わたしは、車内や、店舗やレストランなどを予想して、夏でも常にジャケットを手放しません。それでも寒くていられないことが度々あります。

昨年は、震災以降の節電騒ぎで多少暖かくはなりましたが、今年はもうすっかり冷え切った車内になってしまっています。

あるとき、いつも乗る弱冷車があまりにも冷えているので、運転手さんに「もう少し車内の温度を上げてくれませんか」と言ったところ、「これ以上温度を上げると苦情がくるんです」と言われてしまいました。どうやらわたしの苦情は聞いてくれないらしい。

いつもの朝の通勤で、時々話をするご婦人がいます。しかしそれは秋冬に限ってしまいます。夏季を迎えるとその様子が変わります。この方は、冷えた車内で吹き出た汗を拭きながら扇子まで使っています。理由は解っているので一度忠告したいと思ったときがありましたが、あまりにもその佇まいの威力にわたしがなえてしまい、その機会を逸してしまいました。 わたしは常に弱冷車にいるので夏場は離れ離れの車内、そのようなわけで、ご一緒することはなく、話をする機会をなくしてしまっています。

何故、温度の感じ方に差が出てしまうのか

何故、寒い、暑いという感じ方に差が出てきてしまうのでしょうか?それは、温度を感じ取る部位が正常な働きをしているか、していないかの問題なのです。けして生まれつきの寒がりや暑がりではないのです。

人は常に体温調整をしています。そのときの、からだに受ける温度をキャッチし、体温調整されます。

首筋に、胸鎖乳突筋という筋肉があります。どうやらその胸鎖乳突筋の下に、温度をキャッチする神経が含まれているようです。その神経が暑い、寒いと感じ取り脳に情報を伝え、その情報に基づいて各器官や筋肉に指令を伝えていきます。 暑いと判断すれば、汗を出してからだを冷やしたり、血量を落としたりして身体を冷やします。汗は水冷装置なのです。

血量の調整は、細動脈から毛細血管の入り口の部分にある弁を調整して行われます。弁を閉めれば、血量が落ち体温が下がります。寒いと感じれば、毛細血管への血量を増やし体温を上げます。体温を上げたり下げたりするのは血液の量と流れです。多い血量を、速く流せば暑くなります。これがからだのしくみです。

寒い冬、首筋にスカーフを巻くだけで暖かくなります。それは首筋の胸鎖乳突筋を温かくしているために、「寒い」と感じないからです。しかし、寒くないからといって素足でいることは良くありません。脳では、寒くないと思っていても、筋肉は冷気に反応し硬く固まってしまいます。また寒い処にいて、「ふぅふぅ」といって汗をかいていても、顔や首筋だけのことで、下半身の筋肉は冷気で固まってしまうこともあります。

胸鎖乳突筋が固まりコリがつくられると、その緊張収縮が筋肉の中に含まれている自律神経を圧迫して狂わしていきます。放っておくと、どんどん温度を感知する能力が衰え、微妙な温度差は感知できなくなり、極端な温度しか判断できなくなってしまいます。極端に冷やさなければ感じない人を対象に温度設定するから、電車の車内が冷えてしまうのでしょう。夏の暑がりは、冬の寒がりでもあります。

多汗症

常に大量の汗を出す多汗症という症状があります。この症状をつくる原因も胸鎖乳突筋のコリです。胸鎖乳突筋にコリをつくると、正常にからだが動かなくなります。ちなみに胸鎖乳突筋の根元を腹部の方向に軽く圧すと、それだけで呼吸ができなくなります。また上腕方向に圧されれば腕を動かすことができなくなります。

胸鎖乳突筋を固めた不自由なからだは、暑いと判断して汗を出すにも、必要以上にエネルギーを使うことになります。エネルギーを使うということは、毛細血管に多量の血液を流すことです。血量が増えれば熱が発せられます。つまり、汗を出してからだを冷やしながら、片方で発熱させているということになります。汗を出しながら体温を上げてしまうという矛盾したことが起きます。これが多汗症なのです。このような狂ったからだでは、自力でコントロールすることが難しくなります。

ちょっと動くだけで大汗をかく、そして常にハンカチを出して汗を拭いている。冷え切った寒い車内で汗を流している人。異常なのです。

「わたしは汗かきだから」と簡単にすましてはいけません。大した動きもせずに大汗をかくこと自体が異常なのです。そしてそれを放置すれば、ますます自律神経が狂ってしまい、多汗症が助長されていきます。全体のからだの機能も狂ってきます。

多汗症も温度を的確に判断できるからだも、胸鎖乳突筋のコリをほぐすことで解決します。

熱中症対策の間違い

熱中症。古くは?病(えつびょう)霍乱(かくらん)と言いました。また熱中症という言葉が出る前は、日射病、熱射病と言っていました。熱中症というよりは霍乱の方が、この症状にふさわしい名前ではないかとわたしは思っています。

熱中症が起きる時期になると決まってその対策が取り立たされます。テレビなどのマスコミはこぞって、俄仕立ての対処法を流します。

■脱水症にならないように、よく水を飲むように。

■首筋を冷やす。

これらは間違いです。汗が出るから水を飲む、暑いから冷やすという単純な発想療法はむしろ危険です。まず、熱中症になる原因を正しくつかむことです。

熱中症

何故、熱中症になってしまうのか?

