少子化問題を考える
昨日(2017/09/26)、解散前の安倍総理の記者会見がありました。消費税や北朝鮮の脅威などに触れていましたが、その中に少子高齢化の問題もありました。
真に少子高齢化に問題があるのでしょうか?筆者は疑問を持っています。
少子高齢化とは、子供が少なくなって高齢者が増え平均年齢が高くなっていくことです。
高齢者に支払う年金や医療費などを、年金受給年齢に満たない人がその負担をしていく。それにはその分母が大きいほど、その負担は少なくなる。ゆえに子供を増やしていこう。と、いう考え方です。
こんな考え方をしてみて下さい。子供が増えて負担が少なくなった。でも、その子供たちが年金受給者の年齢になったらどうなると思いますか?現在よりも、若い人達の負担が増えないでしょう?
以下の表は、各国の国土面積と人口、そして人口密度を表したものです。
これをご覧いただければ、日本の人口密度がインドに次いで2番目であることが理解できると思います。
各国の領土面積と人口
国名 領土面積 km2 人口 人口密度
ロシア 17,098,242 142,958,164 8.36
カナダ 9,984,670 34,016,593 3.41
中国 9,572,900 1,357,946,313 141.85
アメリカ 9,522,055 314,551,246 33.03
オーストラリア 7,692,024 22,268,384 32.18
インド 1,910,931 1,224,514,327 372.50
インドネシア 1,910,931 239,870,937 125.52
パキスタン 796,095 173,593,383 218.06
フランス 551,500 62,787,427 113.85
スペイン 505,992 46,076,989 91.06
スエーデン 450,295 9,379,687 20.83
日本 377,972 126,535,920 334.78
イタリア 301,336 60,550,848 200.94
ノルウェー 323,787 4,883,111 15.08
イギリス 242,495 62,035,570 255.82
13億5794万6,313人と人口が多い中国の人口密度は、イタリアやイギリスより低いのです。
日本のように狭い国土に、これ以上人を増やしてどうなるのでしょうか?
少子高齢化になると、若い人達が多くの高齢者を抱えることになる。これでは立ちいかなくなるから子供を増やしていこう。と、いう考え方が少子化対策です。
これでは医療の対症療法の考え方と同じです。全体像を見ないで、その場をやり繰りしようというものです。
このような考え方でいくと、時代を経るごとに人口が増えていくことになります。世界2位?の人口密度を誇る日本の人口をこれ以上増やして良いのでしょうか。もっと抜本的な開拓をすべきなのです。
1910年(明治43) 50,984,840人
1950年(昭和25) 83,199,637人
1970年(昭和45) 103,720,060人 現在から47年前
これは、人口の推移を表したものです。50年前は一億人を切っていました。
高齢者になっても、子供や孫にできるだけ負担を掛けない生き方をすれば少々「少子高齢化」になっても問題はありません。
高齢者もできる範囲で働けばよいのです。
「これだけ働いてきてもまだ働らかなくてはいけないの」
このような声も聞きますが、定年退職した人、最初は良いのですが、何することもなく無為に過ごすのが嫌になっている人がほとんどです。しかし、働く場所ない。体が動かない。という人達が多いのです。
ですから、先ず高齢者の為すことは、健康を確保することです。次に仕事をつくることです。雇ってもらうのではなく、自分で仕事をつくっていくのです。
これまでの経験を活かしたり、新しいものにチャレンジしてみるのも良いでしょう。年金だけで食べていこうと考えずに、足りなくなったら稼ぎ出すという気概を持ってすれば、子供達に迷惑や負担をかけることは少なくなります。
現在、社会保険と厚生年金での年金はさほど低いものではありませんが、国民年金であると、月に64,000程度、これでは暮らしていけません。
ドイツなどでは、退職した時の年収の60%が受給されるそうです。日本とでは比ぶべくもありません。フランスやイギリスの年金受給者に聞いても、贅沢しなければ充分暮らしていける年金が受給されているようです。
さて、日本もそうなるように運動しよう。と、いう気持ちでこのコラムを書いてはいませんが、日本でも、年金で生活できるようにしよう。と、いう提案をしようと思います。
私の一つの提案は、年々高騰し続ける国民総医療費を削減して、それを年金に回していけば、年金は破綻することなく続けていけるというものです。
因みに最近発表された国民総医療費は42兆円です。それを、医療を正常にして「治せる医療」に替えれば5兆円位に削減していくことができると思っています。
トランプ大統領が、オバマケアを廃止しようとしましたが、多くの反対があり、そのまま続いています。しかし、これが続けばアメリカもかなりの財政の負担を強いられることになるでしょう。
日本は皆(かい)保険制度です。社会保険や国民健康保険に加入している人は、保険の適用を受けています。しかし、実はここに問題があるのです。
