「HbA1cを下げるために本当に必要なこと」
― 血流との意外な関係 ―
HbA1c(ヘモグロビンA1c)って何だろう?
糖尿病かどうかを判断する指標の一つに、HbA1c(ヘモグロビンA1c)があります。
「ヘモグロビンA1cの数値が高いですね。このままだと糖尿病になってしまいますよ」
そう言われて、心臓がドキドキした経験のある方もいるでしょう。
聞き慣れない言葉に、
「どうしたらいいのだろう」
と不安になるのも無理はありません。
糖尿病になると、インスリン投与が必要になるケースがあります。しかし、インスリンを長年使用している人は数多くいる一方で、「治った」という話はあまり耳にしません。10年、15年と治療を続けている人も少なくありません。
また、糖尿病が進行すると腎機能に影響を及ぼし、人工透析が必要になるケースもあります。
私のところへ来られる方の多くは、最近知ったHbA1cの知識を得意げに語られます。しかし、その意味を本当に理解している方は意外に少ないようです。
そこで今回は、「HbA1cとは何か」について考えてみたいと思います。
ヘモグロビンA1cとは
ヘモグロビンとは、赤血球に含まれている赤い色素タンパク質のことで、酸素と結合して全身の組織へ酸素を運ぶ役割を担っています。
HbA1cとは、血液中のすべてのヘモグロビンに対して、糖と結合したヘモグロビン(糖化ヘモグロビン)がどれくらいの割合を占めているかを示す数値です。単位は%で表されます。
糖化ヘモグロビンとは、血液中のブドウ糖(血糖)とヘモグロビンが結び付いたものです。
血糖値が高い状態が続くと、ヘモグロビンに結合する糖の量が増えるため、HbA1cの値も高くなります。
そのため、一般的には糖分を控える食事療法が勧められます。しかし、糖分の多い食べ物が好きな人にとっては、大きな我慢を強いられることになります。
私は、HbA1cの数値だけを気にして食事制限を行うことは、対症療法に過ぎないと考えています。
本当に目指すべきなのは、「何を食べても血糖値が過度に上がらない身体づくり」ではないでしょうか。
糖は細胞にとって重要な栄養素です。過度な食事制限を続ければ、十分な栄養を受け取れない細胞も出てきます。
必要な糖分を摂取しながらも血糖値が上がりにくい身体をつくることこそ、重要なのです。
なぜ血糖値が高くなるのか
今まで血糖値に問題がなかった人が、ある日突然高血糖を指摘されることがあります。
その原因を考えてみましょう。
食物は体内で分解され、アミノ酸などの栄養素となって腸から吸収されます。そして肝臓でブドウ糖がつくられ、血液中に入り血糖となります。
血糖は血管を通って全身の細胞へ運ばれます。
細胞には栄養を受け取るための受容体(レセプター)があり、血液中のインスリンの働きによって血糖を取り込み、エネルギーや代謝に利用しています。
では、なぜ血糖値が高くなるのでしょうか。
私は、その原因の一つとして血流の問題に着目しています。
血糖を運ぶパイプライン
心臓から送り出された血液は、大動脈を通り、総頚動脈や上腕動脈、大腿動脈へと流れていきます。
大動脈の太さは成人で約30〜35mm、大腿動脈では約15mmです。そして小動脈(細動脈)になると0.1〜0.2mm程度まで細くなります。
さらに毛細血管では0.005〜0.01mmほどになり、赤血球がぎりぎり通過できるほどの細さになります。
細胞へ血糖を届けているのは、この毛細血管です。
血液循環の速度
心臓から送り出された血液は、大動脈では秒速約1mで流れています。
しかし血管が分岐しながら細くなるにつれ、その速度は徐々に低下していきます。
末端の毛細血管では秒速5〜10mm程度まで落ちるとされています。
もし毛細血管へ流れ込む血流速度がさらに低下すれば、圧力も不足してしまいます。
その結果、極めて細い毛細血管の先まで十分な血液が届かなくなります。
すると細胞へ運ばれるはずの血糖が血液中に残りやすくなり、血糖値が高い状態として現れるのです。
細胞は栄養を必要としていても、そこまで血糖が運ばれてこなければ吸収することができません。
私は、このような状態が高血糖の一因になっていると考えています。
なぜ血流が低下するのか
血管は筋肉の中を通っています。
その周囲の筋肉が硬直すると血管が圧迫され、血管径が狭くなります。
すると血流が悪くなり、毛細血管の一部は十分に機能しなくなります。
MMSでは、この点に着目し、硬直した筋肉(コリ)を緩める方法を数多く開発してきました。
実際に施術を行うことで、血液循環の向上が確認できています。
さらに注目したのが大腿動脈周辺です。
大動脈から分かれた血液が流れる大腿動脈周辺の筋肉を緩めることで、血液循環が大きく改善することが分かってきました。
高血圧との関係
血流が悪くなると、心臓は血液を送り出そうとしてより強い圧力をかけます。
その結果、血圧が高くなります。
つまり、高血圧も血流低下への代償反応の一つとして考えることができます。
血糖値改善のために
「太ももを柔らかくすれば血糖値が下がるのか」
そう単純な話ではありません。
私がお伝えしたいのは、まず大腿部周辺の筋肉を緩め、そのうえで全身の硬直した筋肉を順番に解していくことです。
血流が改善すると、他の部位の筋肉もほぐれやすくなります。
また、前回のコラムで述べた膵臓(すいぞう)周辺の硬直を取り除いていくことも大切です。
こうした取り組みを続けることで、身体全体の循環が改善し、血糖値の安定につながっていきます。
その結果として、HbA1cも正常範囲へ近づいていくのです。
間違った方法
筋肉が硬直している人に対して、単純に
「歩きなさい」
と勧めるだけでは、糖尿病の改善にはつながらないと私は考えています。場合によっては、かえって逆効果になることもあります。
硬くこわばった脚のまま歩き続ければ、筋肉の緊張がさらに強まることになります。そのため、単に
「運動をしなさい」
という指導だけでは十分とはいえません。
また、過度な食事制限も問題です。細胞が必要な栄養を十分に受け取れなくなれば、身体は痩せ、代謝機能も低下し、細胞の老化を早めることにもつながります。
大切なのは、まず正しい方法で筋肉の硬直を解していくことです。そして身体の状態が改善するにつれて、無理な食事制限に頼らなくてもよい状態を目指していくことが重要だと考えています。
適切な施術と身体のケアを継続することで、本来の健全な状態へと近づいていくことが期待できます。
2026年6月12日
眞々田 昭司







