便秘──脚をほぐせばスッキリ改善

便秘で悩んでいる方は少なくありません。
ですが、便秘を改善するために薬やサプリメントを用いる必要はありません。
脚の大腿部(とくに大腿直筋)や腹部の腸のコリを適切にほぐすだけで、便秘は驚くほど簡単に解消するのです。

ただし、単にマッサージや指圧をするだけでは、固まった筋肉はほぐれません。
本当に「コリを取る」ためには、それを見極め、緩める適切な技術と手技が必要です。

  • 便秘と脚の関係

大腿部の筋肉が硬くなると、歩行時にその筋肉が腹部を突き上げるように作用し、腸を物理的に圧迫してしまいます。
すると腸の蠕動(ぜんどう)運動が阻害され、便が肛門側に送られなくなり、便秘となります。

また、腹部が冷えることや薬剤の影響も便秘の一因となりますが、私の臨床経験では、脚──特に大腿部の筋肉のコリが原因となっているケースが圧倒的に多いと感じています。

  • コリが血流と腸の働きを妨げる

血液は心臓から下降大動脈を通り、左右の大腿部へと流れていきます。
しかし、大腿部の筋肉がコリで硬直していると、この血管を物理的に圧迫し、血流が低下します。

例えば、秒速50cmで流れていた血流が半分になると、血液循環は著しく悪化し、腸への血流も不足します。
さらに、腹部自体の筋肉にもコリがあれば、腸に十分な血液が供給されず、腸の代謝が落ちて硬くなり、蠕動運動が鈍くなります。

腸の内容物は、上行結腸 → 横行結腸 → 下降結腸 → S状結腸 → 直腸と進んでいきますが、
この流れが滞ると便は下降結腸などに長く留まり、水分が過剰に吸収されて硬くなり、排便困難になります。

ところが、脚の筋肉のコリを丁寧にほぐすことで、血流が回復し、腸への栄養供給も改善されます。
これによって腸の機能が回復し、自然な排便が可能になります。

  • 便秘を招く姿勢と歩行

便秘は、筋肉のコリだけでなく、**日常の歩き方や姿勢の「クセ」**によっても引き起こされます。以下のような歩行は特に要注意です。

体重を後ろにかけて歩く人
→ 大腿部が常に緊張し、腸を圧迫します。

背中を丸めて歩く人(猫背)
→ 腿の筋肉が固まりやすく、内臓が圧迫されます。

膝を曲げて歩いている人
→ 膝に力を入れて歩くことで、大腿部が固まり腸の動きが止まります。

かかとから着地し、つま先で蹴る歩き方をしている人
→ 反力が腰にかかり、腸に大きな負担をかけて固めてしまいます。

  • 自分でできる確認と改善法

以下のように、ご自身でも大腿部の筋肉の状態を確認し、改善することが可能です。

まず、普段の姿勢で大腿部に触れてみて、筋肉が硬くなっているかどうかを確認してください。

次に、背筋をまっすぐにして、やや前傾の姿勢をとって再度触れてみてください。
→ 筋肉が柔らかくなっていることに気づくはずです。

膝についても同様で、膝に力を入れていると大腿部が硬くなりやすいため、膝を力ませずに自然に曲げるよう意識することが大切です。

  • 歩き方ひとつで便秘は変わる

最もシンプルで効果的なのは、**「地球と喧嘩しない歩き方」**を実践することです。
つまり、無理なく重力に従い、筋肉に緊張を生ませない自然な歩行を心がけるだけでも、便秘は大きく改善されます。

ただし、長年のクセが自然な歩行を妨げていることも多いため、すぐに矯正するのは簡単ではないかもしれません。
そのためには、筋肉を育て、使い方を覚えることが重要です。

詳しい歩行法や筋肉の使い方については、私の著書『筋肉の使い方 育て方』(真昭社)に詳述しています。ぜひ参考にしていただければと思います。

令和7年7月22日 眞々田昭司