ」を取ると、ホルモンのバランスを正常にし、有効である。
正常に動くはずの自律神経、自分でコントロールできない。極めて精巧なコンピューターは些細な事で、フリーズし、動かなくなる。キーボードを打つ本人は意識することなく自立神経を狂わす。人の身体は極めて精巧に出来ている。そのどこかが狂い始めたとき、思わぬ方向に進む。それがいろいろな病気の症状となって現れる。
精巧なコンピュウターの狂いは些細な事から起きる。人間コンピューターの狂いは「コリ」が原因である。それを取れば解決する。
2008 11/4
2010 7/14 加筆訂正