それは胸鎖乳突筋が固まってしまうからなのです。

胸鎖乳突筋を固めると、その筋肉の収縮が総頚動脈を圧迫し、脳への血液循環の傷害を起こします。その結果、意識消失、頭痛、めまい、倦怠、痙攣などの症状をつくります。 また、多汗症の症状が出て、水分と塩分の喪失を起こし、体温を上昇させてしまいます。これらの症状の全ては、胸鎖乳突筋をほぐすことで解決します。

暑い日、汗が出ます。そしてからだを冷やします。正常な反応ですが、胸鎖乳突筋にコリをつくると、的確な温度が判断できなくなり、必要以上の汗を出してからだを冷やそうとします。そして皮膚の露出している首筋が特に冷えてしまいます。首筋を冷やせば、ますます胸鎖乳突筋が固まっていきます。

気温のさほど高くないときに熱中症になったというニュースを聞いたことがあります。熱中症が日射病や、熱射病という病名のときなら、この病気になったと判断されなかっ たでしょう。おそらく、胸鎖乳突筋を固め、熱中症と同じような症状が出たので、熱中症と判断されたのでしょう。気温が低くても胸鎖乳突筋を固めれば、多量の汗をかき、頭痛 や、めまいなどの症状をつくります。

更年期障害といわれ、そう大して暑くもないのに大汗をかいている女性がたくさんいます。これも胸鎖乳突筋を固めているからなのです。

単純に水を飲む危険

狂ったからだが汗を出し続ければ、体内の水分が不足し脱水状態になります。それを補おうと水を飲めば、狂ったからだはますます汗を出すことになります。そして体内にある塩分は汗と共に排泄されてしまい、塩分の喪失となります。また力を込めて汗を出すために体温を上昇させてしまいます。熱を発散できいないからだは熱を鬱積させてしまいます。 単純に水を飲むことは、脱水、熱の鬱積、塩分の喪失を生んでしまうのです。

冷やす

熱が出れば冷たいもので冷やすというのはあまりにも単純な発想です。姑息療法というのでしょうか。

古くから、発熱しているからだは、冷たい水で冷やした手拭や水枕などの冷たい物で冷やすという方法を取ってきました。現代医学でもアイシングです。しかし、ほとんどの発熱は、胸鎖乳突筋のコリをほぐすことで解熱させることができます。わたしの発見したことです。

熱中症になってしまった人を、冷たいものでダイレクトに首筋を冷やせば、胸鎖乳突筋が固まって発熱しているのに、さらに、その胸鎖乳突筋を固めることになってしまいます。これでは、「さぁもっと重症になれ」と言っているようなものです。

熱中症にならないように、水を飲む、冷やすというのは、誤った方法です。これまで読んだ方なら、ご理解いただけると思います。

首筋を冷やすようなグッズも出ているようですが、避けたほうが賢明でしょう。その理由はお分かりのはずです。

熱中症の予防と手当て

予防

予防するということは、取りも直さず首筋を固めないことです。特に胸鎖乳突筋を固めては、いけません。

第1

丸、横に長い楕円、縦に長い楕円、三角形、逆三角形、正方形、横に長い長方形、縦に長い長方形を、顎の先端で図形を書くようにします。各3回ないし4回ずつ、まず左回りに廻し、その後右回りを行います。一回転5秒ないし6秒かけます。頸のどこにも力を入れずに行います。1セットごとに30分以上の時間を置いて、一日4,5回程度行うとよいでしょう。

第2

首を真っ直ぐにしたまま、首と肩の付け根を回すようにします。回数とスピードは、第1と同じ程度です。

第3

首を真っ直ぐにしたまま、左右に首を動かす。力を入れてはいけません。

正しい手当てをすれば問題はありませんが、いきなり首筋を冷やしたりすれば、胸鎖乳突筋が急性萎縮を起こし、脳への血流を断ち最悪の事態を招きかねません。

まず、涼しいところに移動して仰臥させ、首筋の汗をふき取ります。そして両手を使い首を挟むようにして、軽く動かします。首筋の皮が動く程度でよいと思います。間違っても強く圧してはいけません。気が出ている人なら気を送ればさらに速く治すことができるでしょう。また、胸に掌を当て、上下に動かすことも必要です。

以上のような手当てで回復していきます。