私は現在までに160種類以上の病気を改善してきました。現代の三大病から、難病指定の病気まで20数年関わってきました。
このような経験から導き出したことは、あらゆる病気は、「筋肉のコリ」が原因であることです。今そのことを証明することは難しいことではありません。
そのような理由から、筋肉について現代科学とは違った観点から研究してきました。
筋肉は記憶する
研究していくうちに筋肉についていろいろなことが分かってきました。その一つに「筋肉は記憶する」ということです。特に状況や、思いを記憶していきます。記憶するというのは脳が司ることと今までは考えてきました。でもどうやら筋肉そのものが記憶しているとしか思えない事実を、病気を治すお手伝いをするなかで解ってきました。
ある男性 60代 東京都在住
ある男性の実歳の話です。年齢は60代前半、筋肉質でスポーツをこよなく愛している気持の良い方です。
この方は、声帯の下に悪性のポリープが出来る人で、これまでに7回ほどその摘出手術を行ってきましたが、切除しても直にまた出来てしまうという繰返しを2,3年してきました。そのために声を出せなくなっていました。それを改善したいと私の下に来られるようになりました。
ある時に奇妙なことに気付きました。特定の部位の筋肉をほぐしていくと、急に悲しくなって涙が出てくるようなのです。その症状を引き起こす部位は数か所あって、きまってその部位を刺激すると涙が出てきてしまうのでした。
この方は昔、かなりの事業を展開していて、バブルがはじけて多額な負債を背負い苦労されてきました。その時に受けた心情は経験した者だけにしか理解できないことでしょう。私も小さな会社の経営者でしたから、心に受けた痛手の大小は別にして察するに余りあるものがありました。
どうやら涙が出てきてしまう特定の部位は、追い詰められ死のうとまで思った辛い時期に固めたもののようでした。何か所かあるその特定の部位のコリがほぐれてくると「全てが軽くなったような気がする」と言っていました。
このようにはっきりした例は他にはありませんが、ある部位を圧されると、きまって同じことが思い出されるという人もいます。ただそれは良い記憶ではなく、大体に於いて辛い、嫌な、悲しい思い出のようです。
病気からも筋肉が記憶するという例をあげることができます。
喘息
喘息は「ぜぃぜぃ」と呼吸することだけではなく、咳をし始めると止まらなくなってしまいます。どうして止められないのでしょうか? 風邪をこじらせても同じことが起きます
咳は本来、身体の中に侵入してきた異物を吐き出すための生理現象です。しかしそうではなくても喉や気道に傷や炎症を起こすと、止めどもなく出てきてしまいます。何故でしょうか?
咳はいくつかの筋肉を使ってつくられます。腹筋や胸筋は勿論、胸鎖乳突筋、背筋、咽頭筋、声帯筋などいろいろな筋肉が使われます。
「ゴホン」という咳は瞬間的な力が使われます。「ゴーホーン」等というゆっくりした咳はありません。瞬間的に強く吐きだす咳には相当な量のエネルギーが使われます。咳をすると、瞬間的に筋肉が緊張し強く固まります。咳が止まらず立て続きに繰り返えされると、前に緊張した筋肉が弛緩する暇はなく、次の緊張を強いられます。
筋肉には、「使っている筋肉を更に使うことは出来ない」という不文律があります。ですから次の咳をする時には、同じ筋肉の部位でも違う筋繊維を使うことになります。これが繰り返えされると、筋繊維は弛緩されることなく、筋束内の筋繊維全てが硬く固まってコリがつくられます。この状態の時、筋束は緊張しきっていますので少し炎症が起こっています。このコリは咳によってつくられた「コリ」ということになります。
このように「コリ」がつくられると、その「コリ」の部分を何らかの刺激を受けただけで、咳が誘発されます。
また直接筋肉を刺激するだけでなく、「咳をするのは嫌だ」と思っただけでもどこかの筋肉が緊張します。その筋肉の緊張が他の筋肉を動かし、咳をしてつくった筋肉のコリを刺激し咳が起こります。またその筋肉の刺激で、他の咳の筋肉を刺激すれば、更に咳が進み、止めようとしても止めることが出来なくなります。
この咳を止めるには、咳によってつくられた筋肉のコリをほぐすことしかありません。コリが取れれば咳は出なくなります。
ちなみに喘息でつくられる筋肉のコリは、腹筋、肋間筋、胸鎖乳突筋、甲状腺筋、咽頭筋などです。これらの筋肉のコリをとると咳は止まります。但し、人によってつくられる筋肉のコリは違っていますので、喘息のコリは「ここですよ」と一概に言うことは出来ません。
高所恐怖症
高所恐怖症なども同様に考えられます。「高いところは落ちそうで怖い」という恐怖観念をもつ人は少なくありません。高い所に行き、怖い体験や「怖い」という強い意識を持つと、ある種の筋肉を固めてコリを作ります。そして他の筋肉まで緊張の連鎖がおこります。特に胸鎖突筋は固まり安い筋肉です。
そして高い処に行くとまず「怖い」という恐怖が湧き、それが引き金となって固めた筋肉が緊張していきます。特に胸鎖乳突筋などを固めている人は、めまいや頭痛、吐き気などが起こり、振えなどが出てきます。そして膝などが「ガクガク」して立って居られなくなってしまいます。
固めた筋肉が、他の筋肉に影響し、それらの筋肉までも緊張し固めていきます。それがいろいろな症状を作っていきます。
でも普通の低い平らな場所では「怖い」という意識は働きませんので、筋肉は緊張ません。
高所恐怖症は、高い下を見下ろせるような所に行った時、「高いところは怖い」と思った時に、「高いところは怖い」と思って固めた筋肉を刺激し、その筋肉が緊張しそれが連動して起きる症状です。
私は何人かの高所恐怖症を持つ人を治した経験がありますが、「多分、この筋肉を固めたのだろう」と思う筋肉のコリをとって、高所恐怖症を治しています。
結論として筋肉は固めてコリをつくることで「思い」を記憶していくと考えます。ある特定の場所に行くと身体が固まり、寒気がしたり、吐き気をもよおす人がいます。これもその場所で、「嫌だ」、「怖い」などと感じて筋肉を固めた可能性があります。また、匂いや音、風景などの嫌なものによって筋肉を固めた場合、その匂いや音、景色などでもキャッチした時に、敏感に身体が反応してしまう人がいるようです。「かなしばり」などはこの類のことではないかと思っています。
てっとり早く治すには、その場所に行って筋肉が緊張した時点で、そのコリを取っていけば治っていきます。