こんなことが起きるから面白い
毎回、肩や首のこりを訴えて来られるご婦人がいる。専門的にいえば、棘上筋や胸鎖乳突筋の強いこりである。
いつもであれば、まず脚のこりを取り、次に腹部を緩め、その後で肩や首のこりを解いていく。施術後にはすっかり楽になって帰られるのだが、毎週のように同じ状態で来られるのは本来なら不自然である。
「何かが違う」
そう思っていた時、ふとひらめきが訪れた。
「顔を解せ」
そんなメッセージを受け取ったのである。
そこで顔の筋肉に軽く圧を加えながら触れてみた。すると予想以上の痛みを訴えられた。特に咬筋のこりには過敏な反応がみられた。
ゆっくりと咬筋の緊張を解いていく。
すると痛みが消えていくだけでなく、眉間のしわが薄くなり、ほうれい線も浅くなっていく。顔色は明るくなり、血色も良くなった。
そして、その時点で肩や首に触れてみると、これまであったこりが消えているのである。
さらに腹部は柔らかくなり、脚の大腿部の筋肉まで緩んでいた。
「凄い。まさにアメージングである」
顔の筋肉の緊張が、ここまで全身に影響を及ぼしているとは思ってもみなかった。
もう一つ、興味深い例がある。
肘に炎症を起こし、関節が固まるほどの強い痛みを抱えた方である。
炎症とは、その部分の血液循環が滞り、熱を持った状態とも考えられる。肘であれば、手首側の組織が硬くなっていることが多い。その硬さを解いていくと血液の流れが改善し、炎症や痛みが軽減していく。
つまり、原因は痛みを感じている場所そのものではなく、別の場所に存在していることが少なくないのである。
さらに施術後、肩や首に触れてみると、やはり肩こりや首こりまで消えていることが分かる。
私は日頃から弟子たちに、
「病気や症状の原因は、その場所にあるとは限らない」
と伝えている。
だからこそ、目の前に起きている現象を丁寧に観察し、推理し、本当の原因を探ることが大切なのである。
今回、特に驚いたのは、顔の筋肉の硬直がこれほどまでに全身へ影響を及ぼしていたことである。
まだまだ身体には知られていないつながりがあるのかもしれない。
弟子たちにも、既成概念にとらわれることなく観察を続け、自ら考え、原因を見つけ出す姿勢を持ってほしいと思う。
そして私自身もまた、この身体という不思議な世界の探究を続けていきたい。
2026年6月4日
眞々田







