若年性認知症
30代の女性。ある管楽器奏者で時より私のクリニックに訪れてきます。この日は「右手が痺れ、首が廻らなくなってしまった。先生治して」大体何時ものパターンです。
一見していつもと違っているので
「物忘れがありませんか?」と尋ねると
「先生何で分かるんですか?あるオーディションを受ける予定でいたのですが、その期日を忘れ一昨日思い出しました。でも、課題曲が思い出せなくて、仕方ないので事務局に連絡を取って教えて貰ったのですが、オーディションの日は明後日、ぜんぜん練習していないので絶望的です。」
この女性、以前から記憶力には自信があったようです。しかし、近頃物忘れがひどくなってきて、頭がスッキリせずいつも「ボォッ」としているような気がしていた。あなたは心当たりはないですか?
若年性認知症と言われるものです。若年性認知症とは、65歳以下の人が罹(かか)る認知症を言っています。65歳が若年でしょうか?
何故、30歳を超えたばかりの若い人が、年寄りが罹る病気と思われている認知症になってしまうのでしょうか?
物忘れや認知症は歳のせいではありません。年齢には関係なく起きうる症状です。
現在認知症に罹る人が多い。後10年もすると団塊の世代(1947年から1949年)と言われている人たちが75歳以上になり、その人口は43万人。その内の20%も認知症になったら大変です。国でも何とかしようと躍起になっているようです。効果は感じ取れません。
この問題解決を西洋医学に委ねているようですが、これまで何十年も認知症を治療して駄目だった人たちに、それができるのでしょうか?
西洋医学は、全ての病気の結果に着目して対処しようとしています。病気は、結果の素となる原因を見つけることが重要なのです。出ている症状や現症を見ていても駄目なのです。
そして何もかも薬で処理しようとしています。薬で処理駄目なら切って捨てるというやりかたです。
薬の医学は7000年位ありますが、薬で病気は治っていません。薬が駄目な事は、長い歴史の中で証明されているのです。
その考え方から離れ、筋肉や血液循環からものを見れば、この認知症の原因が解ってきます。後は、病気を治す技術があれば全て解決します。
病気は、まず原因を探ること。そして、その原因を取り除くことです。
それでは認知症の原因を探っていきましょう。
歳のせいでは無いと言いました。
忘れる、覚えていないということは、
1 脳に記憶されていない。
2 記憶されているがそれを引き出す部分に問題がある。
以上の二つのことが考えられます。
1は、記憶脳(脳の研究者によると脳の海馬という部分にあるとしています。これを肯定して進めていきます。)に障害が起きて記憶できなくなる。
2は、思い出せずにいたものが、ある時突然降って湧いたように思い出すと言うような現症です。
「思い出せ」という命令がまだ脳に残っていて、何処かの細胞が固まっていて神経細胞の動きを邪魔して記憶脳へ繋がらなかったものが、その部分がいきなり緩み、記憶の回路が繋がって思い出した。これは正常な人でも時々ある現症です。初期の認知症になるとこれが頻繁に起こってきます。記憶はしているが引き出して来るべき回路に問題があることが解ります。これは、初期の段階、簡単に治すことができます。
実はこれらの現症の全ては血流の問題なのです。
脳には、全体の血液の15%が流れていると言われています。相当な量になりますが、それだけ脳は潤沢な血液を必要としている訳です。当然、記憶する海馬にも潤沢な血液が流れていなければなりません。
脳には、総頸動脈から外頚動脈と内頚動脈の二つに分岐されます。外頚動脈からは目や頭皮などに血液を運ばれます。脳には、内頚動脈から脳動脈を通して流れていきます。また、もう一つのルートとして頚椎の中を通っている頚椎動脈があり、脳底動脈を通して脳へ血液は流れています。静脈も動脈と同じような構成になっています。
記憶を司る海馬には、頚椎動脈から血液が流れていきます。内頚動脈からは視床下部や前頭葉に流れ、どちらかと言えば思考する脳への血液の供給がなされています。この内頚動脈から血液が流れにくくなると、うつ病などになってしまいます。
頚椎から出た動脈は、脳底動脈を経て海馬へ流れています。その脳底動脈のある部分は、丁度頭を後ろに向けた時の首との境部分で、頭半棘筋という筋肉の下にあります。
この筋肉を固めてコリをつくると脳底動脈を圧迫して海馬への血液の流れを悪くします。記憶を正常に保つには潤沢な血液が必要なのに、その血液量が少なくなれば当然記憶力が衰えてきます。
また、血液不足が起きると血管の代謝が衰えて老化し、血管は萎縮し細くなり流れが悪くなっていきます。益々海馬への血液量が減り、代謝が悪くなり老化します。記憶力は衰えます。
血流が悪くなって老化して萎縮すれば、その中に含まれている神経を圧迫して動けなくしてしまいます。神経は繋がらなくなり海馬との連絡がなくなり「思い出せない」という事になります。
この状態を長く続けていると認知症になってしまいます。認知症の原因は、頭半棘筋コリということになります。
若い細胞であれば、固まった筋肉も直ぐに弛緩していきますが、細胞が老化していると元に戻る復元力が無くなってきます。その為に、認知症は5年10年とかけて徐々につくられていきます。しかし、ある時に限界が来ると、それまでのゆったりとしたスピードではなく2、3ヶ月であっと言う間に本物の認知症に進行してしまいます。
頭が「ボオッ」として物忘れがするといった時に頭半棘筋のコリを取ってしまえば、認知症を防ぐことができます。後は姿勢を正して頭半棘筋を固めないようにすれば良いことです。
認知症になっても手当次第では回復していきます。固まった頭半棘筋は薬を飲んでも治りません。早ければ早いほど回復する確率が高くなります。相談いただければお答えします。
悪い姿勢が頭半棘筋のコリをつくる
それでは頭半棘筋にコリをつくるものは何なのでしょうか?
簡単に言えば。日常の悪い姿勢がつくっていきます。臍折りの顎出し姿勢です。臍折り、顎出し、どちらも私の造語です。(詳細は私の著書 筋肉の使い方育て方 真昭社をご覧ください)
背中を丸くして臍を 中心に前に曲げると必然と下を向くことになります。それでは前が見えないので顎を出して顔を前に向けると頭半棘筋の部分を圧迫する事になります。
この姿勢は、テレビを観たり、パソコンの画面を見たり、事務処理をしている時に多く見られます。(私の著書 筋肉の使い方育て方の98頁から100頁)
電車の中などで観察してみると、70%以上は姿勢の悪い人たちです。「あぁ あのまま続けていると病気になってしまうな」と思いますが、「あなたの姿勢は最悪だから治した方がいいですよ。そうしないと病気になってしまいますよ」とは言えません。
認知症は主に悪い姿勢がつくっていく病気です。あなたの姿勢をチェックしてみませんか?
机に座っている写真、テレビを観ている写真、普段の何気ない写真を送って下さい。勿論無料で回答します。