心身一如
現在あまり使われなくなり死語になりつつある言葉の一つです。若い年齢層には馴染みが薄く意味を理解している人は少ないのではないでしょうか?
「しんしんいちじょ」と読み、心と身体は一つの如し(ごとし)、心と身体は密接な関係がある、という意味になります。
心に不安や恐れ、心配事といったものを持つと、身体の動きが悪くなり健康状態も悪くなってきます。身体が不調になれば、こころも塞(ふさ)ぎがちになり能動的でなくなります。この事を説いた格言です。
いやそんな事はない。「心と身体は別のもの」と言った人がいます。フランス人のルネ・デカルトです。「心と身体は相反する」という二元論です。このデカルトの二元論を基に西洋医学は生まれました。病気になるのは身体で心は関係ないという前提です。
私のMMSは二元論的な考えはしません。心と身体は一体で、心の持ち方つくり方の良否が身体を左右することも解っています。一般的に知られているストレスを例に出せは、多くの方に理解していただけるのではないでしょうか。しかし、ストレスがどの様に身体に関係していくのか?を知っている人は少ないでしょう。私の著書MMSに詳しく述べています。
それでは、心と身体が密接な関係にあるその謎を解いていきましょう。
「嫌な事があって食欲をなくした」などの経験をしている方は多いと思います。どうして食欲が無くなるのでしょうか?
心に思うことが全てが身体にに影響します。本能的に嫌だ。間違っている。悪い事をしている。と、感じた時に身体は緊張し固まっていきます。逆に、楽しい思い(楽しい事とは違う)、ウキウキしたこと、未来を描いている、良い事(損得勘定を抜きにした)をしているときには、身体は固まらずむしろ解(ほぐ)れていきます。つまり、思いによって異なってくるのです。
心静かにしていれば身体に「真気」が宿り病気になることはない。と説いた黄帝(こうてい)内(だい)経(けい)という書物があります。4500年(黄帝は何人もいて年数は特定できていない)以上も前の中国のものです。何故心が病気と関連性をもつのでしょうか。
人が心に「不安や恐れ」を抱いたときに、何の訓練もしていない人の多くは、身体に緊張が走り固まっていきます。その固まり方は、力を入れて身体を緊張させた時とは違う部位を固めていきます。後者は身体を構成している骨格筋の表層の部分の筋肉、つまり外筋肉を動かし緊張させていきます。外筋肉、英語で言えばOutside muscle →Outmuscleです。そして前者は、内側にある筋肉や臓器などを緊張させて固めていきます。内側の筋肉は、inner muscleと言います。私の理論です。
心に「不安や恐れ」を抱くと、身体の内部の筋肉や臓器を緊張させます。緊張が強かったり持続したりすると固まったままとなりコリとなっていきます。筋肉にコリがつくられると、筋肉の中にある血管や神経を圧し潰し血液循環を阻害し神経の伝達を切断します。血液の届かなくなった筋肉細胞は、正常な動きが出来なくなり代謝も衰え老化してきます。神経が分断されれば脳へ正しい情報が伝わらなくなり、ホルモンなどの分泌が狂ってしまいます。この様な状態になると、様々な症状や病気がつくられていきます。
身体の内部がこの様な状況になった時、当然、動作や動きは正常でなくなります。心のあり方がこの様に身体全体に影響していくのです。
作業のし過ぎや緊張の連続で、肩や首がコリ、腹部が固まって痛みが出てきた時、明るく溌剌として居られるでしょうか。多くの人は塞ぎ込み元気がなくなり心は暗くなります。これが身体から心に影響を及ぼす関連性です。
さて、それでは心因性のコリと外因性のコリとでは、どちらが身体に悪いのでしょうか?それは、心因性のものです。
身体の表面つまり外筋肉につくられたコリは、つくった時と逆の動きや人為的に解すことができますが、内筋肉や臓器のコリは優れた施術者でない限り解すことが難しくなります。そして放置されるために、より重篤な症状や病気に進行していきます。
それでは心にどの様な思いを抱いた時、身体に悪影響与えていくのでしょうか?何でも心に思ったらいけないということではありません。
恐れ、不安 、心配事の影響は前述しています。嫉妬、妬み、恨みこの思いはかなり強烈です。更に強烈なのは怒りです。怒ることは自分の身体をいじめ壊すことにつながります。
この心の思いを「平」にしていると、健康になり不思議な力が備わってきます。常にプラス思考に心掛け良い思いを持つことです。これは訓練することでつくられます。