保険で安く医療を受けることができるので安易に医療機関に行くことになります。それに医療機関でも保険で決済できるので、リスクはありませんから許される範囲で使い放題の治療を進めていきます。10種類以上の薬の袋を持っている高齢者が少なくありません。自分の懐が痛まないから使える金をふんだんに使う。国を滅ぼしかねない行為です。狂っています。
14,5年前までは、年間600万円掛かる人工透析は自己負担でした。高額な医療費を払う余裕と時間が取れる人しか受けられませんでした。
現在では、保険が適用され患者の負担は0円になりました。病院では、離れることのない顧客の確保を狙い、透析患者を増やしていきます。国民の税金がここに使われているのです。
心臓病で、バチスタ手術やバイパス手術など、1000万円も掛かる高額な医療も、保険が適用され本人負担額は6万円。後は税金です。
毎度例に挙げている糖尿病、高血圧症等は10年も20年も薬を飲んでも治りません。これは金食い虫です。
それだけなら良いのですが、その薬害で腎臓を壊して腎不全になり、透析患者がつくり続けられています。
病気になって薬を飲む、薬を飲んで腎臓を壊し透析をする。病気のリレーションです。
糖尿病、高血圧症、人工透析と、この三つの病気に費やされる医療費は何と6兆円にもなります。病気を治すことのできる医療なら、必要のないお金です。私の理論を信じて行っていただければ、一割も掛からず治っていきます。そして、難しい理論や技術もいらずに貴方自身が治すことのできるものです。
心臓病もほとんどが治っていません。冠動脈のバイパスだとかカテーテルとか、莫大な費用をかけて医療費を食い荒らしています。
ガンの治療でも、莫大な医療費が使われています。費用を掛けても治ればまだ救いがありますが、患者さんを苦しめるだけで、治ったという人はほんの一握りです。
ガンの特効薬といわれているオプジーボが、3500万円からダンピングされて1500万円になり安くなったと言っていますが、ガン治療にこんな莫大な費用をかける必要があるのでしょうか。小さな自治体だったら4、5人にオプジーポを投与されたら、財政が破綻してしまいます。
まともな医療と本人が治すための努力をすれば、安価に安全にガンを克服することができます。
14年度の公的年金の財政収支でみると、国庫負担は約11.8兆円です。これには国民年金発足前の給付にかかる費用の一部などが含まれるので国民年金と厚生年金の拠出金合計の2分の1を上回りますが、約10.9兆円が基礎年金の給付に使われているとみられます。
昨年の年金受給者数は3991万人(実受給者)です。
そこに、三つの病気で浮いた金額5.4兆円を低年金受給者の年金に回すだけでも一人辺り一年につき20万円のアップになります。
また、例えば、先に述べましたように国民総医療費を5兆円程度に改革したとします。42兆円から5兆円差し引いた37兆円を受給者数で割れば、一人当り年92万7千円になります。これに今まで受給している年金を加えれば、充分とは言えませんが生活できる範囲です。
医療費は、個人負担、保険負担、自治体負担、国の負担とあり、上記のような単純な計算では成り立ちませんが、一つの目安にはなります。
将来「私たちに年金は回ってこないわ」と、心配する必要はなくなります。若い世代に金銭の負担を掛けなくてすみます。
医療の改革が一番手っ取り早い解決になります。治せる医療に替えていくだけで、未来は明るくなります。
「産めよ増やせよ」と言っいた時代がありました。第二次世界大戦の前、兵隊さんを増やすために取られた政策です。
「人口が減って働く人が少なくなったら貧乏になってしまうのではないの」
こんな考えを持つ人がおられるでしょうが、それは危惧です。
労働生産性ということを考えてみてください。
国民経済生産性、これは就労者一人当りのGDPのことですが、平たく言えば一人当りがどの位稼ぐかということです。
各種統計資料にもよりますが、 世界でトップの国はアイルランド。アメリカはルクセンブルグに次いで3位です。
さて、日本はというと、ギリシャに次いで22位です。財政が破綻したギリシャよりも下なのです。
日本人は勤勉で…….ということを皆さんは思っていませんか?しかし、世界の人々と比べると稼ぎが悪いのです。時間を掛けてはいるが稼いではいないのです。このことをジェームズ.アトキンス氏は憂えています。
私も建設業をしている時に、一人当りの生産性の低さを痛切に感じました。アメリカの住宅は、日本の住宅より半分以下の価格で、できていることを知ったのです。そこでの質は、日本の住宅をはるかにしのぐものでした。
日本の住宅は何で高くなるのか?実に一人当りの生産性が低いからなのです。アメリカの大工さんが3日で終わる仕事を、日本の大工さんは10日掛かってしまうのです。日本人は無駄な時間を掛けすぎているのです。
優秀な国民と日本人は世界の人達に思われています。そう思っているのは「井の中の蛙」。でも器用で真面目なのは日本人。真剣に対処すれば、GDP世界一になるのは難しいことではありません。人口が少なくなっても日本人なら直ぐに取り戻せることに気がつくはずです。
今の世の中に兵隊さんは必要ありません。人口密度の高い日本をこれ以上人を増やしてどうしますか。
少子化対策、愚策としか私は思えません。貴方はどう思いますか。如何ですか?
2017年9月30日
眞々田昭司