読者から「本に書いてあるとおりに、近所のしかるべきところに行ってコリを取ってもらっているのですが、治りません。何か違っているのでしょうか?」というような質問を受けます。
病気の原因は「コリ」であり、それを取ればほとんどの病気は治っていくという理論を私は主張してきています。この理論は、日々の施術の経験を通して益々確信の強いものになっています。
しかし、前述の様な質問を受けてしまいます。何故なのか。背景に、次のような問題点があると考えています。
一つは、症状の出ている付近にコリがあるからといって、単純にそれを取ったら病気が治るというわけではないということです。重要なことは、病気の原因となっているコリを見つけ、それを取り除くということです。
何人かの弟子を持って初めて分かったことですが、病気の原因である「コリ」を見つける事はかなり難しいようです。私にとって簡単なことでも、なかなか探り出せないようです。20年以上の経験の違いでしょうか。病気をつくっている原因は、人によって違ってきます。たとえ同じ病名をつけられたものでもまるっきり違う場合があります。多種多様な原因を探り出すには充分な訓練と経験が必要なのかもしれません。
ですから一つ目の問題点は、病気の原因である「コリ」を見つけることが出来ないという事でしょうか。
二つ目には、コリを見つけてもそれを取り除く事が出来ないという点にあります。
私の弟子の中には、指圧や整体の経験者が何人か居り、その中には長い経験をもっている人もいます。彼らが私の元に来た当時、彼らが経験してきた施術では筋肉のコリを取ることは出来ませんでした。
コリをとると言ったらその専門家の指圧師や整体師。でも「整体や指圧、揉み療治ではコリは取れない」といったら相当のお叱りを受けてしまうことは間違いありません。
優れた施術者の方もたくさん居られます。その方々を無視した発言は控えるべきであることは充分承知しています。もしそのような方がこの文章を読まれたなら、笑見していただけると幸いです。
しかし昨今、2ヶ月程度の研修を経て実践で施術している人たちが多くいる現状を憂慮すべきです。
筋肉のコリを取ることは難しい
筋肉が緊張し硬く固まってしまい、元の状態に戻らなくなってしまったものを「コリ」といいます。このコリを取り除くには、凝ってしまっている筋肉に緊張を与えずに解す必要があります。
筋肉は刺激や力を加えられると緊張して硬くなる特徴があります。極端に言えば、人に触れられただけでも緊張します。好きな人や嫌いな人に触られたら必要以上に緊張する事は皆さんも承知の事と思います。ましてや力など加えられればそれに反発し、筋肉が緊張し硬くなります。
指で圧す、手で揉むといったようなはっきりした力ではなく、ちょっとした刺激でも緊張し硬くなってしまいます。例えば電気治療器のような刺激。湿布の刺激。
電気治療器の刺激は常に筋肉に微妙な刺激を与えます。その刺激が筋肉を緊張させます。常時緊張が加えられると筋肉は硬くなっていきます。刺激を加えられているとき、「気持ちがよい」ので筋肉が解れていると思いがちですがそれは実は勘違いなのです。
湿布でも同じ様な事が起こります。メンソールなどの微少な刺激を受け、筋肉が緊張します。暖かくなるのは筋肉が刺激を受け炎症を起こしているからです。湿布してもなかなか治らないのはそのせいです。暫くして治るのは自分の治癒力によってなされたものです。
筋肉のコリは、筋肉に刺激を与え緊張させてしまうような方法では取れないのです。
ですから単に力で圧す指圧や整体そして揉み療治では筋肉のコリは取れないことになります。いやむしろ筋肉がさらに緊張し硬くなりコリを助長させてしまいます。施術を受けているときには筋肉に適当な刺激を受けているので気持ちが良くなりコリが取れていると錯覚してしまいます。その結果、終わって暫くすると筋肉が硬くなり、またやってもらいたいと思うようになります。
施術した後痛くなったというのは「揉み戻し」と言われるものです。最初に施術を受けた時より筋肉は硬くなってしまいます。
本当にコリが取れていくような施術を受けた場合、揉み戻しは起きません。また以前より硬くなることは絶対にありません。施術者を選ぶ際にはこれを目安にされると良いかもしれません。
優れた指圧師や整体師さんたちは、揉み戻しを起こさせずにコリをとる方法を身に付けているものと思われます。
読者の皆さんには、このような人たちに施術を受けることをお勧めします。安易に力任せに行うような施術を受けると、病気があった場合、悪化させることにもなりかねません。またいたずらに筋肉のコリを作ることにもなり、それが病気をつくっていくことにもなります。注意が必要です。
この本当にコリを取れる方法を用いて、病気の原因である「コリ」を取っていけば必然と病気は治癒されていきます。