夏の暑い時のビールは美味いものです。暮れには忘年会、明ければ新年。とにかく酒飲みは何とか理由をつけて酒を飲む機会を作ります。酒好きの私は「飲んべえ」とまでは言われていませんが、良い語らいや、弟子たちと飲んでいると、ついつい、思わぬ酒量を過してしまっているようです。

「酒は百薬の長」と昔から言われ、適量ならば良いものとされてきました。酒飲みにとって、酒量を抑えて飲むというのは、なかなか難しいものです。酒は程ほどに飲むのがいいのは、皆解っていることなのですが。

一般的に酒は肝臓を悪くするといわれています。また糖尿病を患っている人などには禁物で、たまには休肝日を設けろなどと忠告を受けたりします。

では何故少量の酒は良くて、量を多く飲むといけないのでしょうか。全ての事に度が過ぎるのは良くないのはわかりますが、アルコールは特にいけないのでしょうか。

酒、アルコールに関して、一般的に今まで考えられてきたことは間違っていることが分かりました。酒を飲んでいて気がついたことです。

お酒が肝臓の機能を低下させる。また糖分が糖尿病や通風に良くないとされています。そのような考え方があるために、糖尿病や、通風などの病気を抱えている酒飲みは、焼酎などの糖分の少ない酒を飲んでいる人が少なくありません。しかし本当にそうでしょうか?

私は長年の臨床経験から(単なる飲んべえかなぁ」)アルコールに対しての考え方が変ってきました。

アルコールを摂取すると、最初は血行が良くなってきます。身体がぽかぽかと暖かくなったり、肩が凝っていたような処も軽くなってきます。またいろいろな滞りもほぐれてきます。この時点が「酒は百薬の長」の段階かと考えます。

さらにアルコールの量が多くなると、血中にアルコールが大量に入ってきます。話をしていたり、騒いでいるときには身体も興奮して平気でいられますが、静かになったり、落ち着いてきたりすると、とたんに眠くなります。

よく宴席で眠ってしまう人がいますが、このような人が目がさめ起きると、トロンとした症状になり、顔は腫れぼったくなってしまいます。

多量の酒を飲んで酔うと、決まって眠ってしまったり、うとうととしてしまいます。

眠ってしまったときに、交感神経で動いていた機能が、副交感神経に変って機能を休んでしてしまいます。その時にもアルコールは血中を流れて、身体の神経や筋肉を刺激していますが、脳は休んでいるので、ただ反応にこたえ、筋肉は緊張します。その緊張が続き、コリをつくっていくのではないかと考えています。またコリは一瞬のうちにつくってしまうものもあります。

首筋や腹部にそのコリが早く現れます。内腹斜筋や腹直筋に出来れば、肝臓や胃や腸にも影響し、その機能の働きを押さえてしまいます。それが毎日のように続けば、肝機能障害が出てきます。鳩尾の部分のコリは吐き気をもたらします。

首筋のコリは頭痛を起こさせたり、脳からの命令が身体の隅々にうまく伝わりません。また血流を妨げますので、目が廻ったり、真直ぐに歩こうと思っても、脚が素直に前に出ないので、千鳥足になって、酔っ払い特有の動きになってしまいます。

酔っ払った人の、首筋のコリを取ってあげると、嘘のように酔いが消えていきます。これは何度も経験をしていることです。

アルコールが直接、胃や肝臓などの臓器を攻撃して弱らせるのではなくて、アルコールを飲んだ結果、前記したようにコリをつくって、そのコリが機能を弱めていくのです。

首筋のコリはまた脳卒中などを起こすもとになります。酒を飲んでウトウトした後、サウナに入るなど危険極まりません。

西洋医学は糖尿病、通風などの病気を間違ってとらえています。アルコールは決して良いものとは思いませんが、「百薬の長」に留めるならば問題ないと考えています。

以前通風で苦しんでいた人を治しました。その方はお酒が好きで、また食べることが好きな人でしたが、病気になっていらい、好きな酒を一切やめ、また食事もお医者さんの薦める、質素な食事になってしまって、「人生に楽しみが無くなってしまった」と嘆いていました。私が一回の施術で治してあげた時に「、ここと、ここの部分のコリが通風をつくっている元で、ここを取れば治るので、食事とは直接関係がありません」と答えてあげると喜んでいました。現在は普通の食事になっています。(但し暴飲暴食は身体に悪いことは当たり前なので、そのことはご注意しています。)

そして尿酸値やその他の検査も現在は問題ないようです。

刺激の強い食事もアルコールと同じような作用をもたらします。辛いキムチやカレーなどを食べて、胃が止まってしまった、という経験をお持ちの方が多いと思います。

このようなことも、刺激物を取り、睡眠をとったあと、筋肉がかたっまってくるのだと考えています。ですから寝しなの食事は避け、充分に消化されたあと寝ることと、刺激の強いものは控えた方が賢明であると思います。